優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

仲谷明香の卒業と『非選抜アイドル』

2日(土)のチームK公演で、なかやんの卒業が突然発表されました。それも公言からわずか4日後、今日の6日(水)の劇場公演が最後という急すぎる展開。
チームKのメンバーがどんどんいなくなっちゃってごめんね」と詫びる一幕もあったようで、絶対に半分以上が優しさで出来ているだろと言わんばかりです。
ゆかとも推しの自分なので埋もれた事実ではございますが、
デビューしてまもない「メガネッ子」を売りにしていた頃のなかやんをチームBの中では推しておりまして!!
なので、今日はせめてもの気持ちでちょっと仲谷の思い出と、彼女の著作『非選抜アイドル』の感想を書いておこうと思います。




声量がなくて歌も下手だったけど、ただ自分の中で「メガネ」というポイントだけがひっかかって、惚れてはないけれど無視できない存在で、
「禁じられた二人」では嵐のような\かしわぎー!/ \ゆきりーん!/コールの中、ひとり \なかやーん!(´ω`)/ と叫んだこともありましたww
K2メドレーの転石ではメンバーで誰よりも顔真っ赤にしてぶっ倒れそうになりながら踊ってた。
そしてAKBファンを離れてしばらく、気付けばコンタクトレンズにシフトしていて、おおおうメガネが…(ヽ´ω`)と落胆したこともありましたが
それも(何の記述か忘れたけど) 「ダンスが踊りにくいから」という理由だそう。ブログによればちょうどB3rdで天使のしっぽをやる頃に、あの衣装を着てメガネをかけていると「アキバ系になってしまうから」とのこと。
自分のポリシーを折ってAKBのイメージを守ろうとしてくれたようです。
がむしゃらにしがみついているのがよくわかるほど、飾り気のない印象の子でした。




アニメの知識は全然ない自分ですが、デビューからずっと声優と夢を公言していたので『もしドラ』の声優に抜擢された時は本当に嬉しかったし、オーディオブックでは一人複数役をこなしていて度肝抜かれた。
ちょうどその近い時期に週刊朝日のリレーインタビューでお母さんとのエピソードをみたこともあり、昨年4月に出版された『非選抜アイドル』もすぐ読んだのですが、
彼女の文章力に驚かされました…。



応援している増田と河西も同い年で当時20歳でしたけど、こんな理路整然とした文章を書けるメンバーがAKBにいたのかと。
それと同時に、あんなにほんわかした和やかな子がこんなにたくましいこと考えていたのかと。
タレントやアイドルでも著書をもつ方はたくさんいますが、ブログの番外編という感が否めないものも多くあります。
でも『非選抜アイドル』は仲谷がこれまでの人生で悟った哲学が詰まっていて、自伝としてもエッセーとしてもしっかり「読める」本でした。


非選抜アイドル (小学館101新書)

非選抜アイドル (小学館101新書)


帯びには秋元康Pから「僕の目は節穴だ。だから、みんなにチャンスがある。仲谷明香も見逃していた。彼女の才能に今さらながら驚いた。」と書評がありましたがたぶん過労と疲れ目だと思うのでちゃんと休んでくださいw


AKB48の仲谷はレッスン、劇場公演、ブログ、アニメが関係する外でのお仕事を、意識を持ってコツコツひとつひとつ努力することで進みます。
非選抜メンバーであることに誇りを抱き始めたそんな物語は終盤、岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの『マネジメント』を読んだら』のアニメの声優オーディションの誘いを受けるという、まさにハッピーエンドに向けた展開をみせる。
それにも関わらず、彼女の気分は下降していきます。


 私がオーディションを受けさせてもらえることになった一番の理由は、この言い方はきついかもしれないが、「コネ」であることは間違いない。原作者の岩崎さんが推薦してくれるという「コネ」がなければ、とてもではないがそういう場には参加できなかった。
 もちろん、オーディオブックを聞いていただいたうえでの依頼なので、参加するのに必要な実績もなくはなかったのだが、しかしそのオーディオブック自体も岩崎さんが元AKB48のスタッフだったということからいただいたお仕事で、やっぱりコネであることには変わりなかった。
 そしてもう一つ、私がオーディションを受けさせてもらえることになった二番目の理由は、私がAKB48のメンバーであることだろうと思った。
 (中略)声優のオーディションは、何らかの実績がある人しか呼ばれないのが通例だ。だから、声優としての実績がほとんどない私が呼ばれるのは異例なことで、AKB48のメンバーでなければ、それはありえなかったことだろう。
 この二つのことが、私を複雑な気持ちにさせた。と言うのは、私自身、そういうコネや肩書きで決まるというのが、あまり好きではなかったからだ。
 私は、そのことを卑怯だからとか、ずるいからという理由で嫌いなのではない。そういう形で起用されることで、作品のクオリティーが下がってしまうのが嫌だったのだ。
 (中略)私は、ファンとしてアニメを見てきた中で、声優さんを好きになり、やがて自分もなりたいと夢見るようになったのだ。
 だから私は、声優さんであれば誰でも好きというわけではなかった。好きな人はものすごく好きになったのだけれど、その逆に、あまり好きではない声優さんもいた。私があまり好きではない声優さんは、そのキャラクターにあまり似つかわしくない声を当てている人だった。
 だから、声優というのは、やっぱりアニメ作品にとっては本当に大きな役割を担うものなのだと思っていた。そしてその立場に、コネと人気によって選ばれたと思われたのでは、この作品に携わる多くの方々に、迷惑をかけてしまうのではないかと考えたのである。そのことが頭をよぎってから、私は、幼い頃からの夢が叶うかもしれない瞬間に立ち会ったにもかかわらず、複雑な気持ちを感じてしまったのだ。 」


仲谷明香『非選抜アイドル』 154-157頁


自分は2日の卒業発表があった公演も今日の卒業公演も、ロビ観もオンデマンドもみていないんですが、
ツイッターにポストされたレポなど見ているとあまり明言した感じではなかったのかな?
AKB48を辞めると同時に「オーディションの要項にひっかかるので所属している事務所もやめる」との発言があったと聞きました。


それを知った上で『非選抜アイドル』を読み返すと、
以前からずっと変わらない仲谷の真面目さ、信念の強さ、揺るぎなさ、そしてなにより心からアニメを敬愛していることが痛いほどわかります。
はっきりとは言わないけど、今、彼女の中で大きな野心が静かに燃え盛っているのは絶対。
きっと何か明確な目標が掲げられていることと思います。


非選抜メンバーという「敗者」だからこそ、勝者(執筆当時は第3回総選挙)を引き立てる役に徹さなければいけない。だから胸を張って敗者として活動しなきゃいけない。
ランキングにこだわることとやそれで自分を卑下することはしないで、そこに出た数字に自分の存在する意味を見出す。
仲谷のポリシーの強さは、夢の強さでもあるんだなと感じます。
自分に厳しい人だからこそ、心がわかる優しい人になれるのでしょうね。




有華と違ってどのくらい時間がかかるかわかりませんが、
仲谷が出てると聞いて番組を見るもどのキャラかわからなくて「え、今の声がなかやんだったの!?(ヽ´ω`)」なんてまた絶句できる日を楽しみに待ちます(*´ω`*)
卒業おめでとう!