優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

ルドンとその周辺 ―夢見る世紀末 【@三菱一号館美術館】

感想メモ程度に。


三菱一号館美術館オディロン・ルドン《グランブーケ》所蔵記念の展覧会。
今日の午後いってきました。今週日曜日まで、あと2日。
雨だからか想定してたよりも空いてたけど、夜間開館の午後6時をまわったくらいから急に混み始めた感じしました。

普通のサイト http://mimt.jp/redon2012/txt_contents.php
ちょっと楽しいサイト http://mimt.jp/redon2012/contents.php#


モノクロのデッサンや版画から、パステル、油彩の色彩画へ、そして周辺の画家たちの作品。というのが大雑把な展示構成。
第一部の量が尋常じゃない印象。
でもその画面も1枚1枚が興味深いので夢中になってしまって。
眼球とか、胎児みたいな顔立ちの人とか、見ていて心地のよくなる対象が描かれているわけではないのだけど、
その白黒の世界にひきずりこまれたみたいに、それこそ夢の断片を見ているような錯覚。
意味を考えることに意味がないというか、そういう無力感というか。


そこからの色彩画だったので、それはもう目が喜んでいるのがわかった。
ルドンの赤と青ってそれぞれ独特の土気のような色をもっているから、色を見ただけですぐ画家だってわかる。
彼の色彩にはそんな感想をもっていたけど、《グランブーケ》はじめ、花瓶や花束の作品を複数みて、画家のパレットをそのまま見せてもらっている気持ちになった。
それくらいに美しいし、楽しい。
モノトーンにはモノトーンの風味、カラーにはカラーの風味がある。
レオナルドからの引用もはっきりわかったし、他にもルネサンス期の横向きの肖像の描き方や、レンブラントの明白な影響など。
植物に“生命の神秘”を見出すそのまなざし。樹のねじれが脈打つ心臓にすら見えたんだ。
主題やモチーフには、科学や神智学など目新しい要素をもりこみながら、形式的にはオールドマスターの踏襲がある。
キャンバスにパステルとか、その画材をもろに感じさせるタッチで、画面に色が乗り切らずにデコボコとかすれる効果すら作品の大事な特徴の一部になっていた感じ。
版画や聖書など、文学主題とのつながりの深いながらも、個人のコードでもって読み解くべき世紀末の一例。
目にも頭にも興味深い展覧会でした。
これだけのルドンのコレクションをもっている岐阜県美術館がすばらしいです。