優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

"Pretty Guardian Sailor Moon" The Super Live東京プレビュー公演【20180908 17:00-@AiiA 2.5 Theater Tokyo】

6月の終わりに発表があってから待ちに待った当日。8月31日からトリプルキャストでの上演、河西智美さんがムーンで率いる♪チームは9月7,8,9日の3公演です。

このブログをやっている私は河西智美さんのファンであるわけなんですけれども、セーラームーンのアニメとともに大人になったセーラームーンどストライク世代なんですね??
アニメなんてリアタイで毎週見てましたし、5年の放送が終了した後も定期的に見たくなってどハマリするリバイバル期が(個人的に)きてビデオなりDVDなり見返しては拗らせてましたし、そのたびに作品の魅力を再確認していました。
漫画が苦手なお子ちゃまだったのでずっと読まずにいた原作は大人になってから読み、「美少女戦士セーラームーン」という作品の奥深さ、壮大さに感銘を受け、もう大好き…ライフワーク……。好きなだけでまったくヲタではないんですけど、
セラムン世代なんですね?私。
今回のスーパーライブのブログ、冷静に書ける自信とかまったくないよ?
ということを先にお断りしておきます(/∀\*)
あと、内容とか演出とか明記してますのでネタバレを気にされる方は閲覧注意でお願いします!

♪キャスト
セーラームーン月野うさぎ :河西智美
セーラーマーキュリー水野亜美 :替地桃子
セーラーマーズ/火野レイ :長谷川 唯
セーラージュピター木野まこと :山粼紫生
セーラーヴィーナス愛野美奈子 :後藤紗亜弥
クイン・ベリル :哀川まこと
クンツァイト :真田怜臣
小泉もえこ 新橋 和 土定美月 大澤涼風 大橋美優
タキシード仮面/地場 衛 :立道梨緒奈

チケット取れるかだいぶ不安でしたが土日でとることができたので、まずは本日、行ってきました。AiiA 2.5 Theater Tokyo、JR原宿駅から代々木公園沿いに10分くらい東京らしいアスファルトの道を歩いていったらこじんまりとありました。プレハブ…なのか…?常設の劇場なんでしょうけどサーカスのテント感があって、意図せずセーラームーンの敵が潜伏してそうで雰囲気バッチリだなと思いましたw
パンフレットの武内直子さんの言葉にもあるとおり、原作第1部のストーリーをたどる60分。そして劇中の楽曲パートを再演しつつ馴染みのナンバーが披露されるスーパーライブが20分。濃密な1時間半でした。

舞台を覆い隠す巨大な薄いスクリーンにプロジェクションマッピングで映像が映し出されます。クイーンベリルのアジトから、街中ですれ違ううさぎと衛まで。二人が向き合い見つめ合うと、スクリーンにも同じシチュエーションの原作のイラスト。「ムーンライト伝説」が鳴り響いた途端に涙目になりました←漫画の絵でキャラクター紹介からタイトルコールのOP、そして遅刻で大急ぎのうさぎちゃんの日常へ…。

「遅刻だー」とか「もういやだー」と慌てふためいてるうさぎちゃん。やっと着いた教室シーンでは担任の英語の先生も同じセーラー服を着たクラスメイトも一切しゃべらずに踊り、ダンスパフォーマンスだけで表現。
その中でちょいちょい短いセリフを挟むのがうさぎちゃん。あれ?河西さんだ。発声の仕方がね、もう三石琴乃さんなの。懐かしいよ。あーもう、うさぎちゃんだよ。月野うさぎって実在する人物なんだな。あれ、顔よく見たら河西さんだ。河西さんってセーラームーンだったの?マジかよ。AKBの頃からずっとファンなのに知らなかったよ。あなたセーラー戦士だったの。

クイーンベリルがちょいちょい悪さをしてきて教室のみんなが妖魔に取り憑かれたところに登場するタキシード仮面。その後はアニメおなじみのタキシード仮面様にベタぼれのスーパー妄想タイムに突入したり。何気にアニメって問題解決までのシリアスな場面が描かれることが多いから、ああいう楽しい場面だけをピックアップして描かれることって無いんですよね。だからちょっと新鮮でした。

スーパー妄想タイムが去り妖魔から開放された教室で授業が終わると放課後。仲良しの5人は集まります。描写はなかったけど、いつもの場所は火川神社だよね?制服姿の5人が集まってくるのをみると、制服や髪やアクセサリーの色味がなんかもう懐かしいの。見慣れた景色。ああ私ってまじで世代なんだな。俺今すごいの見てるよ、推しメンが大好きなアニメ作品の舞台やってるんだから。いや違う、推しメンがセーラー戦士だったんだよ。

