優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

推しが結婚した件について

FCイベントのファンミ、クローズドなものだからブログを書くつもりはなかったんだけど、ずっと応援してきた推しにとっての重大イベントだったのでちょっと書かせてください。

ただし、どうしても河西さんやご本人の言葉を拝借しないとうまく書けないことがあるので、もし「それ出しちゃっていいの?」ってことが思う部分があったら教えてください。>チユリスの皆様。

 

河西智美 Chiyuu♡Irisファンミーティング【20210515 18:00- @汐留Bluemood】

ぎゅっと!1曲歌唱後MC。イベントは現場にいる約60名のファン・ツイキャスからみているファンがいたのですが、スクショ保存などについて注意があったり、現場では入場時にフルネームとHNを署名したり、イベント開始後そうそうにその名簿をもとにHN点呼をはじめて困惑する会場にニヤニヤするとか←いつもと違うなーと思うことは多々あったのですが。そういえばいつものovertureもなかったんですよ。

MCではアニー舞台を写真も交えてたっぷり教えてくれました。そして重大発表といって暗転する会場。スポットを浴びる河西さん。「私事ではありますが、」と発した笑顔で、察する朗報。2021年5月15日(土)18時台のこと。

 

あとはSNS等で昨日ご本人たちから公表された通り。

今後の抱負を語ってたっぷり祝福したあと、同時に発表されたのが新しいファンクラブ開設。Faniconというサービスを使うようでご本人直々にプレゼン。完全に有料登録制で本人とファンが交流できるコミュニケーションスペース。YouTubeをはじめLINE LIVEを卒業してから一生懸命サービスを探す旅に出て「これだ!」ってなったものだそうです。

 

あとは何したっけ…情報量がすごくてだな…。あとは会場から募った質問カードで近況とか想いを聞かせてくれましたが、とにかくお喋り大好きマンな河西さんなので気づいたら2時間経つんですわww 最後にもう1曲、STAR-T!を歌ってイベント終了。

そしてその約10分後←、新FCが5/15 20:00から登録受付スタート。早速昨夜ラジオ配信をしてくれました。

ファンミーティングということもあって今までだったらMCで語らなかったような話も昨日は聞かせてくれた。新しいファンクラブのラジオ配信でも初めて耳にするような話題もあった。

 

「推しが結婚する」

どんな気持ちになるんだろう?って考えたことはあった。現役48で見れば推しが推しなので、恋愛って何か、結婚って何かを考える機会は毎日のようにあったけど、やっぱりショックを受けるものなのかなって想像の方が大きかった。

でも昨日会場で私が感じたのは「幸せ」ということだった。

あ、こんなにあっさり受け入れられるんだ、と正直自分でも驚いた。胸の痛みもない。頭が衝撃で真っ白にもなってない。友人・親戚や職場の人の結婚報告を聞いたときのように、自分の立場に対する後ろめたさもない。

報告してほっとした笑顔で涙を浮かべる推しと、拍手し指鈴を鳴らし続けるファン。

 

レポのような詳細は避けるよう心掛けますが、少しだけ。

発表後、音声が出ないなど多少のトラブルがありつつ←板野友美さん、大島麻衣さん、宮澤佐江さんの3人からビデオメッセージがありました。

ピーターパンでの共演がきっかけの二人。佐江ちゃんも彼と共演しているのでよくよく知る仲。三人で食事したこともあるそうなのですが「彼と一緒にいるともが楽しそうだった」と言っていたんですね。幸せそう・嬉しそうではなくて「楽しそう」って言っていたのは私の記憶が確かならそうだったんですが、それがすごく嬉しかった。

 

そして一つ。その後スポーツ紙やネットニュースでもこのことが報道される中で、記事でたまに「のろけた」と書かれてることが気になったのでちょっと補足。確かに彼女の発表は終始幸せそうではあったのだけど、「のろけた」の字面から受けるような所謂デレデレしたような印象はなかった。冷静で誠意のあるご報告だったんですよ。少なくとも私はそう感じた。

彼がどんな人かという話もしてくれました。河西さんはずっと芸能界という特殊な環境、一般の人なら経験しないようなことが次々起こりうる世界で仕事しています。そんな彼女にとって彼は「普通を与えてくれる人」なのだと。「普通はとても尊いこと」であたたかいことなのだと。そう言っていました。

 

