優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

KREVAの新しい音楽劇 最高はひとつじゃない2016 SAKURA【20160402 12:00〜@東京芸術劇場プレイハウス】

いってきました!2014年に有華ちゃんが立った時はチケットが取れず行けなかったので、KREVAの音楽劇初参戦です。そして内博貴くんのステージを観ることができるなんてね!!!女子アイドルばかり好きな私が数少ないながら好きになったジャニーズの1人だったのですが、まさかこんなところで彼の仕事に巡り合えるとは。
以前の最高では真っ赤なドレスでヴァイオリンを弾く有華ちゃんの写真をいろんなところで目にしたので、今回はその時とは内容とかもうまったく違うんでしょうね。タイトルに「SAKURA」と付いていて、桜を軸にした日本の、そして時代は過去に遡っていくお話。

ソメイヨシノはクローンの品種だから人の手がないと残っていかない。人は桜の花が満開になった頃、お祭り騒ぎしたいだけの動機で僕の周りに集まってきて、散ってしまえば「綺麗だね」でおしまい。そんな自分の存在について強い疑問を抱いている青年は、ステージの真ん中から動かない、動くことができない桜の木そのもの。彼は吉野くんと呼ばれる。吉野と呼ばれる青年を、KREVA演じる男と、小西真奈美演じる女が諭すように、タイムトラベルをして様々な3つの時代の景色を見せていく。それぞれ「飾らない枯れ木の物語」「咲かないつぼみの物語」「実のならない花の物語」と名付けられた別個の物語でありながら、時代を跨いで行ったり来たりするうちに、青年・男・女を軸にいろんな人や事象がどんどん繋がりあって、固有の名前がみえなかった人物たちの名前や素性が紐解かれていく。

有華ちゃんは複数の役を演じていましたが、「飾らない枯れ木の物語」では茶屋の娘。下手側の番傘のところにいることが多く、あの歌好きでした。あかさたなはまやらわおーん。知ってることを披露するのを楽しむような歌い方。それを和装で、時には現代音楽の調子で歌い、ダンスを踊り…ってものすごいギャップがありますね。概念ぶち壊された感じがしましたが、そういえば何の概念だろう?和装、古来の日本のそれだろうか。こうあったという事実はあっても、こうあるべきという概念があるわけではないから、自分がいかに凝り固まっていたかを知りました。ブラザー・トムさん演じる武士がどんどん自由になっていくのは面白かったですがwさすがトムさん。

咲かないつぼみの物語」これ切ない…。AKLOさんが演じるお坊さん、かなり好きでしたかっこいい。「飾らない枯れ木の物語」の幕末には桜の木が元気を取り戻したという伝説になっていたそれも、蓋を開けてみれば多恵の世話にお坊さんの助力があったから。偉大と崇められる人ってああいうものなんですよね。そして自分も似たことで悩んだことがとても大きな経験になっているので、入り込んでしまいました。

最後に登場するのは、吉野のルーツにぐぐっと迫る「実のならない花の物語」、武田信玄の時代。ここでの有華ちゃんは、内くん演じる信玄の四男・勝頼の妹、松姫。これもよかった。妾の子というコンプレックスを背負いこんでつっぱしってしまう勝頼。陰のある孤独なかんじがよく滲み出ていたなぁ。松姫は彼の妹という立場ながらも(笑)そっと諭すような、優しくも厳しい言葉を浴びせるのが適任ですね。「迷うくらいなら走れ!」の力強さときたら、声のパンチもさることながら有華ちゃんだなぁ。
あとすごくどうでもいいですが、この前日に2期生の10周年記念公演をオンデマンドで観ていたので、増田さんの着ている和服が僕の打ち上げ花火のAKB浴衣に見えてしまう色合いでしたwさらにはKREVAのKを手で作るポーズが、増田さんだけもはやチームKのKになってるように見えたのは気のせいだったか…。どうでもいいですねすみません。

