優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

フラガール − dance for smile –【20210404 13:00- & 20210412 13:00- @Bunkamuraシアターコクーン】

世界を救うために下界に送り込まれた魔法使い、舞台の妖精こと山内瑞葵ちゃんが外仕事の舞台「フラガール」に出るということで、渋谷という地獄の戦地に赴き嬉々として観劇してまいりました。

実は映画のフラガールを観たことがなかったので、4/4にまず舞台を観て、週末のうちにアマプラで映画*1を観て、そして4/12千穐楽を観劇してきました。 

 

以下、いわゆるネタバレ、辛い感想なども含んでいますのでご注意・ご容赦願います。 

 

作:羽原大介、李相日
総合演出:河毛俊作
構成演出:岡村俊一
キャスト:樋口日奈乃木坂46)、矢島舞美、山内瑞葵(AKB48)、安田愛里ラストアイドル高橋龍輝吉田智則武田義晴、工藤潤矢、隅田杏花(劇団4ドル50セント)、朝倉ふゆな、吉田美佳子、近藤雄介、黒川恭佑、松本有樹純、濱田和馬、岩上隼也、草野剛、秋谷百音、大串有希、尾崎明日香、三橋観月、古田小夏、相吉澤栞音、Mirii、有森也実

 

評判のいい映画で話題になっていたこともありハワイアンズができるまでの実話というのは知っていたので、まさか舞台が真っ暗な炭鉱のシーンから始まるとは思わずとてもビックリしました。時代は20年違うけど、そのThe昭和の空気にミュージカル座で観たかの「ひめゆり」が軽くフラッシュバックしたほどだった。

 

舞台と映画

いわきの炭鉱が閉山に追い込まれる1965年。いわきに大資金を投入してハワイアンズ建設が進み、炭鉱で働く木村早苗がフラダンサー募集のチラシを手にするところから物語は始まります。

映画だとハワイアンミュージックと映像独特の間が心地よいコメディタッチになっていた。けど舞台は炭鉱のシーンから始まり、炭鉱存続vsハワイアンズ建設の対立が色濃くて、登場する人々が次々に感情をぶつけてくる。しかも誰かがセリフを言い切るより先に食い気味に次の人が話し出す場面もしばしば。ある意味では舞台らしい演出なのかもしれん。セットも炭鉱の入口みたいな鉄骨の枠組みが常設されてて、なおさらこの舞台が社会的背景にフォーカスしてると思った。

そんな感じなので、開演すると早々にハワイアンズ計画反対の炭鉱夫たちの怒号が飛び交うからすぐヘトヘトに気疲れしてしまった。時間を見てみるとものの5分くらいだったけど。千秋楽で2回目観たときは「こんなもんだったか」とすんなり鑑賞できたけど、なまりがすごくて何言ってるかよくわからないし、初見であのパワーは観る側は結構体力使うぞ。

 

ただ、当時は現代以上に"村意識"や家族の繋がりが強い。自分で将来の夢を持つ以前にまずは働いて今日の食事にありつくという時代だったと思う。早苗の家庭もそうだった。

そしてさらに、舞台が特に強調していたのが性別の差。親の仕事を次いで炭鉱の男を支えるのが女の仕事……性別による役割分担が圧倒的に強かった頃の話。プロのフラダンサーを目指す少女たちに風当たりがとかく強くて、「女は…」と差別的に見られるようなセリフも多かった。フラダンスをストリップと勘違いして軽蔑する人々を、まどか先生は「フラは伝統舞踊、芸術です」と一蹴。海外でのダンスの地位、そして女性の活躍まで語る。映画にはなく舞台特有のメッセージだったと思う(映画にもあったかもしれないけどこんなに印象なかった)。

ちょっと仰々しいけど、もしかしたらこれくらい負荷をかけた表現のほうが時代の絶対的な"無言の圧"を再現できたのかもしれない。そして、だからこそ「今の状況から脱する」という紀美子と早苗の夢見る気持ちが切実に輝いて見えたのだと思う。

 

瑞葵ちゃんの早苗

ずっきーが演じるのは、主人公・紀美子にフラダンスやろう!と誘う親友の早苗。ストーリーが動くきっかけの大事な存在。開演早々真っ暗なシーンでこわかったけど、「炭が爪に入って手が真っ黒。こんな18歳どう思う?」のセリフは切実だった。炭をかき集めて運ぶ早苗の姿を最初に見ていたからなおさら共感できたのかもしれない。

【東北/炭鉱/モンペ】→【ハワイ/ヤシの木/フラ衣装】って世界が本当に真逆なの。闇から光へ…と言うと大袈裟だけど、コントラストかなり強めで描かれていたと思う。

 

大きな舞台での子役経験もありいろんな種類のダンスを経験してきた瑞葵ちゃんにとって、「できない演技」は大変だっただろうな。まどか先生に「笑って!」と指導されてる時点でもうパーフェクトスマイルだったし(かわいい…)。できない演技が回を重ねるごとに徐々に自然に、上手になったんだなと感じました。

早苗ちゃん、本当に厳しく育てられた娘って感じだった。例えば座り方。説明会でハワイアンズ計画の話を聞くときは崩れた正座で前のめりになるような座り方をしてたけど、レッスンを重ねたあとは他の子たちと同じように体育座りをするようになる(紀美子はあぐら)。ダンスシューズをもらって履いて大喜びしたり、衣装着てそわそわしてたり。

先生がフラの振り付けの意味を教えてくれるシーン。早苗ちゃんは周りのみんなが先生の真似してるのを楽しそうに眺めてるの。そして先生が見せてくれる一挙一動(あなたのすべてが愛しい………ではない)を見つめる目、一緒に踊りながら一つ一つの手振りを確かめるように演じるその表情は本当にキラッキラしてた。新しい世界を知る興奮、喜び、好奇心を早苗が感じていたのがひしひしと伝わる。

 

そんな場面からの父ちゃんの解雇。早苗のフラ衣装がひっぱがされた後の演技の迫力たるや。天と地の差。何があっても笑顔を絶やさなかった早苗の絶望の顔といったら。あんな瑞葵ちゃん初めて見たよ(瑞葵ちゃんではなく早苗ちゃんである)。父ちゃんは悪くねえし早苗も悪くねえ…誰も悪くないというのがまた残酷。強いて言うなら、瞬く間にトレンドが変化していってしまう時代のせい。

 

早苗を駅で見送るシーンでこそこそ隠れてるまどか先生に吉本さんが言った「もう一生会えないかも知れないんだぞ」がとっても切実に響いた。偶然だけど最近ゆっくり解説の動画にはまってて、そこで1981年に起きた夕張炭鉱の事故を*2を知ったばかりだったから尚更響いた(なお早苗の父が夕張のどこの炭鉱に就職を決めたのかは劇中では明かされてないため、この考えはガチ恋限界ヲタクの凄惨な妄想に過ぎない)

そんな先生に向かって早苗が叫んだ「人生で一番楽しかった!」には濁りが一切なかった。自らやりたいと思ってフラダンスを始めてステージを目指す時間は、早苗にとって本当に本当に幸せな時だったのだろうなと…。純粋無垢。ああ、炭鉱の暗い穴から出てきた少女よ…。見つけた夢に向かって走るって、こんなに美しいことなんだってくらい。

 

この早苗の騒動と別れのシーンを経て、キャストのスイッチが切り替わった。その後一つ一つのシーンに「これが最後だ」という千穐楽の影が急にちらつき出したように見えた。山内さんが苦戦したと言うだけあって*3重要な位置にあるシーン、ありったけの力を爆発させたってことだろう。

そんな早苗の告白に揺さぶれられてまどか先生はサングラスを外して、涙する目を晒して早苗にそれを手渡す。先生もまた、いわきの山でひとつもふたつも人として豊かになったってことだろう。寂しいシーンではあるけど、観劇しててこのあたりでやっと「山は希望だったのかもしれん」と実感がわいた。

