優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

"Pretty Guardian Sailor Moon" The Super Live東京プレビュー公演【20180909 17:00-@AiiA 2.5 Theater Tokyo】

あっという間で3公演目、千秋楽。トリプルキャストで公演されてきたこの東京プレビューの大千秋楽でもあります。が、まさかの電車遅延でうさぎちゃんさながらの遅刻をするという惨事に見舞われ(´;ω;`)余裕持って出たのに突然巻き込まれ、OP間に合わなかった…しびれるくらい後悔してるよ←いい教訓になりました…(´ω`)

さて、気を取り直して感想を…。この記事では舞台としての感想、セーラームーンという作品の感想を書きたいと思います。前回の9月8日観劇の記事のほうで河西さんやセーラー戦士のみんなの感想を書いてるので、併せてご覧いただけると幸いです。あと一応、ネタバレ気にされる方は注意です。


映像

汗だくで会場に着いた時、ちょうどOPの映像が流れてるところで、そこからプロジェクションマッピングセーラームーンの戦闘シーンまで定点カメラの映像で観ていました(こんな時にロビ観なんて!w)。
2公演ともに1桁台の前方列の席で観ることができたんですが、ど迫力のOP、引きで見たかったなぁと内心思ってたので怪我の功名というかなんというかwモニターの荒い映像でしたけど、ステージ全体を観られてよかったです。
映像と音と動作をシンクロさせるパフォーマンスは、テレビでプロのパフォーマーがやっているのを見たことはありますが、広いあのステージでやるとなると相当大変でしょうね。演者本人からは映像って色くらいしかわからないだろうし、風圧とか感触とかもないからいわゆるパントマイムみたいな演技になる。それでも飛んで攻撃をかわしたり、投げ返したり、ばっちりこなしているセーラームーンでした。正面というより横顔で右向いたり左向いたりしてて、ファミコンのゲーム画面を見ているような戦闘シーンでした。

こんな調子で、最新技術を余すところなく使ってくるこのスーパーライブ。60分の短い本編に詰まっている物語がとんとんと失速することなく進んでいく中、いくつもの技術を代わる代わる使って演出してくる。暗転して光を放った部分に注目させている間に次の展開を瞬時に表現してくるから、観る側は手品の魔法でも見せられてるみたいに驚きが続きます。
印象的なのはやはり光だったでしょうか。色、ライトを巧みに使っていました。
ステージ中央の上空には放射状に配されて浮遊している細長いライト。今思うと、お祭りで見かける装飾品のような形をしてました。ステージのセットの枠にもコの字型の長方形のネオンが取り付けられてます。セーラー戦士がパワーを出す時や必殺技を繰り出す時は、演者のポーズとともに光の色で表現されていました。アニメのような緻密な描写ができないけれど、誰が登場してくる誰の技だって、セーラームーンを見たことのある人にはきちんとわかる。変身する時など動作に伴う音も、アニメで聞いたことある音がそのまま使われていて、鳴るだけで「あっ!」とわかるようになってました。

セリフ

音楽が充実している一方で、台詞は極端に少なかった。発しても短い言葉を一言二言。あだ名の呼びかけや感情・思いを表す言葉だけ。文章といえるようなセリフはほとんどありませんでした。
フォロワーさんが指摘していたように、マイク音量も小さく、音楽のほうが大きく際立っていました。埋もれているといえば埋もれているんですが、この舞台は日仏交流事業「ジャポニスム2018」で今年11月にパリ公演が決まっています。パリに観に来る人に日本語が通じるのだろうか?という疑問は発表当初からありましたが、なるほど、言語の壁を越えて舞台を創るとこういう演出になるんですね。
名前とか簡単な日本語なら、海外の方にもわかってもらえるかもしれませんね。あるいは、この短い台詞はパリ公演ではフランス語に差し替えられるのでしょうか?それなら演者が覚えやすいし、発音や記憶が曖昧になってしまったとしても音楽のほうが際立っていたらさほど傷にはならなくてよさそうですね。どうなるんだろう?パリ公演には私は行けそうにありませんが…行かれる方はぜひ、目に焼き付けてきてくださいね。
「セラミュ」は観たことがないけれど、いつも観る舞台とはまったく異質のステージになっていました。観終わった今ならあのステージを「演劇」とか「ミュージカル」って言葉で形容しようとは思えず、「パフォーマンスショー」という呼称が最も腑に落ちます。