3つの物語を通じて、同じ歌詞が違う曲、ラップ、台詞で頻繁にリフレインするので、すべての出来事がよく呼応して、メッセージが作品全体で反響していました。どれをとっても言葉が実直なので、観ていて何度となく小恥ずかしい気持ちになったりもしましたが(笑)私にも青年と同じように、年に一度咲いて散る桜の存在やそれに勝手に想いを馳せることについて疑問を抱いたうぶな時期があったし、その疑問は解けたわけでなく記憶の隅に追いやられていただけなので、久しぶりにその気持ちを引きずり出されました。非常に共感もできたし、それの答えのピースになるようなシーンや言葉も数多くありました。パンフレットが買えずに台本という新着アイテムを購入したのですが、これすごく面白いです。読み返したい言葉がたくさんあります。
点在していた歴史の部分が、桜の木の存在によって綾のように紡がれていってひとつに繋がる感じ。あの想像力はすごい…。座長を務めるKREVAさんのどっしり構えた包容力のあるラップと、テクノ系のエフェクトでさらに神秘性を増す小西さんと、自由人トムさん(笑)セリフなどで使われる言葉から厳密な時代劇でないのだけど、貫くところは貫くけど譲るところは現代のまま譲ることによって、堅苦しくなく親しみやすいものになっていました。言葉遊びは好きだけどラップはよく聴くジャンルじゃない自分には、今回の音楽劇はかなり新しかったです。

休憩をはさんだ第2幕から、それぞれの時代が少しずつ密接に繋がっていくんですが、三十年後に吉野がお坊さんの話を聞いてあげるシーンはかなり好きでした。実らなかった恋の「咲かないつぼみ」も、叶わなかった栄華の「実のならない花」もまず言葉としてチクチク刺さりましたが、それらの「想い」も大切にしてくださいという吉野の一言にははっとさせられました。まったくネガティブじゃないんです。こんなにも前向きな儚さがあるのかと。
「終わりは始まり」なんてわかりきってると思っていたけど、厳密にいえばそれは、終わってしまった実らなかった想いを大切に持ったまま新しいほうへ歩き始めたっていいじゃないか、前に進もうじゃないか、ということなんですよね。ありきたりな言葉の中に埋もれてしまった真相を掘り起こすことができた気がしました。

昨年の「ファウスト」といい、東京芸術劇場で観る有華ちゃん出演作ってなんとなく考えさせられる壮大なテーマの舞台だなぁという印象が続いています。今回の音楽劇はファウストほどの重たさはなかったですが、これまでには受け取ることのなかった色のメッセージが直球ストレートでばしばし飛んできたようで、結構体力気力を消耗しましたw
でも、いい意味でですよ。普通の劇だったら、「はいはいまたそういうメッセージね、桜は儚い、終わりは始まり、そうですね」くらいの(←すごく捻くれた風に書きましたがw)感じにしか受け取れない天の邪鬼ですけど、そのメッセージにKREVAさんはじめ最高キャストの皆さんなりの噛み砕きが入ったことにより、まぁ綺麗事であることに変わりはないのかもしれないけれど、これまでとは違う視点からそれを観たことによって綺麗事の違った面が見えたといいますか。上からじゃなくて同じ高さに立ってくれていたといいますか。まったく新しいですし、そのメッセージが100%の演劇ではなく、音楽劇という形だったからこそすっと入ってきたのかもしれません。
増田有華ちゃんを好きというきっかけで足を運んだ音楽劇でしたが、自分から聴きに行くジャンルではないからこそ、新しい世界にまた出会うことができました。有華ちゃんいつも本当にありがとう(*´ω`*)
そして、AKB48 2期生として加入してから芸能活動10周年おめでとう!あの頃の私はとも〜みちゃんという美少女のイデアを追いかけていましたが←、MARIAの真ん中に弱冠15歳のとんでもない歌姫を観てしまい、それから時を経て2011年にまたAKBにハマり直した時に推しはじめたのが有華ちゃんでした。有華ちゃんのおかげでいろんな音楽に触れ、いろんな舞台を観て、いろんな世界を知ることができました。感動した時にきちんと感情を持って泣くことができるようになったのも有華ちゃんのおかげです。本当の本当にありがとう。