 

演者が急激に涙ぐみながらステージに立つ中でも、夕張に引っ越した早苗は潤むことない笑顔で雪かきしててね。この辺りでテーマソングの歌唱が入って紀美子、まどか先生、そして早苗にもソロパートがあるんですけど「負けないぞ 負けないぞ 私には夢がある」フラがある フラガール フラガール……あれ、4日に観劇した時と千穐楽とじゃ、歌詞の重みが違うぜ。斜め上をまっすぐに向いて歌う早苗ちゃんの眩しいことよ…。

立ち姿からして他の演者と違う風に見えた。まっすぐだけど前のめりで、ステージに根を下ろしているように逞しい。稽古のシーンやフラダンスでも思ったけれど、静止の動きが本当に美しい。ただ止まってるだけじゃない。静止という動作。羽根みたいにやわらかい静止。そして立派な歌唱よ。アイドルとして聞く山内瑞葵ではなかったの。力強くて芯がある。

 

自分の希望を叶えながら生きることが出来ず炭鉱で親と一緒に働き、兄弟の面倒を見、父親が仕事を失くして知らない北海道に引っ越す…という未知の経験を前にしても、早苗は別れを惜しむ仲間たちには笑顔を見せる。

東野圭吾の小説の一文「人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。*4を思い出した。まさに木村早苗のことではないか。さらにはステージに立つことに対して時に切なくなるくらいまで愚直でまっすぐな山内瑞葵のことではないかと思った。

 

備忘録 

まどか先生を演じるの舞美の演技は初めて観た。馴れ馴れしく呼び捨てして申し訳ない。最後に観たのいつだろう、八王子の℃-ute紺に行ったのは覚えてるんだけど。本当に本当に大きくなった…立派になりましたね。いや、相変わらずの美人だけど輝きに磨きがかかったというか。プライドの高いプロダンサーの役、風格すごかった。今まで見たことのある彼女とはかけ離れた舞台の人になってて、声の出し方とか声色とかは松雪泰子氏の映像をすごい勉強したんだろうなと思った。終始厳しい顔をしている役だけど、 弱音を吐いたり感極まると泣き出しそうに目を潤ませるからグッときた。

 

あと、まどかが東京に帰るというシーンで紀美子にかける「リーダーが真ん中でしっかり踊ること。真ん中にリーダーがいることで周りのみんなは自分の位置がわかるの」は、個人的に刺さったし、演者・鑑賞者ともに48メンバーにも刺さるものがあったんじゃないかと思った。

 

これはどなたが演じてたのかもわからないんだけど、まどか先生と紀美子のお兄ちゃんが飲んでるシーンの居酒屋の親父。二人が会話を進める中、下手奥の暗がりでずっとお料理してる姿にとても味があった(対角線だったのでよく見えた)。じっくり手を動かして切ったり混ぜたり、火にかけたらシンクの縁に両手を突いてじっと待ってたりして。焼き物か揚げ物かな?落語の身振り手振りにも通ずるものがあって心地よくて、こういうの大好き。もっと見ていたかった。

 

主演の樋口日奈さんは完全に初めましてだった。フラガールのリーダーということで真ん中に立ってみんなを引っ張ったり、一人でソロのダンスを見せたりとクールな印象が強かった。周りより落ち着いて見えたけど、早苗やお兄ちゃん、先生に心を開いた後にはそれまでこわばってた表情がだんだん溶けていくのを感じた。早苗との別れの後では特に豊かになってて、お兄ちゃんに優しいセリフをかけられるとそのたびに目を潤ませて。

主人公をするに相応しい立ち振る舞いだと思ったし、演技もダンスも思っていた以上だった(上からな書き方になって申し訳ない)。フラダンスも力強くも腰使いがしなやかで、真っ白な衣装の舞いはとても綺麗でした。

そして樋口さん、千穐楽のカーテンコールの挨拶もとてもよかった。うーんと言葉を選びながらも「時代の変化に流されそうになったり、変化する時それぞれの立場の人に葛藤があったりするけど、手と手を取りあって決めた道をいけば、いつかみんなで笑い合える日がくることをこの舞台に教えられました」と。繊細な方なんだろうと思いました。

 

 

コロナ流行が落ち着かない中、無事に幕が開いて予定通り上演されてよかったです。千穐楽のカーテンコール、目を潤ませている瑞葵ちゃんの姿に「おかえりなさい」と思いました。2階席のほうへも視線を投げる彼女が好きです。ええ、本当に。舞台の人なんだなと。

ヲタク気質な私なので今後はハワイ、いわき、夕張に親近感をもってこれからの人生を生きていくことになるでしょう。知りたいことや興味も沸いたし、今回瑞葵ちゃんを通じて「フラガール」という作品に触れることができてよかったです。ありがとうございました。

 

 

王様になってほしい

早苗ちゃん、とてもいい役でした。でも物語上、最後のハワイアンズでのフラ披露の場面にきちんとした形で早苗が立てなかったことが、やはり山内さん推しの視点としては惜しかったという気持ちは拭い去れないですね。なので正直に書くのですが。

 

モバメでフラダンスの稽古を日々頑張っているのは知っていたし、お話会でお稽古の話を訊ねてみてもフラダンスのことをまず教えてくれたから、よほど力を入れて練習したのだと思う。ただ早苗はプロを目指す道半ばで去っていって最後のお披露目ステージに立たないから、乱暴に言ってしまえば”プロレベルに達さなくてもいい”役だったと思う。

でも山内さんはもちろんそんなことはしない。ところどころでフラを練習するシーンでは、カーディガンにもんぺ姿でも誰よりもしなやかで温かくて、しっかりした体の動きを魅せる美しいフラを披露していた。そんな彼女だからこそ任された役なんだと思った。それはとても誇らしいこと。

 

最後のハワイアンズステージでも、実はひそかに最前列の下手端で踊っていて「??!?」となりましたが(「LOVEセンチュリー~夢は見なけりゃ始まらない!~」の加護亜依を思い出した)、やっぱ出さないわけには行かないっすよね。ありがとうございました!と言いつつ4日は完全に見逃してしまったので、千穐楽に必死に目に焼き付けたんですが。

ずっとスマイルを保って踊ってるんだけど、ハンドタッセルを腰の近くでくるくる回してるのがなんか……かわいくて……(語彙すまん)。山内瑞葵という演者としては、ハンドタッセルとか手にもつダンスよりもメッセージ性が強いフラのほうが得意なんじゃないかと感じた。というかフラの方が演ってて楽しそう・幸せそうに見えた。

もっと突っ込んで言ってしまうと、このハンドタッセルを持って踊っていたのは早苗というより瑞葵だなーというのが正直な感想だった。だってこの時、早苗は夕張にいるからね。役になりきることを強く意識していた彼女なので、複雑なシーンでもあったんじゃなかろうか…なんてことも考えた。

 今回の舞台フラガールは瑞葵ちゃんにとってAKBとして初めての外仕事の舞台だったし、まだこれからたくさん活躍してほしい。そして、いつか主演で舞台に立つのを観てみたいといっそう思いました。

 

これは山内瑞葵さんの経歴を見るたびに私が個人的に思っていたことなんだけど、もどかしさというか悔しさというか…そういう感情も彼女は持っているんじゃないかと想像することがある。子役時代の劇団四季ライオンキング出演は当然ものすごい経歴なのだけど、彼女がどんなに頑張っても王様に憧れるシンバ役にはなれなかったわけで。山の人たちの「女は…」じゃないけどさ。

「AKBのセンターになる」という夢を毎日一度は心に思っていたというくらい、誰よりも努力家(同期・前田彩佳いわく「天才と見せかけた努力家」)で負けず嫌いな瑞葵ちゃん。今回の舞台でも、実力のある彼女だから木村早苗のポジションを与えられたのは理解しているけれど、どうか器用貧乏にはならないで欲しいという思いもある。