歌はしっかり日本語で歌うんですね。セラミュの曲もあったのかしら?
アニメ楽曲はもちろん登場。「乙女のポリシー」はセーラームーンRのエンディングテーマですが、1番Aメロ→2番Bメロの流れになるのは歌詞を劇中の場面と合わせるの重視だったのかな。違和感なく、セーラー戦士の歌でした。アニメのエンディングでは十番中学の制服を着たうさぎちゃんの映像が印象的な楽曲なので、後半のスーパーライブでは5人が制服姿で歌ってくれたのが嬉しかったな。CDでフルサイズを聞くと入ってくる後奏までしっかり披露してくれて、ピースしたりしながらスタンドマイク(風の鞄かけでした?)でパフォーマンスしてくれました。
5人で披露した楽曲って他にも、原宿のシーンとかでもあったんですけど、5人で歌う時センターは必ずしもうさぎちゃんじゃないのがとてもよかった。まこちゃんだったり美奈子ちゃんだったり、立ち位置もころころ変わりました。セーラームーンが一番の主人公ではあるけど、5人みんなが平等に大切にされていてとても嬉しかった。
うさぎちゃん/ムーンを歌った曲があって、彼女を「私たちの大切な宝石」と表現している歌詞がよかった。舞台ではあまり出てこなかったけど、セーラームーンが変身に使うムーンスティックやブローチにはめこまれている「銀水晶」と呼ばれるクリスタルはうさぎちゃんの“仲間を助けたい”という想いが生んだということですし、セーラームーンを指すにはぴったりの言葉です。
あとスーパーライブの「ムーンライト伝説」はフルサイズを全キャストで歌っているのがよかった。クインベリル様とクンツァイトが歌う2番は渋かったなwすごく意外だったけど、セーラームーンらしいなぁと思いました。

クンツァイトの光

クンツァイトが滅びてしまった時に、水晶のようなマゼンタの光の玉になったのがいいですね。前回のブログクンツァイトとヴィーナスの関係に触れたとおり、クンツァイトも元はエンディミオンに使える護衛、清い心を持っていたんです。
ちょっとだけ補足しておくと、地球国ゴールデン・キングダムの王子エンディミオン(まもちゃんの前世)の部下としてクンツァイトゾイサイトネフライトジェダイト(四天王って呼ばれてるみたいですね)がいるのですが、クインベリルが地球を襲撃した時にこの四天王も洗脳されてダークキングダムの手先になってしまったという経緯です。現世で四天王の彼らが過去の記憶を取り戻す場面はないと思うんですが、スーパーライブのクンツァイトは間違いなくヴィーナスとの過去、関係を思い出していましたよね。
クンツァイトが滅びた時に水晶のような美しい光になって消えていく描写は、悪に染められているだけで彼は本当は良い人なんだという表れ。真の悪を見抜き、セーラー戦士と敵対するキャラクターにもまた労りを与えるのが武内先生。寛大です。

美少女戦士セーラームーン」の魅力

私は今までずっとセーラームーンが大好きだったけれど、今回の観劇ではっきりと気がつけた作品の魅力がありました。それは、登場するみんなが人を愛しているということです。
うさぎちゃんはおバカだしドジだけど、誰よりも友達や家族を愛することができる人。亜美ちゃん、レイちゃん、まこちゃん、美奈子ちゃん一人一人を想いやっているし、まもちゃんを愛してる。時には相手を想う気持ちが強くて、うさぎ自身が考えすぎて悩んでしまうくらいです。

セラムンのネタを追っていると、「タキシード仮面が使えなさすぎる」というような感想を見かけることがあります。確かにこの作品ではタキシード仮面は全然戦えない。セーラー戦士に助けてもらってばかりです。

とはいえセーラームーンだって、戦うといっても、舞台中にもあったように力技の攻撃もできず、おっかなびっくりな戦い方です。マーズやジュピターみたいなパワー系の技は使えないし、マーキュリーやヴィーナスのような冷静な分析・判断も得意ではない。だけど、宿敵の悪を打ち破るとどめの一撃はセーラームーンにしかできないんです。
最後の決め技は、リフレッシュする、浄化するなどと言われ、技であって技でないというか。それでもやっぱり他戦士の攻撃だけでは、弱らせることはできても悪の力から解放はできない。
かなりくさい表現ですけど、セーラームーンの最大の武器って愛とか、母性だと思うんですね。人を包み込む優しさ、宿敵でも完全に悪とみず良心を信じて接する態度。セーラームーンがその想いを保つことができるのは、すぐ傍にまもちゃんや仲間がいるから。

