神奈川芸術劇場(KAAT)の舞台芸術講座のトークショーに行ってまいりました(´ω`)!*1
ペットボトルがチケット代わりという。
ゲストトーカー:
増田セバスチャン(アートディレクター)
藤谷香子(コスチュームデザイナー、「快快」衣装)
宮本亜門(KAAT 神奈川芸術劇場 芸術監督)
司会:
金森香(ドリフターズ・インターナショナル)
で、
何書こうとしたか忘れるくらいには衝撃を受けています…。
断片的な感想になりますが、載せておきます。
トークのテーマが「ファッション」なのですが
それこそセバスチャンさんがアートを発信するきっかけになった原宿のファッションについてだったり、
藤谷さんが携わった舞台とその衣装から、「ファッション」が持つ可能性の大きさについてだったり。
ウィズの依頼を受けたセバさんは「亜門さんは雲の上の存在の方だったので本当に信じられなかった」と話していました。
亜門さんはセバスチャンさんプロデュースのキャリー・パミュパミュをみて、
「どこかで見たことはある感じだけど、すごくおもしろい。あの映像が欲しい」と思い、依頼を決めたそうです。
自分には舞台は多く観たことがないし、演劇の業界でどんなことが起きているかの知識もほとんどないので、
亜門さんの「演劇」についてのお話は、自分にとってはどれも新鮮で、ただ聞いていることしかできず、それも頭フル回転で考えても追いつけない瞬間があったりして。
なのでここでは詳しくは割愛します。
「ストーリー」というワードから「なぜ演じるのか」「日常生活の中で人は常に“演じる”ことから逃れられない」など膨らんでいく中で、
観客と演者の1対1の対話があったのに、観客と演者のあいだに“評論家”が介されてしまっているのが今の「演劇」になってしまっているけど、
左胸を叩きながら「ここが感じるかどうかで勝負しようよ」とおっしゃる亜門さんが印象的でした。
「オズの魔法使いという物語は付録」にすぎず、ストーリーや脚本的な流れがどうとかではなく、ステージ上に存在する肉体が演じる劇を感じてほしいそうです。
劇場の敷居は低く低く。いろんな人々に観に来てもらいたいし(いろいろな人々に観てもらいたくて劇場外の街中で活動をされているのが藤谷さん)、日本の公立劇場という性格柄、無難なカラーで地味におさまっているけど、人はもっと個性を主張するべき!ともおっしゃってました。
藤谷さんとセバさんがファッションの表現性について話しているのだけど、
亜門さんは本当に話さず、マイクも置いたままでしょっちゅうお水を飲んでいましたwww
けど、それもどうやら「これはこういうもんだ」という評論的な決定的意見になってしまうのを避けていた故の無言だったようで、
若手2人に話を促す姿が多かったなあ。
新しい表現を求めてアンテナを立てている方は、良い意味でプライドがなく、どんな個人でも尊重した態度をなさるんだなと。
ウィズと有華について
「ウィズ〜オズの魔法使い」に関する話題はほとんど出てこなくて、
逆にそれがすごく新鮮でした。
有華のファンとしては大事件だったけど、彼らにとっては本当に1つの企画に過ぎないんだな。
ウィズは断片的に話題にのぼっていたのですが、有華については本当にノータッチでww
トークを聞きに来ていた人は、ファッション系や演劇系らしい人々が多かったみたいで、本当にファン向けのイベントではなかったです。
けど、皆さんがしきりに「舞台とかファッションとか美術とか、ジャンルの境界を取っ払いたい」という趣旨の意見をするように、
本当は聴衆もファッションなどの業界に捉われていない、様々なジャンルの人たちが脚を運んでくれればベストなのですが、
「劇場」という場所が絶対的に限定的な条件を与えてるだけにそれも難しいことを、このトークの折に痛感しました。
実際、AKBでドロシー役のオーディションをすると決めたのもそういう、劇場のお客さんが決まりきってきてしまうという動機があったことを亜門さんは説明してました。
亜門さんは本当にAKBを知らないようで(セバスチャンさん曰く、知っているAKBメンバーを聞いたら「秋元康さん」と答えたそうです)、
オーディションや有華に関してもほとんど言及していませんでした。
メッセージを伝えることに関して、
セバスチャンさんは「少女が女性に変わる瞬間にきらめきのようなものはあると自分は信じてい」て、
「その変わる瞬間の大爆発をこれまでに何度も目の当たりにしてきた」けど、「増田有華ちゃんもまさにそう」だと感じているそうで、ドロシーと有華をかぶせてみているところが本当に強いようです。
まさかの展開
“KAATのエントランスに特設されたステージ”が会場だったのですが、なんと客席もステージ上にありまして…ww
定員が30名ほどという何とも小規模な空間。
一日の予定を超巻いてトークどころか受付開始の20分前からホール内をウロウロしていた私は無論、1番乗りで受付を済ませて
最 前 席 w w w w w w w
全員が舞台上という同じ空間にいるため、出演者と聴衆のはざまもなく、
亜門さんと増田さんまで3メートル、しかもセバさんの正面0ズレという信じられない状況が…。
そして、トークが終わったらなんと皆さんすぐ引っ込まずに、ゲストトーカーの方々がホールをウロウロしてくださってるので
亜門さんとセバスチャンさんにご挨拶をさせていただくことができ…。
今までこういう機会を経験したことがなかったので緊張しすぎて泣くかとおもいました。
2人ともとても優しそうな方で、平凡な言葉しか口から出てこない俺の愚言に、そうですか、うんうんと耳を傾けてくださいました。
有華に与えてもらえた大きなチャンスに感謝してますという意味のお礼を、お伝えしたかったのですが、いかんせん上がってしまって…言えたかな?言ったよね?俺…
だって、増田セバスチャンさんを目の前にして完全に頭真っ白になって「増田さんの…あ、増田有華さんのファンで…」と言い直してしまった時の罪悪感と言ったらなかったですよ。
本当に失礼しました…。
そして、わたわたとファイルからチラシを引っ張り出したときにひらりとすり抜けて床に不時着したところを「落としましたよ」と亜門さんが拾ってくれた、展覧会のポストカード(計1点100円)のレシート。…絶対に捨てられませんわ…
でも!
