
- 作者: 有馬哲夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: 単行本
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そのケイシーさんについての実話を知ったのは昨年出版された有馬先生の書籍でした。
有馬氏は「ウォルトが作りたかったのは“交通博物館”」とかかげ、アメリカにおける蒸気船と機関車の重要性を述べています。
その中で、ダンボに登場する、機関車のケイシー・ジュニアをアトラクション化するにあたっての“勇敢な機関士”の実話や、
スプラッシュ・マウンテンにおける「南部の唄」と、日本でのその作品の需要、アトラクションにおける比重などが細かに記されています。
南部の唄に関しては、現在廃盤なので中古のVHSでしか拝むことができません。
実写・アニメ融合の作品のなかで特に、うさぎどん・きつねどん・くまどんが登場する、スプラッシュ・マウンテンといえばこの世界!といえるアニメーション部分の寓話のさわりがまとめられています。
このようなアニメーションを大切にする姿勢が、今のディズニーを発信するメディアに希薄すぎるので、その点でも本書はとくに面白いエッセンスがつまっているかと思います。
有馬さんのディズニー書籍というとこれまではアニメーションを文化史的な視点で解剖したり、ご専門のカートゥン・メディア史からまとめるスタンツが多かったのですが、
本書はウォルト・ディズニー・ワールド創設までの経緯を、ウォルトのおじいさんの代のアメリカ開拓の時代までさかのぼって綴られています。
ディズニーというよりは、アメリカ史、ウォルト・ディズニー史といったほうがしっくりくる。「ディズニーランド」という世界観がいかにアメリカ的なものかということがよくわかります。
ディズニーを根本から愛したい人には必読の1冊です。