カルチャーとしてのセーラームーン

原宿に遊びに行く下りなんかはアニメの雰囲気が伝わって楽しくも、ゴスロリのドレスを着たダンサー、ポップな衣装や和装をまとったうさぎちゃんの仲間たちと、アイドル美奈子()を取り巻くオレンジサイリウムを持ったヲタ芸集団()など、セーラームーンが一世を風靡した'90年代にとどまることなく現代の日本のカルチャーをも反映した表現になっていました。
5人の地元は東京タワーが景色に溶け込む麻布十番。うさぎちゃんまこちゃん亜美ちゃんが通うのは十番中学、美奈子は港区立芝公園中学ということもあり、原宿という場所は意図せずともセーラー戦士5人の日常と大変ゆかりの深い地でもあります。
ゲームセンタークラウンもみんなが集まるおなじみの場所。衛とうさぎがゲームをプレイする姿を通じて、二人の特徴や関係性が、セリフが極端に少ないのにとてもよく描かれていました。そこからゲームの中に取り込まれてしまったかのようにクンツァイトが出現して敵との戦闘に進んでいく展開も完璧。

ピクセルデザインのファミコンゲームのビジュアルも、日本のカルチャーとして注目されるものの1つですよね。ディズニー映画「シュガーラッシュ」で主題歌を務めたのは我らがAKB48でしたが、そのMVでもゲームプレイするシーンが漫画のコマ風に描かれていますし、映画自体もゲームを描いたものですがマリオなどおなじみの日本生まれのキャラクターや演出効果もたくさん出てきます。

本舞台、「東京プレビュー公演」と呼ばれていまして、日仏交流の文化事業ジャポニスム2018で紹介される芸術作品の1つとして、秋にパリ公演が決定しています。つまり海外発信のために作られたステージ。海外から見た日本、日本から見た日本の要素が、これでもかというほど詰め込まれています。ここまで書いてきたとおりです。中高生の子ども達がセーラー服を着て学校に行くという文化からして日本的であって、そんなものもすくい取ったら日本らしい要素なんてもっとたくさんあるはずです。そういうものの写し鏡として、セーラームーンという作品がぴったりとフィットしています。

ストーリー展開

そんな日本の魅力を披露するステージが進みつつ、戦うセーラー戦士。細かく編まれていて、戦闘シーンが何度も挿入されていた記憶。

タキシード仮面が連れ去られた時のセーラームーンの泣きじゃくり方、本当に、リアルなうさぎちゃんだった。
私はセラミュは観たことが一度もないんですが、アニメの人物が3次元空間に実在してるような、すごい不思議な感覚。声の出し方に人柄が出ていて、うさぎちゃんそのものだった。弱々しくて、実直でそれしか見えなくなっちゃって。でもそんな、愛する人が消えてしまった身を切るほどつらい思いをしているセーラームーンを支えて励ますセーラー戦士乙女のポリシーはここで歌いましたか…良い歌や。戦士みんなで歌うと思わなかったから、亜美ちゃんの歌い出しで始まった時はちょっと笑ってしまったが。

そこからのセーラーテレポート発動は思わず「キター!」と声出てしまったwセーラーテレポートで敵陣に飛んでいき、タキシード仮面がクイーンベリルに操られてしまいセーラームーン愛する人と剣を交えることになってしまうという、第1部の象徴的な展開へ。アニメ無印の最終決戦や、劇場版Rの展開とも似ています。セーラームーン前半作といえばこの展開。

アニメだと剣は使わず、星型のオルゴール(ムーンライト伝説が流れる)をかざすと正気を取り戻してくれる展開だったのですがそのようなアイテムが登場していなかったのでどうなるかな?と見守っていたら、ハグでした(*´ω`)博愛、さすがセーラームーン。みんなのママ。

5人の個性

セーラー戦士の格好をしていた時に、特に5人の個性を感じました。戦士としてではなく月野うさぎ水野亜美火野レイ木野まこと愛野美奈子という個人としての個性が出ていました。
ジュピターは背が高くて力が強い。敵が現れるとファイティングポーズで様子を伺っている。スタイルがよくて、本当に漫画から出てきたみたい。かっこいいなぁ。
マーズは妖気を気にする気品ある立ち姿。漫画とアニメでキャラクター描写に大きな差があるけれど、この舞台では漫画よりのお嬢様になっていて歓喜。美しい…
マーキュリーは、ピアスを押すと目元にしゅいんって登場するモニターみたいなメガネを出して敵の分析をするような仕草をしていて、ああ亜美ちゃんだああってなりました(ライトファンなのであのアイテム名わからないんだけどアニメ見たことある人ならわかるでしょ)。
あとね、私ヴィーナスが一番好きなの。三枚目のおバカキャラだけど、あんなに切ない戦士はいないよ。でね、このヴィーナスの発声も、少し鼻にかかった深見さんの声だったの。美奈子ちゃんだって、本当に懐かしかった。
ヴィーナスは月の王国でプリンセス(ムーン)が戦士として成長するまでの間、自分がプリンセスの影武者として活躍する。策士的な存在でもあり、戦士5人で移動するときは先陣を切ってみんなを誘導する姿も、ステージで見ることが出来ました。剣を召喚するのもその由縁のはず。
ヴィーナスが一騎打ちをしたクンツァイトは、地球のゴールデンキングダムの王子エンディミオンにつく護衛の1人。護衛はクンツァイトの他にゾイサイトジェダイトネフライトがいます。この4人は、月の王国の守護戦士(マーキュリー・マーズ・ジュピター・ヴィーナス)と対になっている存在で、プリンセスセレニティ(ムーン)とエンディミオン(まもちゃん)のようにそれぞれ恋仲でもあったのです。それが前世。アニメだと完全に端折られてる設定なので、漫画でみた時悶えました。武内先生半端ないって。
なので、クンツァイトと対になるヴィーナスは、一騎打ちになった時に過去の関係をシンパシーで思い出して、クンツァイトが消滅してしまった時にあのように悲しんでいたわけです。ああ、この描写が他の誰でもなくヴィーナスなのが嬉しかった。これでこそヴィーナス、愛の戦士。