まさかまさか…と思ってはいたけど、もしかして…とも思っていた俺。
過去のチラシを持っていって、本当によかった…
サインを頂くことまでできました…。
亜門さんには一番初めにリリースされた48グループ内ウィズオーディションのチラシに、
そしてセバスチャンさんには
セバスチャンさんが手掛けたポスターイメージと同じチラシに…!
持ち合わせのチラシと、俺が持ちうる最高質のボールペン(uniのジェットストリーム0.7mm黒インク)しかなくて
しかもチラシの背景が真っ黒だから、書けそうな場所が限られてきて小さくなってしまい、「見えなくなっちゃったー」なんて言いながら書いてくださったのですが、
サインしてくださったセバさんの清い御心と筆圧のおかげで、くっきりはっきり見えていますよ私には!!!
このチラシ、既に何枚も持ってるのに、街で見かけるとついついラックから取ってしまう。
ブックカバーにしたり手帳のカバーにしたり部屋に貼ったりノートの表紙に貼ったりするくらい。
画像をiPadのホーム画面にしたりもして(「引き出そうね」から戻しちゃったごめんゆみちゃん)。
ビビッドでカラフルで、その真ん中で有華が笑っていて、
シンプルであって動的で、いつまでも眺めていて飽きないワクワクする新鮮なイメージなので、本当にお気に入りだったんです。
一生の宝物にします。
感想
「世界の」なんて形容詞をつけて“世界の宮本亜門”とかって言いますけど、
お話をうかがってると皆さん、本当にごく普通のアート関係者で、
大規模なゼミの飲み会とか、展覧会のレセプションとかで出会ったことのあるアーティストやキュレーターの方と同じオーラを感じました。
世界中で活躍なさってる“すごいひと”たちも“夢の中の人”ではないんですね。
お話をさせて頂いた時に、セバスチャンさんにAKBの有華ちゃんについてうかがったのですが、
AKBというアイドルはきっかけでしかなくて、今はもう「亜門さんがいてスタッフがいて出演者がいてそのなかに有華ちゃんがいる」という感覚だそうです。
自分はずっとアイドルやAKB48のファンだけど、
もし有華のファンじゃなかったら、今日の舞台の講座にも行かなかったし、中ブロのときもそうだったけど、舞台にこんなに興味を持って観られなかったかもしれない…なんて考えると
ひょんなきっかけから自分をどんどん膨らませていくことの大切さがわかりました。
どうでもいいとは言い切れないけど、きっかけって何でもいいのかもしれないですね。
美術史をやっていて論文を書いたり美術館に行ったりしてるけど、
前衛のアーティストにとって、論評は不自由だし、美術館は「作品の墓場」とさえも言われる。
大好きなアートを作ってる人たちに、毛嫌いされてしまうアートを扱う学問ってどうなんだろう?と考えてしまいました。
「狭き門」とは言いますが、研究や博物館関係の仕事も、職業としての“絶対枠”みたいなものでしかなくて、
本当の本当に表現を追究してる人たちは、
スポットライトも歓声も浴びない不安定な領域で、社会にメッセージを発信させたくて黙々と模索しながら生きているんだなと。
“感じる”ことの純粋さにたいして“考え”をもつべきバランスって本当に絶妙なんだな。
今日は午前中に横浜美術館に奈良美智展を観にいったのですが、
それが自分が足を運んだ美術館の企画展のちょうど200展目になったという、記念すべき日だったのですが
さらに最前線のアートの方々を前に「世界は広い」ということを痛感したりもして、
自分史に刻まれた一日でした…。
最後に、増田有華ファンに戻って一言いうなれば、
彼女は本当に広大な“世界”に飛び込んでいったんだな…ということです。
*1:文字起こし・まとめブログ(画像有) →http://info.jugem.jp/?eid=17024