14歳でアイドルとしてスタートした河西さんにはどうしてもスキャンダルの目がついて回っていた。それでたくさん傷ついて匿名の声や報道が怖くなったりもした。河西さんに限らずだけど、メンバーたちのプライベートが暴露されるたびに「この人は恋愛するのが怖くなってしまわないか」が私自身ずっと心配だった。だから、

ああ、よかった。推しが幸せになってくれてよかった。一生守ると誓ってくれるような人が隣にいてくれて本当によかった。*1

よかった。よかったよ。本当におめでとう。

 

そしてこんな時でもファン(チユリス)を大切にしてくれる河西さん。ニュースや報道じゃなくて、直接ファンに報告したいということに拘って昨日のイベントの場を用意してくれたそうです。実際、会場で本人から結婚報告があった後で、関係各所への報道が動き始めた。

結婚にファンクラブ設立の発表までねじ込んできて、今後の活動についても話してくれました。何度か繰り返したのが「ステージに生きる」ということ。彼も河西さんの活動をとても前向きに応援して支えてくださっているそうで、これからも変わらずステージに生きて輝く姿を見てもらいたいと。アニーでは特にマルシアさんの役への熱心さに勉強になったそうで、グラウンドミュージカルに対する熱い思いも感じた。

 

いやー。河西推し、こんなに幸せでいいのですか?

幸せを分けてもらうという言い方では足りず、もはや彼女の幸せの中にファンまで一緒に居させてもらっているという感じ。まったく愛情深い人です。

 

我に返り帰路につき、牛丼を食べながらひとり思ったこと

これからも変わらず、だけどちょっと変えていくこともある。

河西さんを応援してきた自分、これまでに書いてきたブログを振り返ってみた。実にいろんな場所に行き、いろんなステージを観させていただき、いろんな感想を書き残してきた。ちょっと詳細に書きすぎたんじゃないかなんてものや未熟な記事も多々あった。

それは全部、私が覚えておきたいことをつらつらとメモにしていたからだった。すぐにいろんなことを忘れちゃうから、いつか思い出せるようにメモしておきたかったから。芸能活動をされている方のことに関して言えば、ブログで公開したら何かプラスになるんじゃないかと信じていたから。

それは事実だ。でも多分、これからはちょっと違うんだ。

情報という言葉を使うと固いので投稿という言葉を使うとして、「公に出す投稿」と「一部の人に限定で共有した投稿」の二つに分けるとする。後者に含まれる「ファンに対してだから」教えてくれた情報というのを、我々は大切にしていかなければいけないんだと思った。

ライブ、トークイベント、テレビ番組、ネット配信、動画もある。Twitterで言ってもインスタで語ってもアメブロに書いても()いい。プライベートメールや会員限定のコンテンツなど数えきれないくらいどんな発信もできる。

そんな今だから「どうしてこの形で伝えてくれたのか?」という投稿者(つまり推し)の意思を尊重する振る舞いを、受け取る側の私たちはするべきなんだ。受け取る側にはいろんな人がいるけど、まずはファンがその振る舞いを見せるべきなんだと。そうやって大好きな人を守るんだと。

 

私もそれなりにいい年齢になったけどこうして自分より若い推しに教えられることがたくさんあるから、ヲタクって楽しくて心が豊かになりますね。これからも応援させてください、ファンで居させてください。

 

推しが結婚した件について。今までたくさんの幸せをくれた大好きな推しが幸せを見つけてくれた。それはとても幸せなことです。それだけでとても嬉しく気持ちがあたたかくなります。

河西智美さん、小山圭太さん、ご結婚本当におめでとうございます。

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*1:小山圭太さんのインスタグラム投稿 https://www.instagram.com/p/CO5DScAj2yL/?utm_source=ig_web_copy_link

ラーヤと龍の王国

映画作品の感想はnoteのほうにあげることが多くなっていたけど、ディズニー作品ということではてなに投稿したいなーとおもって書いてます。

なお当ブログはネタバレ含みますのでご注意くださいませ。また、ブログ主は"新作が公開されるたびに足繁く映画館にいく"ほどの熱心なDヲタではないですのでご容赦願います。

 

「作品評価は世界的に極めて高い」

たまたま目にとまり「ディズニーの新作公開されたんだ」と知った記事がこちら。

しかし、こんなことになっていたとは…。でも確かに私もコロナ流行をきっかけにディズニープラスにも入ったし、実写版ムーランもプラス限定での公開(しかも月額+α)と聞いていたし。感染対策も考慮して、映画配給の仕方に試行錯誤しているんだな。