たとえタキシード仮面の戦闘能力が弱くて愛する人を守り切れなかったとしても、うさぎはまもちゃんがさらわれてしまうと張り裂けそうになるくらい泣いて悲しむんです。そしてこれは「劇場版セーラームーンR」の話ですが、セーラー戦士が敵の人質にとられ「セーラームーンが攻撃をやめなれけば仲間を痛い目に遭わせる」と戦士4人を攻撃されると、セーラームーンは「みんなが苦しむのもう見てらんないよ」と泣き出して戦うことを放棄してしまうんです。セーラームーンは愛する大切な人が傍にいるから戦えるんです。だから、タキシード仮面はこの世界にはいないといけない存在です。他の戦士もみんなそうです。

月野うさぎちゃんは遅刻魔だったり勉強できなかったりしますが、それ以外の登場人物も皆、完璧な戦士のようにみえて何らかの弱点があります。喧嘩っぱやかったり、長けた能力を持っていてそのせいで人が近づいてこない。あるいは家族を失っていたり離れて暮らしていたりして、影がさす部分がある。亜美もレイもまこも美奈子も衛も、孤独です。その孤独を癒してくれたのがうさぎ。そして逆にうさぎにとってもみんなは傍に居てほしい存在なんです。

それぞれが発揮できる得意なパワーを持ち寄って、力を合わせて戦う。弱点は他の誰かが補ってくれればいい。誰も完璧に強くなどないんです。それでいいんだってことを、セーラームーンが教えてくれます。

アニヲタじゃない私でもこの作品は本当に何度もブームが来てハマりなおすんですけれども、きっとそれはこの作品が人を想いやる優しい愛で溢れているからだと思うんです。うさぎが衛を、亜美ちゃんをレイちゃんをまこちゃんを美奈子ちゃんを、時には戦う宿敵すら大切に想う気持ちが、この作品のすみずみまで通っているから温かいんです。そのことに、今回の舞台を通じて気が付きました。本当に素晴らしい物語です。

セーラームーンスーパーライブ

作者がこの作品に愛を通わせたように、今回のセーラームーンスーパーライブのキャストもまたこの作品を愛していました。各々のキャストがミュージカルやアニメを通じてセーラームーンに対する熱い想いを持っていることは、この作品の歴史を考えると想像がつきますが、こんなに忠実にステージ上の世界を作ってくるとは思いませんでした。それは声の出し方や、立ち振る舞いのすみずみにまで感じられました。愛に溢れたものにはいろんな人の愛が集まってくる……この作品も、うさぎちゃんと一緒ですね。
大千秋楽は終演後、会場が明るくなっても拍手が鳴りやまずカーテンコールに。キャストがもう一度ステージに登場すると私も嬉しさでつい飛び上がってしまい、拍手を送りました。会場中が沸いたスタンディングオベーションの瞬間、キャストが顔をくしゃくしゃにして目に涙を浮かべるんです。マーキュリーもマーズもそうでした。本番が終わり緊張がほぐれたムーンも。
ああ、河西さんだ。おかえりなさい。最高でしたよ。みんなで一列に手を繋いで礼をして、深々と頭を下げる河西さん。何を想っていたかな。泣いてたかな。顔を上げるとニッコリと微笑んで、ステージを去っていきました。
人ってこんなに輝けるんだっていうくらい、本当に身体の芯から輝いている感じがしました。セーラームーンスーパーライブは、作った人・演じた人の人生も、ステージを目撃した観劇者の人生も明るく変えてしまう舞台でした。この"最高"を海外発信して、世界中を最高にしてほしいです。地球を征服したクイーンベリルもびっくりしちゃうと思います。いろいろ書いてきましたが、本当に最高でした。なんかもう、この言葉しか出てきませんごめんなさい。
この舞台に出会えたことに感謝してブログを終えます。河西智美さんとこの作品に携わったすべての方々へ、本当にありがとうございました。お疲れ様でした。


最後になりましたがアマゾンの諸リンクを載せておきますので、原作・アニメに興味持たれた方はぜひ!この素晴らしい作品を一度(/∀\*)あるいはもう一度w
アマゾンプライムでは原作第1部(アニメでいうところの「無印」)の全話が見られますよ!あと優気おすすめの劇場版セーラームーンRはもう!!!お願いだから観て!!!!

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