前向きにどんどん自分を高めていこうとする瑞葵ちゃんだからこれからも頑張ってくれるだろうと信じていますけどね。でも、もっともっと。これからもステージの真ん中、スポットライトの下で輝いてほしいです。本当に。

 

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*1:Amazon PrimeVideo フラガール(2006年)

*2:YouTube 【ゆっくり解説】炭鉱でガス爆発が発生し苦渋の決断...『北炭夕張新炭鉱ガス突出』

*3:ステージナタリー 【稽古場レポート】「フラガール」稽古場公開、主演の樋口日奈は「正面から魂を込めてぶつかっていく」

*4:東野圭吾容疑者Xの献身』より。なお全然関係ないと申しましたが、映画版容疑者Xの献身では絶望する数学者・石神を救ったお隣さんの母娘、母親を演じたのが、映画版フラガールで平山まどか役の松雪泰子氏だったりする。ただの偶然だけど。ちなみに引用箇所は地の文のため映画には出てこない。

僕の夏が始まる公演【20210402 18:30-】

自分でもびっくりしているが、劇場公演のブログを書くのはなんと2019年10月の研究生パジャドラ公演以来、1年半ぶりらしい。2020年も公演自体は何回か入っていたんですけどね。
二度目の緊急事態宣言が解除されてまたチケセンにログインする日々が始まる。でも12月末にさきりんご公演に入ったばかりだったから、当たると思わなくてびっくりした。

今回はキャパは205人に回復。立ち最0ポジに味をしめていたオンデマカメラが立ち退き、俺たちの立ち最が復活。今日はそのセンブロ立ち最の下手寄りに入れました。足元に「ここに立ってねマーク」(動物さんじゃないが)があったからモミクシャにされずに済んだ。席の1列目は相変わらず潰してあって席のソシャディも依然保たれていたので視界も良好。いいですね。ゆずっちきれいになったね。

overtureはうっすらMIXのボイスみたいの入ってた。正直セトリはよくわからんまま入った(というか始まった当初ロビ観したことあったし初見ではなかったんだがもう一般人なので覚えてなかった)。けど前半戦観て、今回もセトリはカット版だろうなと確信はできた。案の定、脳パラもメロスもやらなかった。(劇場公演の記事にセトリを載せる日がくるとは…)

下口ひなな・武藤小麟・安田叶・大盛真歩・谷口めぐ・浅井七海・黒須遥香村山彩希
前説ちゃん:吉橋柚花

M00. overture
M01. 3つの涙
M02. Seventeen
M03. ボーイフレンドの作り方
 自己紹介MC
M04. さっきまではアイスティー(浅井、下口、黒須)
M05. Oh! Baby!(大盛、村山、安田、谷口)
 MC
M06. 最後にアイスミルクを飲んだのはいつだろう?(安田、下口、大盛、浅井)
M07. ウインクの銃弾(村山、谷口、武藤)
 MC
M08. 胡桃とダイアローグ
M09. やさしさに甘えられない
M10. 恋人いない選手権
 MC
M11. キンモクセイ
M12. ポニーテールとシュシュ

M13. 僕の太陽(#ファイト1曲AKB 2007-2008年)

3つの涙ひたすら懐かしい…MVのダンスシーンは謎だったが、そういやこんな手振りだったなぁと。推しを追っていて、わき目にバキバキ踊ってる人がちらついて見てみると、小麟、ひなな、安田さんで チ ー ム K の 人 た ち や ってなった。彼女たちのパフォはAKBというよりはチームKの遺伝子を引き継いでいる。マンモス。

3つの涙は増田さんがいたし、Seventeenは茉里奈が周年公演で10期でやったことがあって、なにかと縁があり…。ちょうど目の前が下手1ポジだったから、推しが結構よく見えた。というかSeventeenはずるい。1サビ推しがよく見えてずるかった。

「今でも君が1番だ 卒業アルバムの右の端 やっぱり君が1番だ 何度めくって確かめただろう」

泣いた。ブログで心情を書くのを放棄したらこの記事を書く意味がない気がするが、察してほしい。ずるい…。「右の端」で斜め下をさす視線がね。いいね。私は流し目フェチだったんだろうか。他の曲でもそうだけど、綺麗なのよ。しかしなんだってあんなにニコニコしてんだ。そして、変わらないのよ。なんかこう、ドヤッって感じにえくぼ作って楽しそうに笑うのよね。…………このままずっとガチ恋の人(私)。

と楽しんでおきながら突然の辛い感想だが、全体として「劇場公演を見ている感じ」が正直なかった。1曲1曲はテンション上がるし楽しめるんだけど繋がりを感じられず、まとまりがなかった。まあオリジナルのセトリではない*1から「僕夏公演を観てきた!」とそもそも言えないのかもしれん。とにかく、客のキャパよりも先にステージの上を完全復帰してほしいと思った。チケット代上げていい。2400円で推しの公演見えるために女に生まれてきたわけじゃない。一般女性も3400円払わせてくれ。あるいはチップ制導入してチケ購入時にお金受け取ってください。支払いますから。
あと、「ポニシュでサイリウムを振る練習」を前座(ゆずっち)と途中MCの2箇所でやった。言い方がかなり悪くなるが「会場に盛り上がりを強要」するのはよくない。そんなことに時間使うんだったら1曲でいいからセトリ復活させてくれ。そっちの方が会場のヲタクが勝手に盛り上がってくれると思うぞ。パフォよりも接触的要素に重きを置いている今のAKBらしいといえばらしい。私は1秒でも長く公演が見たかった。苦言は以上。

前置き長くなったけど「公演としてのまとまりがない」とは言ったがしかし、多くの曲にどことない切なさというか、夏の日差しの中の陰りのような寂寥を感じるところがあって、その都度ヲタク心を感傷的にちくちくしてくるように感じた。さっきまではアイスティーもそんな1曲であった。

「変わっていくよみんな 大事にしてたものも それを成長なんて僕は言いたくなくて」

察してください(2回目)
瑞葵ちゃんのところなみんだった🥺 なみんボブかわいい。声も綺麗だし衣装も似合ってる。でも、Oh babyのなーみん好きだったからそちらも観たかったな…と思うとやはりオリジナルセトリで頼むわって結論にたどり着いてしまう。8人編成でユニットもシャッフル状態となっていてOh! Baby!には村山さんも参加してるわけだが、ドルフィンというほどでもないけど肩から腰にかけて波うたせるようにする振り(語彙終了)が相変わらずきめ細やかで綺麗でしてね…そういえばイルカでしたよね…。ストリートっぽい感じも似合っているというか好きそうなやつだし、横を見れば安田さんもいい。安田さんといえばアイスミルクをなんちゃら。最初下手柱に隠れて誰が入ってるのかわからなくて、でも歌が安定してるから彩希ちゃんかな?って思ったんだけど、安田さんでびっくりしました。安田さんはそれこそ2年ぶりくらいに公演で観たけど、歌うまくなりましたよね?いやはや、頼もしい。

MTはDMMで散々観ていたけど入れたことなかったので、ウインクの銃弾は初めまして。ゆうなぁコンでえっちぃ路線に振り切れた村山さん、MTの頃からまた進化した妖艶な表情を魅せるようになりましたな。大人になったな…説得力。

ちょくちょくMCをはさみつつの後半戦。MCでは昨日がエイプリルフールだったということで嘘にちなんだ話題。「ゆいりーさんはお弁当のトマトを食べた!嘘か本当か?」わかりましたよ。なんだかんだでちゃんと食べる人ですから…(お弁当は半分しか食べないとか修行僧みたいなこと、今はもうしてませんよね…?)あとこれは戻って自己紹介MCの時だけど、はーちゃんが「クロース!」を煽るキャッチフレーズの後、後列の村山さん、そのまま拳を胸にトントンと……クロスの振り付けを高速ドヤ顔でやってて、ああ私の好きな人だって思いました。

