優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

トゥールーズ=ロートレック展【@三菱一号館美術館】

http://mimt.jp/lautrec2011/

出品はリトグラフがほとんど。
2008年初めにサントリー美術館で行われた展覧会や、その他の会場で見たものがずらりと並んでる印象。まぁ印刷物だからしょうがない。
もちろん初めてみる作品もあって。『ドイツのバビロン』や『博物誌』など、雑誌以外の文学的な方面でのポスターや表紙デザインっていうのは初めてだったし、
動物の描写には度肝抜かれた。どれもかわいかった…のにポストカードないっていう。

展示の仕方

おもしろかったので書き残そうと。


第2章のはじめ。ポスターを中心に組まれた広い一室。
部屋の真ん中に、「彡」の字に斜めに並行して展示用の壁が3枚並べられている。
そこに、展示室に入ってすぐの面には《メイ・ミルトン》、反対側の面には《アリスティド・ブリュアン》の背を向けているデザインのポスターが展示されている。壁1面につき1枚。
街では、同じポスターが同じ外壁に何枚も何枚も並べて貼られたという。(実際のりが乾く前にはがされて持って行かれることもしばしばだったらしいけど)
これらのポスターが“現役”だった時代に、実際におかれていただろう状況とシンクロする展示が意図されていた。
でも出品作の点数の都合で3面3枚で展示できず、3面2枚が同じデザインのポスターで、残る1面には類似した他の演者のリトグラフが貼られていた。
本当は3枚並べたかっただろうなと思う。


私事

JR東京駅に「Keiyo Street」なる土産物屋の並びができた。記憶をたどると1年ほど経つ。その通りの先に、京葉線地下ホームへ続く長いくだりエスカレーターがある。
そのKeiyo Streetなるとおりの真ん中には太い柱が何本も立っているが、そこにデジタルの広告画面が設置された。バックライト式の固定された広告ではなく、デジタル画面が切り替わってつぎつぎに広告が映像として流されていくもの。
ディズニーランド中継地点でもあるから、DVDリリースの広告が流れることもあれば、駅構内や周辺ホテルの宣伝、ニュースなどにも使われる。
どうしてこんな目にうるさい、しかも全画面が同じ広告を同じタイミングで切り替わるように放送する、無機的なものを設置したんだろうと、最初のうちは疑問だった。
けど、ある時にふと自分が気になる情報が映し出されてわかった。
場所は「土産物屋」である以前に「乗り換え通路」。人の通りがせわしない。同じ広告を並べていることで、その場所を数秒で足早に通り過ぎる人たちにもしっかり宣伝することができる。



わけわかんなくなってきたからまとめ。

印刷された紙であれ、固定したスクリーンと膨大な量のデータであれ、
量産できる技術が発達し、どんどん簡単に発信できるようになったからこそ可能な、大量の「情報」を並べるという作業。


ヴァルター・ベンヤミンは1935年に『複製技術時代の芸術作品』を発表、唯一性を持たない芸術、「アウラ」の希薄化を問題にした。
反復された「イメージ」は、どんどん実体から離れていく。
同じ「イメージ」を複製することで、多くの人に宣伝することができるようになった。
それは同時に「イメージ」の拡散や「情報」の氾濫をまねく将来、つまり現代を予兆する発明でもあったのかなと思う。