そして、今まで正直なところ、みんながタキシード仮面にベタぼれしてるのが信じられなかった←んですけど、めちゃめちゃかっこよくないですか…。セーラームーンに登場する唯一の男性戦士ですがこの舞台で演じているのは女性で、立道さんめっちゃ美系。宝塚か?ってくらいすらりとしてて品格があって、抱かれたい。あれは抱かれたいしうさぎちゃんが何かにつけスーパー妄想タイムに突入してしまう気持ちもわかる。
ステージ上の階段側面や足場にはそのフレームの形を縁取るような長方形のネオンが付いてて、シーンによって、戦士が攻撃すればその戦士のカラーに光ったりして演出されていました。まもちゃんが歌い出してネオンの赤いタワーが立つと長方形のネオンは白っぽいブルーに光り、さっきまでの矩形が一瞬にして東京の街のビル群に様変わりして見えた。
見る者が持っている記憶や経験を引っ張り出すことで、ただの長方形のネオンで街を表現する。シンプルな舞台装置を余すところなく表現に利用している。その発想力に、海外発信されるステージの芸術性の高さを感じました。

月野うさぎ/セーラームーン

さて、思うままに書きつらねてきたけどそろそろ長くなってきたので、うさぎちゃんの話をしようか。
セーラームーンはドジっ子を発揮していっぱいいっぱいになりながらも、てい!やー!と敵と戦います。やられてアニメさながらに泣きじゃくっていると、ジュピターちゃんやマーズが助けにきてくれてパッと笑顔になります。仲間が技を食らって痛がっている時はかけよって肩を支えてあげます。タキシード仮面が連れ去られてしまえば身体が崩れてしまうほど泣いて、攻撃してくるタキシード仮面に「いやだ」と拒みながら向かい、自らクイーンベリルに突っ込んでいき身を滅ぼして、本物の悪と戦います。

うさぎちゃんの魅力って、誰もが経験したことのあるような平凡さだと思う。普通に生活して楽しいことして遊んで好きな人と一緒に過ごしたい、普通の女の子。悪や敵と対峙した時にセーラームーンが滲み出す人間性が、社会で生きて様々な葛藤と戦う人々と重なるところがある。おっぺけぺーで遅刻魔であんなにドジなのに、人を思う愛に溢れていて本気を出すとすごいところとか。

セーラームーンという作品に触れれば触れるほど、月野うさぎという人物の寛容さが見えてきます。この舞台の隅々でもそう。ステージに立っているはずの河西智美さんは、素と思われる仕草や素振り、愛嬌や、体や表情の動き方までうさぎちゃんそのものだった。カーテンコールで登場して屈託ない笑顔を振りまくところとか、仲間たちとはしゃいでぴょんぴょんしてるところとか。はける時に階段を下りていったと思ったら、舞台セットに肘をついて頬杖ついてみたりとか。河西智美さんが月野うさぎを演じているという感覚が全然なくて、結果的に「河西智美さんって月野うさぎだったんだな」という、想像してもなかった着地点に今到達しております、観劇後の私です。本当にかわいらしい、うさぎちゃんらしさが120%詰まったうさぎちゃんでした。

…勢いだけの取り留めのないブログにここまでお付き合いくださった方、本当にありがとうございます。
セラムン原作、アニメをご存知ない48由来のファンの方にも少しでもこの舞台を楽しんでほしいと思い、世代の私、はりきってしまいました…。妙な説明も交えつつ早いうちに何か書いておこうとここまで書き進めてきましたが、なんか逆によくわからないことになってしまったかもしれんな…。やはり自己満。でも私は楽しいぞ。いいんだもう。なんてったって推しメンがあの憧れのセーラー戦士だったんだから。

明日は♪チームだけでなく、この東京プレビュー公演の千秋楽でもあります。好きなものしか詰まってない舞台。伝説をこの目に焼き付けて、楽しみたいと思います。