胡桃とダイアローグみたいなちょっとセクシャルが混ざったような振り、得意ですよね。腰つきとか。あとこれはヲタクどもに言いたいのだが、いつになったら胡桃の曲が終わった時の拍手ちゃんとできるようになるん?早いから。センターがシュッ!って締めて終わりやろ。覚えろまじで。今日間違えたやつは今日覚えろ。

やさしさに甘えられないはあれですね、センター試験の時に覚えました。タイトルだけだと?だったけどサビまできたら思い出せた。本来は僕夏の前半ラストを飾る曲だったのですが、時短カット版で後半に移動。しかしこれは前半に置いて欲しかった…。アンナ公演のホライズン的なポジションのように思えた。どうしてこうなった?村山プロデューサー、なんか言ってなかった?言ってそうだよな?聞いてみたいよ。恋人いない選手権これはコールなしはしんどいな………コールできないからこそ振りコピだろ!と私のような老害は思うんですけどね。脳内パラダイスカット確定なので機嫌が悪い。メンバーはこの3曲続けて披露がなかなかハードみたいで息上がってましたね。

胡桃でも選手権でも推しをみてて、良くも悪くも周りのメンバーと比べたら落ち着いたなぁって思う。年齢のせいなのか経験なのかはわからんけど。経験といえば、最前ドセンに置いてあるよくわからんカメラやオンデマカメラにも目線送ってたな。わざわざポーズ取り直してサービスしてたりして。レスも、着席・立ち関係なくいろんなヲタクにしていた。テレビやYouTubeの仕事でカメラに対する意識は相当変わったんじゃないか。いい意味で。(かつてのパフォに集中するあまり最前にいるヲタクでさえ気づかないふりする推しも、私は好きだったけどね)

そして、キンモクセイ。この公演もちろんポジション把握なんてしてなかったんですが、まさかの目の前に推しがいまして…。ずるいですね。ずるいです。なんか目がうるうるして見えたんですよ。照明や表情のせいですかね。一応人並みにはキンモクセイを好きになった13期公演を思い出しました。なーみん、かなぶんの声も似合っていてよかった。安田さんほんとうまくなったなあ。

声出しNGだからアンコール発動できないのもあれだけど、本当あっという間に最後のポニーテールとシュシュ。メンバーみんなサイリウム持って出てきました。苦言は先ほどていしたので割愛します。村山さんはどう思っていたんだろう?ステージから見たら純粋にサイリウムの光が綺麗なんだろうけど。大盛さんは背が高くて存在感ありますね。丈の短いスカート衣装なことが多くて、長い御御足が目を惹いたからかな。前に観たのはB公演だっただろうか…ドラ3もすっかり垢抜けましたね。ゆずっちも前説ちゃんには勿体ない。ポニシュの鼻歌を聞けたのは耳が幸せだったけど。彼女も歌がしっかりして安心して聞いていられました。

このまま公演ならざる雰囲気で終演と思いきや、Twitterで募っていたハッシュタグ企画#ファイト1曲AKBからもう1曲。2007-2008年の楽曲から選ばれた1曲ということで披露されたのが僕の太陽だったので無事に機嫌を取り戻しました。相変わらず名曲ですね。ああ、また僕太公演やらないかな。毎年夏は僕太がいいよ。

今日の公演中、ひななとのアイコンタクトが何度かあったけど、ひなながちょっかい出して彩希ちゃんがムッとするやりとりとか本当に楽しそうでね。それもこれもあの夏の特別僕太公演があったからだろうなと。あの頃のアツさが欲しいなぁ、また。やっぱり配信よりも番組よりも私は劇場公演が観たい。コロナで色々と大変なのだろうというのは重々承知しているが、私は運営でも経理でもないのでわがままを言うよ。劇場公演が観たいよ。50回連続公演やりましょうよ。

彼女の言動を見ていて年齢や経験なのか「大人になったなあ」と思うこの頃だけど、でも、劇場公演に立った時に見せる表情は変わらないですね。じっと見ていると、あの頃の彼女もちゃんとそこに立っている。変わったものと変わらないものとを確かめた公演でした。ありがとうございました。5月に大箱のコンサートも決まったし、今年は推しがたくさんのステージに立てることを願います。


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*1:コロナ禍の時間短縮の対策として8人体制が敷かれた上、本公演については全体曲3曲、ユニット1曲がカットされ、以降そのままカット版が続いている

*2:dntキャプありがとう

酔狂落語~二〇二一春の陣~【20210223 11:30-】

久しぶりに舞台のお知らせを見かけたのでチケットとって行ってきた。この回は完売だったらしいけど、一番後ろの一番端っこだったからギリギリ取れたのかもしれない。コロナ禍の配慮なのかわからないけど1時間ちょっとで観やすかった。

「かくかくしかじか」北澤早紀(AKB48)
「ぴいひゃら」佐藤海里 (NGT48)
「月が綺麗ですね」北澤✕佐藤

観た演目のメモをしたいためだけにここに書いているけど、どれも面白かった。落語の言葉の綾を楽しむのはもちろんだけど、時間軸が現在にあって48のアイドル文化などなど絡めた今のお話だったのでどれも取っつきやすかった。

AKBを追う中でいろんな舞台を観てきたけど、落語は新鮮。手ぬぐいをお財布に見立ててお金を出すのとか、文鎮みたいなものでドアをノックする硬い音を表現したりとか。現代にあるものもちゃんと表現できるんだな。芸術鑑賞会で昔みた時から"閉じた扇子でお蕎麦をすする演技"が大好きだった勢なので、落語のこういう特有の表現が面白かった。

瀬戸酒造店の日本酒のPRで3話どれもお酒が出てくるお話だった。早紀ちゃんの「かくかくしかじか」は凄かったな。12月のさきりんご公演生誕祭で委員が用意した幕にも使われていて、今回の舞台は以前やった演目の再演だったみたいだけれど観れてよかった。右向きと左向きで人物を演りわけるのはもちろんだけど、素面⇔泥水の二役を一瞬で切り替えるのが圧巻だった。声も表情も全然違うし。

「ぴいひゃら」は展開に込められたメッセージが現代的でよかったし、「月が綺麗ですね」でまさかかわいいお嬢さん二人が老夫婦をやるとは思わなかったけど、腰のひん曲がり具合とかしゃがれ声とか再現率がすごかったし、耳の遠さからくる聞き間違えのキャッチボールが逐一笑えた。浮世と言わんばかりに死ネタが盛り込まれた時のあの間。それまでと変わらない温度と速度で物語が続いていくのに、息を呑んだような間が会場全体を支配する。そしてその中で耐えうる演技。北澤早紀はすごいよ。



メンバーの舞台を追う中でILLUMINUSの舞台もいくつか観てきた。私個人としては、興奮気味に感想を語るヲタクほどにはのめり込めないことが多いというか、演出の意図がよくわからんかったことが多くて、言ってしまえば当たり外れの差を強く感じてきた。でも酔狂落語は面白かった。会場も駅のすぐ近くでこじんまりとしているけれどいい箱だった。

大きな会場での音楽のコンサートが難しい昨今だけど、映画館とか中小規模の劇場で観る演劇なら、客席の熱量が上がりすぎずに楽しめて今の時代にちょうどフィットするんじゃないかと思う。春先には瑞葵ちゃんが「フラガール」に出るし、河西さんも「アニー」に立つ。あと全然別だけど、好きなアニメの映画が今年だけですでに3作品決まっている。2021年はいろんな作品を観に行けますように。

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YouTube 2020雑感

年末が近づくと雑感を書きたくなったのだが、パワーダウンしてる今なので年内に書ききれず年を越して今に至る。

コロナ禍で活動が著しい制約を受ける中、ちょうど今年に入ってから山内瑞葵ちゃんがIxRでTiktokを、山根涼羽ちゃんはnoteを始めたり…などなど、メンバーが各々SNSやサービスのアカウントを新しく作ったり投稿数を増やしたりして、ネットから元気を発信しようと頑張っている。

