河西さん出演の舞台版「斬舞踊」を観劇してきました!簡単にですが感想書かせていただきます。
前日に全キャストを確認するまで(おい)気づかなかったのですが、主演の中井さんってゾロの人じゃん…!!!!ええ…!!?!ワンピの推しキャラなんだが!!!??となりました。しかも、熊谷さんは年明けに瑞葵ちゃんと六番目の小夜子の舞台に出演するキャストさんだし何かとご縁を感じつつ、河西さん、着実に出演舞台のグレード上げてるなあと感慨深くなったり。
個人的に「声優さんが出演する舞台」と聞いて、数年前に痛手を被ったことがあるので(イノレ三ナス)アウェイ戦かなー……と不安を感じていたのですが、今回はプロ中のプロの出演者・スタッフが揃っていることもあってか舞台自体とても面白く楽しめました。
それに客層もかなり落ち着いていて、私の頭の中にあった"アニヲタ"(声優ヲタ?)とは随分違いました。劇場のエレベーターの開ボタンをずっと押す役をしていたら、降りる時に何人もの人がはっきりめの口調で「ありがとうございます」って声かけてくれたんですね。今までもエレベーターで会場まで行くタイプの劇場にあちこち行ってきたけど、みんなにこんなに御礼を言われるのは記憶になくて、印象的な体験でした。
観劇中の振る舞いも、客席からの反応があって良さそうな部分でも笑いが起きなかったり、歌のあるシーンが終わった時の拍手もワンテンポ遅れていたりと、いつも観ている舞台とは全然違っていました。千秋楽はオンデマンド配信で視聴しましたが、そこではキャストが客席に同意の拍手を求める場面があったりはしたけど、それでやっと客席からパチパチと聞こえてくる感じ。
考えてみれば、ここにいるのは彼らの声の演技を楽しみに来ているお客さんたちで、そうしたら客席からの笑い声や拍手で演者の声を邪魔してはいけないという考え方なのかもしれないですよね。いつどんな発言を推しがするかわからないから、拍手でさえも音を発することに慎重になっているのかもしれない…など、ちょっと裏かきすぎかもしれないけど。こういう文化もあるんだなあと、興味深く考えてました。
キャスト
スサノオ役: 中井和哉 / クシナダ役: 伊藤かな恵 / ヒスイ役: 成家義哉 / アマテラス役: 上原すず / アシナヅチ役: 峯村大喜 / テナヅチ役: 鈴村博美 / 村長役: カワモト文明 / クスヒ役: 熊谷魁人 / シュサ役: 河西智美 / ヤマタノオロチ役: 暁矢薫、石岡美羽、高橋風香、髙橋茉里奈、Nao、愛太、風太、鈴木郁海 / パフォーマンス: G-Rockets / ボーカル: まみよ / Rap: RamBaar / ステージミュ一ジシャン: 遠山哲朗(Gt.)、須藤満(B.)、ただすけ(Key.)、齋藤たかし(Ds.)
スタッフ
脚本・演出助手: 土屋涼子
演出: 田中優樹
舞台演出、朗読劇の表現
ヤマタノオロチの逸話を声優さんの朗読で舞台にする、というものだったんですが、ステージ手前には大きな球体のジャングルジムみたいなオブジェを中心に拓けていて、何人ものダンサーさん達がコンテンポラリーダンスをしている。
演技パートになると、声優たちの朗読を頼りに、ダンサーたちが走ったり手を振ったりずっこけたりとそのシーンを再現する。
ダンサーたちは黒子とまではいかないけど無個性の衣装を着ていて、その全身の動作だけでそのキャラクターの所作を伝えてくる。
普段我々がアニメ作品で慣れ親しんでいる「音声」の感覚と「視覚情報」の感覚を存分に頼りにして、シーンを伝えてくる演出。ほお、こんな表現があるのだなあというくらい新鮮で、ヤマタノオロチという顛末を知っているお話しながらも刺激的で終始楽しめる舞台でした。
声優と俳優
声優さんとして皆さん舞台に立たれているけど、中井さんはあまり表情は変えないんだなーというのが意外でした。
以前ジブリの「千と千尋の神隠し」の食事のシーンで、沢口靖子さんが実際にケンタッキーにかぶりつきながら演技して収録する映像を見たことがありました。プロの俳優さんでもアフレコとなると、実際にものがないと演技って難しいんだなーと子どもながらに感じた記憶があったんです。
それを声を生業にされているプロの声優さんは、目の前にどころか手元に何もなくても、美味しそうにご飯を食べているんです。お腹が空いていたから飛びつくようにかっくらって、もぐもぐしながら話している演技から、あれは大きな握り飯かな〜なんて想像しました。とにかく美味しそう。
でも顔の表情は大きくないんです。舞台俳優さんなら顔に出すような表情、全身で表すような表現まですべてを声に一点集中で込めているのかしらと思いました。ヤマタノオロチと戦う時のスサノオ、ヒスイの気迫たるや、なんというか、台本を持って立つあの体勢からすると尋常じゃないパワーが溢れていました。クシナダとシュサ(←河西さん)も、男子と話している時と、女子同士で水浴している時とで声色が違ったりして、声色ってこんなに色鮮やかなものなんですね。
河西さん
河西さんも今までアニメや映像作品の吹替のお仕事をされてきたことはあったけれどそれももう何年も昔のことなので、俳優として舞台経験を積んだ2021年の今「声」の演技も相当な経験を積んできたんだな!と今回の観劇で思いました。
河西さん演じるシュサは、周りのキャラクターたちより年下で妹的な存在なんですが、彼女の甘いもともとの声色が存分に発揮されて、かつアニメキャラのようなハキハキした感じもしっかりあって、かわいらしい女の子でした。あとクシナダ曰くシュサちゃんお胸が大きいみたいでとてもに気にな(自重)「声に華が欲しい」と言ってたけど、色艶があって唯一無二の、素敵な声だと思うんですよね。
個人的な見解ですが、「アイランド」を始めとしたミュージカル座の演劇やセーラームーンスーパーライブあたりの怒涛のミュージカル出演で、その発声がどんどん磨かれていったのを感じています。今YouTubeで河西さんが普通におしゃべりしているのを見ていても「ああ、舞台の人だ」と思う声の出し方をされるんですね。うまく説明できないんですが、口の中が広い感じというか。そういう無意識のところにも「舞台の人」という貫禄が出ていて、それってすごい素敵なことだなって思います。
そしてさらに小さなシュサちゃんからうさぎちゃんだったり、おね様だったりで声の演技は全然異なるものなんですよね。キャラクターが違うから当たり前なんですが、声の仕事と考えるとバリエーションがあるって凄いことだなぁ
これまでの河西さんのミュージカル・舞台での経験が、歌唱だけでなく同じ声を使う「声優」というお仕事にも影響しているのかなーって。今までの河西智美の経験がたくさん詰まった斬舞踊でした。
そして最後、カーテンコールで座長の中井さんがバンド紹介をされて、凛とした表情で客席に頭を下げている姿に目頭が熱くなってしまい、カーテンコール号泣おばさん発動してしまいました…。なんでだろう。かっこいいんですよね。堂々としていて、逞しい。
声優さんってすごい!!というありきたりな感想に終始してしまって申し訳ないのですが、とても新鮮だったし、声の演技の凄みを十二分に堪能した舞台でした。ありがとうございました!