 

2020年の一年を振り返った時、避けては通れない存在が超大手の動画共有サービスYouTubeだった。
 
芸能人がYouTubeに活動の場を広げる傾向が強まる中、2020年1月の毎年恒例TDCコンサートシリーズで発表があり、48メンバーがこぞってチャンネルを開設した。自分の推しも現役・OGふくめユーチューブに乗り出し、動画の投稿を始めた。撮影だけでなくPCを買って自ら動画編集を勉強しているメンバーもいる。春の自粛期間中にはAKB48がOUC48(=おうち48)としてユーチューブチャンネルでの生配信をして(機能にはzoomミーティングを使用)いくつもの番組ができた。
 
私事だが、私自身の生活も一変した。テレワーク中心の生活になり在宅の時間が大半を占めるようになる中、サブスクリプションでいろんな音楽を自由に聞きたくてYoutubeプレミアムに登録した。広告無しでBGMチャンネルを何時間も聞いていられるのはとても快適。そしてお気に入りのチャンネルがいくつもできて、赤い再生ボタンのアイコンに頻繁にアクセスするようになった。ちなみにAppleMusicの登録もこの頃したんだった。GAFAの時代。
 
この記事に書きたいのはどのユーチューブチャンネルがいい/悪いという話ではない。
 
私は今までユーチューブの流行をよく思うことができていなかった。それが2020年を生きる中でちょっとずつ受け入れて、毎日楽しめるまでなった。その感想を整理するためにこのブログを書いている。 
 

「やってみた」でいいのではないか 

いきなり結論を見出しにしてしまったが、世の中の流行の中心が若者だというなら、その渦の外にいる者としてできることは「彼らが"おもしろい!好き!みんなを楽しませたい!"と思ったことを自由にやっていく様をただただ観ている」だけだと思う。
 
ただし。これはネットリテラシーの学びとも直結することだが、自分で経験してみないとわからない世界であるのは確かだと思う。たとえば炎上などしくじった経験を持つ失敗の先人から「気をつけろよ」といくら注意を受けたとしても百聞は一見にしかずで、実際に自分が痛い目に遭ってみないと身につかない類のこともあるのではと思う。
 
そしてそういう経験を経るのが多感な若い時期だとしたら、彼らは流行の只中で生きながら学習している最中ということなんじゃないだろうか。そうしたら一連の経験は不可欠だし、実際にやってみないと成功することも失敗することもできない。 

「若者」と書いてしまったけど、年齢的な問題だけでなく、インターネット上である界隈に初めて入ってきた層とも言い換えられると思う。
 

コアラさん

私がメンバー登録したユーチューバーに、あつ森などのゲーム実況で知られる「コアラ's GAME SHOW」のコアラさん(UUUM所属)がいる。
 
コアラさんは辛辣な鋭いツッコミに定評のある邪悪で誠実なクリエイターだが、そのバックボーンにはゲーム・漫画から一時期勤めたという探偵業までさまざまな経験からくる博識と考察力、物腰の柔らかさがある。キレのあるツッコミを連発する瞬発力だけでなく、ものごと一つ一つに対する思想が非常に興味深い。ただのV系ヤンキーのお兄さんではない。
 
そんな彼が以前、メンバー限定放送で仰っていた印象的な話がある。アイドルのユーチューブ参入についてのコメントを拾いながらこんなことを語った。
 
「ユーチューブ一筋でやっているユーチューバーと、イベントの司会などマルチにこなしつつ動画もアップしているユーチューバーがいるとしたら、成功しているのは後者だと俺は思っている。
『動画が何万再生されてるんです』と言っても、ユーチューブの外に出てしまったらその数字は強いパワーにはならない。それだったら例えば『(有名企業の)イベントで司会をやったことがあるんです』の方が強いと思う」
 
その例としてマスオさんを挙げていた。(自分はマスオさんをよく存じてないけど)主旨としてはこんな話だった。
芸能人がユーチューブに参入してくる前から何年もユーチューバーとして活動しているコアラさんはこんな考え方をするんだ、と大変興味深いコメントだった。
 
今までずっと、自分の推しにはユーチューブ"じゃなくて""というよりも"ステージの上でかっこいい姿を見せて欲しいと切に思ってきた。裏の顔を見たいんじゃない。ただでさえ人に見られ続けている生活をして注目が集まっているのに、さらにプライベートな部分までエンターテイメント化するなんて精神破綻しちゃうよ…という心配もあった。
 
だけど、そのコアラさんの発言には考えさせられた。そして気持ちの靄が少し晴れていったように感じた。
 

YouTubeチャンネル2種類

一言にユーチューブチャンネルといっても、コアラさんが示したように「ユーチューバーのYouTube」と「アイドル・タレントなど芸能人のYouTube」があって、その2つには決定的な違いがある。
後者にとってYouTubeは多々ある活動のうちの一つ、副業的な場合が多いということ。活動主体は別の場所にあり、ユーチューバーとして成功することがゴールにはならないはずだ。
だからいずれ芸能人のYouTubeブームには終わりが訪れると思う。
 

「やってみた」後の選択

そもそもブームと言うか、活動ツールの一つとしてYouTubeを「やってみた」という感じだと思うから、自分の活動に合わなければ「やめる」という選択肢をとる人が出てくると思う。「やめる」まで行かなくても、活動の中心がまた変わっていって「休止」になるかもしれない。
「飽きた」だって怠慢などネガティブな意味では決してない。むしろ自分がキャパオーバーだったり、自分のやりたいことにフィットしていなかったりで「本能が警鐘を鳴らしている」と捉えることができる。その「やめる」選択は逃げでもなんでもなく、その人が自分の仕事をまっとうする上で当然のことだと思う。
 
インターネットにはサービスが飽和している。自分が生きていく場を絞っていかないとやりきれなくなってしまう。
そして、どの場で生きていくかを選択する行動として「やってみる」「成功する/失敗する」「続ける/やめる」は万人に必要なプロセスだと思う。
 
全世界に通じるユーチューブなどのウェブサービスは、そもそものユーザーの母数が膨大なので瞬く間に大拡散・大流行する。そして瞬く間に廃れる。「やってみる」の必要プロセスを踏んでいるだけでも、その世界ではプロがクリエイトした動画も、素人が回したハンディカメラの映像も全てが等しく可視化される。
見るものの琴線に触れた都合のいいものが拡散される。それが今のインターネットなんじゃないかと感じる。 アンディ・ウォーホルが説いた「誰もが15分は有名人になれる時代」は今、とうに飛び越えてしまった。
 
なので、YouTubeを推しが始めたとしてもそのうちやめるという選択も大いにあるなぁと思っている。だから、やりたいことをやってみたでいいんだと思う。「あなたがやりたいと思うことを好きなようにやってください」と推しを応援してきたのはヲタクだし。それにユーチューブでの活動を続けていったとしても、彼女たちの活動の軸はぶれることないだろうと信じている。だって、その軸があるから私の"推し"なんだもの。
  

幻滅についてのどうでもいい話

Youtube雑感を書いているうちに、気づいたら「ヲタクって何だろう」を考えるはめになっていた。そしてヲタクとしてのスタンスを考えて記事を書いているうちに、ジョルジュ・ローデンバックの小説『死都ブリュージュ』の顛末を思い出したので書いておく。

 
岩波文庫で絶版になってるしネタバレしても問題ないと思うので記憶の限りであらすじを書くと、「最愛の妻を若くして亡くした主人公男性が、街で亡き妻そっくりの女性を見かけて一目惚れする。彼女は劇場で踊り子をしている清楚な娘で、男はすっかり惚れ込んで通い詰めてアプローチするわけだが、家に招き入れるまでの関係になると実は礼儀のない下品な娘であることがわかって失望し、しまいには妻の大切な遺品で遊びだすのでぶちキレて殺してしまう」という具合。いかにも退廃的な世紀末趣味の物語である。間違っていたらごめん。
 
読後は、どんなけ自分勝手な話だよと思った。思ったが、殺めるまではもちろんいかないにしても同じような幻滅の経験は多くの人にあるんじゃなかろうか。
 

推しに「幻滅」する経験

「幻滅」というと聞こえが悪いのだが、実際私は握手会で「幻滅」したことがある。それはがっかりして嫌いになったという辞書的な意味ではなくて、「私が頭の中に思い描いていた推しと現実の推しが異なる色だと気づいた」つまり「私の頭の中にいる推しの幻が滅した」経験を指す。
 
その幻滅経験は、自分と推しの距離感を認識するために重要なんじゃないかと思う。特に私のような没頭しがち干渉しがちなガチ恋に関しては。あなたにはこういう部分もあるのね、と気持ちを整理するうえで便利な経験ではある。「知らなくていい」という状態を保つのが難しい現代ではなおさら、そう思っておくしかないとも思う。
 

好きは好き、面白いものは面白い、つまらないものはつまらない

YouTubeに参入していく推しの活動はそれだけ多岐にわたっているのだし、応援するヲタク側もまた「推しのすべてを追う」というメジャーな姿勢を見直す時に来ているんじゃないかと思う。
 
だからどんなに好きな推しでも、見たいものだけ観る。好きなものは好きだし、面白いものは面白いから見る。でもつまらないものはつまらないという感情でいいし、納得いかなければ見ない、支払わない(払って支えない)選択をすればいい。自分が支えていなくたって、ほかの大勢の誰かがどこかで支えてくれている。それでいいんだな…と思えたのが2020年だった。
 
動画の最後で誰もが口にする「チャンネル登録、高評価、コメント」の数字なんて業務上でしか役に立たないと思っている。個人的な体験としてこの2年でそう実感することがとても多かった。例えフォローもRTもいいねもされずにその数字が伸びなくても、見てくださる方は見てくださっているし、見てる奴は見てる。何人に見られているかよりも、誰に見られているかのほうが重要。どんなに数字が小さい人だって良い(もしくは悪い)ポストをすればそこに注目が集まる。そういうふうに構築されている、この世界は。
 
だから、推しのすべてを好きでいようとヲタク一人が無理する必要はない。多岐にわたる活動をしているメンバーほど多方面にファンがついているのだから。自分を大切にして推しごとしましょ、治安よく。 
 
 
 
と、少なくとも自分には言い聞かせることにしました。
「そんなことずっと前から思ってるわ」って人も多くあるでしょうけど、私はこうして書いて文字にしないと腑に落とせないところがあるので、当たり前レベルのことでもこうして書きますよ。
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推しの動画がおもろかったから見てほしい

youtu.be

 

くそおもろかった。ユーチューブを始めて2ヶ月ほど経つ河西智美さんなんですけど、昨日投稿された激辛麺を食べる動画。ほんと面白かった。気に入った動画はひたすらリピートする性の私だが、彼女のユーチューブ「チユウチャンネル」の動画で一番ヘビロテ再生している。多分50回は見た。

 

本当に面白かったのだが、コメント欄に投稿しきれないくらいの数の感想が生成されてしまったので記事として書くことにした。
そして最近書くことのリハビリのためnote投稿を続けているのだが、この話題ははてなブログの方だなと判断して今日はこちらに投稿しています。だから日記的でいつもと色が違う記事です。

 

おもしろかったポイント(ネタバレ含む)

"ネタバレ"とは言ってもこれから書くことが1だとしたら、動画の河西さんのアクションは100ってくらいに面白いからぜひ見てほしい。元気が出ると思う。

 

おもしろかったポイント

  • 「辛いものは得意だから辛がれないかもしれない」と、動画の撮れ高を気にかけているところ。言ってしまえば韓国の辛さ2倍をナメきっているところ。
  • ユーチューブを始めてから今までは躊躇してたことも「ユーチューブでやってみよう」という発想に変わって充実しているというすばらしい近況報告
  • 毎日がエブリデイと叫び、キッチンでエビカツの間奏を踊りだす
  • と思えば次の瞬間さびしがる不安定なメンタル
  • ミュージカル俳優ぶりを発揮し、即興で状況を歌い出す
  • (彼女にはよミュージカルの仕事をくれと願わずにはいられない私)
  • 泣いてるルナのTシャツがかわいい(伏線)
  • 声がでかい
  • 茹で汁スプーン3杯でいいのにマイメロのピッチャーで1リットルくらい残している
  • ホットプレートからソースがはみ出ていくのを阻止しながら「いけるよ!」と自分を励ます。声がでかい
  • テロップのセンスがいつもの動画と違うような気がする(おもしろおかしい)
  • 黒い文字のテロップの最後に絶対ついてくる「。」
  • 効果音もおかしさを煽ってくる
  • おいしーいと食べてる最中に突然襲ってくる辛さ。レクイエムのBGM。
  • 辛さと対話していてもはや演劇レベル
  • 聞いたこともない「ぴゃあああああ」という叫び声
  • 「毛穴がパァ!って開いた感じ」→テロップ「河西智美誕生」
  • 情緒が不安定になってきて自問自答
  • 辛さ2倍を食べて河西の様子がいよいよおかしくなる
  • 「からーい!」「これからーい!」の声が完全に月野うさぎ美少女戦士セーラームーンのアニメで聞いたことあるやつ
  • そういやこの人セーラームーンなんだった
  • 叫びだす直前のシャネルの心配そうなにゃおん
  • 突然すべてを投げ出してスネだす河西
  • BGMの蛍の光がたまらなく切ない(笑いながら)
  • 情緒が安定しない飼い主をひたすら心配するシャネル
  • うじうじと嘆き続ける河西
  • 相槌を打ち続けるシャネル
  • シャネルに相槌を返すスネ散らかした河西
  • (もしかしてシャネルはルナだったのか?という疑念が拭いされない私。伏線ここで回収)
  • Wao!
  • 思考回路がショートしてしまった河西
  • 締めでなんで名前の前に「29歳」つけた?
  • 謝罪というか反省しだす河西
  • (だんだんと「治安」の意味がわからなくなって辞書を引いてしまう私)

これ全部コメントしたかったけど流石にスパム扱いされそうだったのでこの記事にしました。気になった方はぜひ見てみてください。

 

AKBメンバー、OGを含めて芸能人の方が続々ユーチューブチャンネルを開設している昨今ですが、河西さんのチャンネルを日々見ていて思うのは「この人は本当にYouTubeをやりたくてYouTubeを始めたんだな」ということ。

誰かのチャンネルでも見たことあるようなYouTube的企画も多々ある(今回のもそう)けど、自分でやってみたかったんだなっていうのをどの動画を見ていても感じます。

特にASMRなんかは私も個人的に好きでいくつも動画を見てきましたが、河西さん初めてのASMRは、どういう音、どういう撮り方をしたら素敵なASRM動画になるかを河西さん自身よくよく研究して撮影しているなーと感心してしまいました。

頑張っています。ぜひ見てみてください。

 

 

youtu.be

 

YouTubeについて、この年末から雑感として下書きをしているところでした。あんまりまとまりきってないのでまだ出してないけど、このブログを書いたことだしこれをきっかけとして投稿しようかな。また後日。

 

舞台「ホテル・アヴニール」【20201213 12:00-@Theater mixa】

あやなんが出演する舞台を観るために、今日は池袋のtheater mixaという場所に行ってきた。駅からサンシャインシティまでの途中の賑やかな通りに面したビルで、ゲームセンターが入るその上の階が劇場施設になっている。秋葉原のドンキみたいで池袋ながらなんだか落ち着いた。

 

入場前に記入する来場者の用紙(体調のこととか聞かれる)とか、電子チケットの何もない画面にスタッフさんが指タッチで図形書いてチェックインするのとか初めてだった。先月に河西さんのライブに行ってきてそのブログを書いたけれど、芝居の観劇もまた3月以来。コロナが常態化した2020年末、観劇の現場はこうも変わったのか。

 

※以下感想にもならない備忘録ですが、ネタバレ等気にせず書いてるのでご注意ください※

 

出演者:上田悠介、小西成弥、椎名鯛造、高橋良輔、葉山昴、深澤大河、校條拳太朗、植万由香、篠崎彩奈、藤松祥子

演出:川本成
脚本:A・ロックマン川本成/西山宏幸
⾳楽:⻄⼭宏幸
制作:SOUL GARDEN
主催:講談社 

 

演劇については「板の上で見せてもらうものが全て」と思ってるのでいつものように予習はせず、あやなんの755の投稿を偶然読んだくらいで会場へ。着いてみると女性客ばかりで、いつものあやなん現場の雰囲気が薄く???だった。若いお兄さんが何人も出演しているから、その俳優さんたちのファンで占められてるのだろうと察した。

 

東京のホテル・アヴニールを舞台にして、2人1話で演じられるいわゆるオムニバス形式の舞台。小説の締め切りに終われる夫とその妻。劇団立ち上げの青年とその友達。結婚して島に渡ることが決まったボーカルとその相方としてギターを弾くあやなん。ホテルの従業員と辞めたばかりの先輩、の4つの短い物語。

調べてみると2016年が初演みたい。台本に手は加わっているのだろうけれど、2人ずつしか舞台に立たない仕様とか、部屋に遊びに来た青年がコンビニ袋を置いてまず手洗いするところ(話の進行上必要ではなかったと思う)とか、2020年冬のコロナが常態化した今初めて観劇するとその演出は時代にフィットしてた。演劇も時代に合わせてこうやって変化していくんだろうなという兆しというか、今までには見なかった潮流を感じた。

 

ストーリーは755のあやなんの説明なしでもわかったよ。けど確かに、観劇に慣れていない人だったらわかりづらい部分はあったと思う。笑っていいところ(ぼけ)が序盤に多く、喜劇なのかシリアスなストレートプレイなのかわからないままに客席に座るとそのへんの読み取りづらさはあったかもしれない。

時系列も、土曜日からフェスのある日曜日にかけての話であることが最初のお話(小説家と編集担当)の電話のやりとりでわかるようになっていたけど、そのちょっとの符号を読み取り損ねると迷子になったかもな。もちろんそこで迷子になっていたとしても十分楽しめるお話だったし、劇中劇もわかりやすかったので優れた役者さんと台本による演劇らしい演劇だった。どこかで毒を盛るどんでん返しがあるんじゃないかと考えつつ観てたけど、普通にハートフルな舞台だった。

 

文学・演劇・音楽と続いて4話目のホテル従業員二人のストーリーの中で、誰かの物語を想像しながらルームを片付けてベッドメイキングする哲学的な話がとても面白かった。確かにホテルってそういう白い場所だ。世の中にいろんなものと情報が溢れている中でそんな天職に巡り会えていること、一旦やめたけど戻ってきてくださいと力添えしてくれる後輩に恵まれたことが羨ましい。クリエイトが好きな人たちの話であることは間違いない。呼吸をするようにクリエイトをするしかない人たちというか。

 

それにしても、あやなんの演じるあずさ(だったよね?)かわいかったよ。白いアコギを常に持ってて見慣れない姿なのに、背中にギターをまわす仕草とかなんでだか一丁前に見えた。

ボーカルのたみことは気が置けない間柄でふざけて笑い合う中、実質的には"解散"を目前にしている二人。「思ってることは言ってくれないとわからないよ」と真面目な話を吹っかけてからの「おでこ触って」の下りはまじでかわいかった。どうしましょうと思った。たみこがあずさのおでこから手を離す時にささっと前髪(分けておでこが出てはいたけど)を整えてあげる仕草を見せたのもよかった。

あやなんが出演する舞台には、大体そういう可愛く見せられるシーンがあるような気がする。見せ場があるというか、演者として篠崎彩奈を見せる場所をわかってきちんと伝えてきているような感じ。そういうとこがあやなんはずるい。本当にもう。どうしましょう。あずさのおでこを触ったのはたみこなのに、観客の自分自身が触ってしまったような感覚にさえなった。

歌もしっかり歌ってたし。ちなみにおでこに手を当てられながらあずさが本音を話すの中で「わたし歌下手だし」ってセリフがあったけれど、あやなんは下手ではないよ。セブ島企画のSHOWROOM配信あたりから肝が据わったというか変わったと思ってるよ。J popには疎いので36.5度のあの歌が誰の歌なのかとかわからないが、最後のライブで歌う新曲もどれもいい歌詞だった。この舞台にぴったり。

90分の長くない時間だったけど、楽しかったです。普段とは違って自分のファンより他の出演者のファンの方が客席に多かったんじゃないか?という意味でアウェイ戦だったんじゃないかと思うけど頑張ってた。今回もありがとうございました。また舞台楽しみにしてます。

 

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Tomomi Kasai 29th Birthday Live【20201114 19:30- @目黒Blues Alley Japan】

夏に宣言した「無期限停止」が嘘になった。ごめんなさい。ネット配信で河西さんのライブが観られる機会なので伝わってほしいと思ってこの記事を書いている。


今日のバースデーライブは2部制で、両公演ともにStreaming+でのネット配信がある。彼女の誕生日11月16日を挟んで明後日まで視聴可能なので、ぜひこの折に観てほしい今の河西さん。聴いてほしい今の河西さん。
神ライブ。この方のライブは毎回素晴らしくて、夜の第2部ではユーチューブで途中MC+1曲生配信されたけれど、今回のセットリストは特に歌詞のメッセージを込めて持ち歌だけでなくカバー曲(ヒット曲揃いだったのできっと聴いたことある)にも軸足を置いた内容になっていて、今この時に楽しむステージとして至高だった。

もう一度書きますが、eplusからチケットを買って今日から11月17日(火)23:59まで視聴できます。eplusアカウントがあればOK。1公演約90分3000円。1秒1.8円換算だけどそれ以上の価値あります。ぜひ観てみてください。
セトリはこの記事の一番下に掲載していますが、2回公演で変えてきてる楽曲もある(ところどころカット箇所があるっぽい)のでお好きなほうだけでもぜひ。配信用カメラ、なんと8台入ってたらしい。

YouTubeライブ配信アーカイブ(MC+今さらさら歌唱。これは今すぐみれます!!!)


3月に脳内ポイズンベリーの舞台を観たのを最後にコロナ禍へ。オンラインイベントばかりの先が見通せない中で最初の現場になるのは何だろう?と気がかりだったところ、11月生まれの河西智美さんのバースデーライブが決まった。そしてコロナ流行第3波と報道される中、毎年恒例のライブスケジュールは無事に当日を迎えた。
私がAKB48劇場を好きになったきっかけの人。離れた時期もあったけどマイペースに応援してきて、起源は彼女なんだなと感慨深くなる。今ではもう卒業後ソロ活動に転じてからの期間のほうが、AKB在籍期間よりも長くなるのだという。いろんなことがあったけど今でもステージを愛して立ち続けてくれていることをとても尊く愛しく思う。

第1部は配信で、第2部は幸いなことにチケットを手に入れて現地で参加できることになった。
BLUES ALLY JAPAN、何度ここに来たことか。都心のライブ会場が大好きな河西さんで、目黒のこの場所はだいぶ通い慣れた。とは言っても半年以上ぶり久々のライブ。スタバのイルミネーションに11月を感じつつ、こんなに綺麗な街だったっけと思わず写真を何枚も撮ってしまった。

生の舞台で見るライブ、スポットライト、演者の一挙一動、観客の手拍子、笑い声…今まで当たり前に思ってた"ステージ"を構成するエレメントのひとつひとつが輝いて感じられた。配信で観た時以上にスポットライトの色々がきらめいて見えたというか、ライトの色々に照らされた河西さんの長い髪がとても綺麗で、歌の世界に吸い込まれる感覚があった。ライトってこんなに綺麗だったっけ。生のステージってこんなに輝いてたんだな。
以前からライブでファンのテーブルに用意されていた指鈴が、声を出して応援できないコロナ禍で生きてくるとは。曲に合わせてリンリンと鳴る指鈴がBメロに入ると「とーもみ!」のリズムで打つのを聞いて、ああこの鈴はファンの声だ…と思った。河西さんもMCで「鈴の音はファンの声援」とそういう言い方をしてたけど、比喩じゃない。確かに鈴の音はファンの声だった。

いつもだったら「ここからはカバーで」とはっきりパートを分けてくるところだけど、今回のライブは持ち歌にカバー楽曲も含めて河西さんのメッセージが一曲一曲の歌詞に込められているセットリストだった。負けないでは、個人的に5月の同人誌の追い込み時期に毎日のように聞いていたので←かなり嬉しかった。どんなときも。も完全に世代なので嬉しい。「どんなときもどんなときも 迷い探し続ける日々が答えになること 僕は知ってるから」…河西さんの声で改めて歌詞をたどってみると、今までと違った響き方で聴こえた。メッセージ性が強い歌を選んでいるだけでなくてメッセージを伝えようとする思いがいつも以上に強かったように思う。それもこれも生で会える機会が激減した今だからなのかもしれない。

もちろん河西さん楽曲もとても楽しめた。大好きなMineも第2部のオープニングで聴くことができた。イントロの「誰にも」が急にセリフだったりして、アレンジにドキッとしたり。シングルの中では歌いにくそうなことが多かったけど、振り返ってみるといつの間にかすっかり気持ちよさそうに歌っているし、こちらも安心して楽しめるようになった。いつ頃だろう、なんとなくセーラームーンのステージに立って以降さらに安定したように思うけど、安定というよりは自信が強くなったというか(偉そうな表現になってしまうけど)意識に磨きがかかっているというか。とにかく河西智美は日々進化している。指鈴を鳴らすようにしきりに促されたけど、そう言ってもらわないとすぐ手拍子するの忘れちゃうくらい引き込まれた、どの曲もそうだった。引力が強かった。
ぎゅっと!STAR-T!もずっと聴いてきた歌だけど、今日はやっぱり聴こえ方が違う。歌詞に登場する「君」と「僕」がストーリー上の誰かではなくて目の前のみんなと私だよとはっきり聴こえた。河西さんの明るい歌が大好きなのでとても嬉しいセットリストだった。

手紙 〜拝啓 十五の僕〜はじんときた。私がAKBの河西智美を知った時、彼女がちょうど15歳だったことに気づいた。流行ったこの歌はいろんな場面で聞いてきたけど、河西さんの歌唱を聞いて初めて愚直な言葉たちが沁みてきて、自分が入り込める歌になったと思った。「あの時の辛さがあるから今がある。もしあの時の辛さがなかった今の自分はないと思うと、こわい。あの時があってよかった」と話していた。コロナでいろいろな不自由を強いられて、自分にとっての大切なもの・好きなもの・譲れないものがはっきりしたと。そしてライブの締めでの一言、今は辛い時期かもしれないけどみんな元気でまた会いましょうとも繋がった。辛くても生きてそれを乗り越えていけばきっといつか良い方向にどうにかなる…と。しっかりとそう言っていた。逞しかった。彼女は繊細かもしれないが、脆くはないと思った。

そして名曲、。愛の塊のような暖かいこの歌を大好きな河西さんの歌唱で聴くことができるなんてこんなに幸せなことがあっていいのか。メッセージ強めのセットリストについて「いつもだったら「ちょっとクサいかな」と避けるけど、今日はもうクサくていいと思った」と話していた。「恋愛としてこの歌が歌われることが多いけど、私はこの歌詞にファンのみんなと私の「絆」を感じた。そうやって織った布が誰かの傷を癒すかもしれないし誰かを庇うかもしれない。それはとても素敵なこと」だと。「ネットだと言葉が一人歩きしてトゲっとしてしまってそれでさらにトゲっとなってしまうけど、私はそこをもちっと。そうしてもちもちと楽しんでいきたい」と。(小生には用法が難しいワードなのでこれ以外の書き方ができない) ああ、好き。ああ好き。
河西さんのあたたかみに似合う歌だと思った。目を閉じて、手を縦に横に動かしながら歌詞を辿るように歌うのが好き。体を揺らして、ノリのいい曲では細いヒールでリズムを刻んだり、膝を曲げて力をこめるのも好き。彼女の歌はとても引き込まれるけど、それだけじゃなくて現場で観るステージはやっぱり格別。歌はいい。




個人的にいろいろある中で、歌詞のある楽曲を聴くのが怖くなっていた。テレワークに切り替わったのを機にディズニーBGMとかジャズやクラシックとかばっかり聴いている一方で歌詞のあるポップスも無性に聴きたくなるのだけど、言葉は具体的なのであれこれ思い出しては深く考え込んで沈むことが多くなっていたのでしばらくずっと避けていた。正直。けど今日ここに流れた音楽には陰りがなく歌詞には棘もなく、河西智美の言葉としてしっかりと届いてきて、あたたかく優しかった。ただただ嬉しくて楽しかった。ほくほく。あ、これがもちもちか。

先日、河西さんがユーチューブチャンネルを始めるというニュースを聞いて、インスタに思い切ってコメントした。心配性の自分、重いメッセージなのはわかっていたのだけど、手紙も何も書かない自分が今気持ちを伝える術はここしかないと思ったから。すると、すぐにいいねがついて返信をくれた。コロナ禍でSNSなどネットを通じた「新しい繋がり」をポジティブに受け止められたとMCで話していたように、まさに「読んだよ!今画面のこっち側にいるよ!」と伝えてくるかのような返事だったから、嬉しかったけどそれ以上に驚いた。ずっと応援してきたといってもネットからエールを送ることくらいしかできなくて、握手会も通ってなかったから認知もされてないし、彼女が「チユリス」と目を細めて言う中に私は入ってないんだろうなーとずっと思ってきたから、自分なんかの言葉もまっすぐ送ればちゃんと届くんだと実感した瞬間だった。

なんて暖かいんだろうって。これからチーンって悲しいことや傷つくことがあっても味方がいる、こんな最高なみんながいるんだって思うから大丈夫
それを文字だけではなくてステージの上で彼女の声で話してくれた。河西さんは舞台に生きる生命力を持っているのだと思った。落ち込むことがあったってまた立ち上がってくれる。だってあんなに輝いてる。だから、私ごときがそんな憂えなくても大丈夫なのかもしれない。彼女だって自分のファンが憂えることを望むわけがないし、私ももっと素直にもちもちと今を楽しんで良いのかもしれないと。思うことができました。そして「これからも頼むわw」でマスクの下で声だして笑いました。ありがとう。


TOMOMI KASAI 29th Birthday LIVE 第1部【20201114 16:00〜】

01. 負けないで *ZARD
02. どんなときも。 *槇原敬之
03. ぎゅっと!
MC
04. キエタイクラ
05. まさか
MC
06. 友よ
07. 夕陽を見ているか?(イントロハーモニカ演奏)
08. 向日葵
MC
09. 手紙~拝啓 十五の君へ~ *アンジェラ・アキ
10. 糸 *中島みゆき
MC
11. Enjoy your life!
12. STAR-T!

TOMOMI KASAI 29th Birthday LIVE 第2部【20201114 19:30〜】

01. Mine
MC
02. 負けないで *ZARD
03. 僕の太陽
04. どんなときも。 *槇原敬之
MC
05. 今さらさら
06. ぎゅっと!
07. Lovely days
MC
08. 手紙 〜拝啓 十五の僕〜 *アンジェラ・アキ
09. 糸 *中島みゆき
MC
10. Enjoy your life!
11. STAR-T!

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