 

この記事の2ページ目にある、次の一文(の注釈部分)が気になった。

映画興行において、作品内容とは関係なく(ちなみに今のところ『ラーヤと龍の王国』の作品評価は世界的に極めて高い)、いかに宣伝が重要かを証明することになってしまったのだ。
日本の支社にたった一つの裁量も与えなかったディズニー本社|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 ほう。それならどんな作品か観てみよう、とおもい映画館に足を運んだ。

 

過去10年くらいのディズニー映画雑感

ラーヤの感想を述べる前に、まずは最近のディズニー作品についての思うところを聞いてほしい。直近10年ほどのタイトルをディズニー作品の一覧(Wikipedia)を参考に振り返り、観た感想というかネガティブな辛い雑感を書きたい。 

  1. CG技術の顕示欲がすごい。見せつけたいんだなーという感想が1番強い。ピクサーがディズニー傘下に入って以降特に、技術を披露するためのシーンがどの作品でも印象的。
  2. 過去作の続編や実写リメイクばかり。挙句にはアナ雪2では公式が二次創作し始めたとさえおもった。
  3. 「3Dでこの世界観を描きたい!」という意思がとかく強いため物語構成が甘い。散りばめすぎた伏線を回収しきれなかったり前半の起承が長すぎたりなど無駄な描写が多い。
  4. 主人公の感情の起伏が激しい。希望と絶望、和解と暴力が代わる代わるやってくるので忙しくて疲れてしまう。

ディズニーはもう"新しい作品"を創造できなくなってしまったのか? 新作を観てはがっかりしてきた私の雑感を、2021年、ラーヤは覆すことになった。 ディズニー近年まれにみる良作。一言で感想を述べるとしたらそうなる。

 

「ラーヤと龍の王国」感想(以下ネタバレあり)  

音楽

東南アジアを模した架空の国々が舞台になっていて、まず音楽がいい。青銅の楽器の音色がいかにも地域の雰囲気を伝えてくれる(ガムランというらしい)。豊かな自然、共存していた龍への信仰や古代遺跡があったりするので神秘的でもあるし(ちょっとミシカみたい!!)、だからといってコテコテにエキゾチックということではなく良いところでオケの弦を利かせてくるのがまた扇情的だったりする。ちょっとおしゃれ。

 

映像

東南アジアの文化や生活を模しているようだったが、建物には人気を博したいわゆるオリエンタリズム(異国趣味)のように、西洋視点から美化された東洋文化が反映されているようでもあった。真っ青な宮殿の回廊とか。天井が高く、窓が吹きさらしになっている建築が自然と隣に生きる世界観を伝えてくれてとてもいい。それを2DではなくCGアニメで作ることに意義があると思った。昨今感想を書くに当たって「ネタバレ」が重要視されているが、ネタバレされてもなお再見してあの世界に浸りたいという気持ちになった。ディズニー作品でそう感じたのはとても久しぶりだった。

 

ワヤン・クリ

龍と人間が平和に暮らしていた昔話や空想上の話はインドネシアの影絵芝居ワヤン・クリを模したようなタッチ、あるいは古文書のような2Dアニメで描かれているので、本筋の物語とメリハリがついてる。

国名や君主名がやや覚えにくいが、冒頭以降もラーヤが土地に足を踏み入れるごとに地名が表示され(RPGみたい)、国同士の情勢などはラーヤが仲間と作戦を話すときに地図を広げて説明してくれるからわかりやすく、鑑賞者を迷子にさせないような配慮を感じた。

 

ストーリーのテンポがよく無駄がない

ドルーンによって石化してしまった父、そして龍・シズーが言う「相手を尊重し信じること」を、ラーヤも旅の中でシズーに導かれるようにしてその思想を受け入れていくことになる。そして敵国だったはずの民族と話し、率直に語り、手をとって進んでいく。

ストーリー展開はいわゆるディズニーっぽさがどこか薄くて、RPGのゲームやアクション映画を彷彿とするテンポ感があった。アメリカ映画にたまにある「海外ドラマのゆるゆるとしたテンポの進行がそのまま映画になってしまった」ような感じがなく、シーンに無駄がない。

「人を信じること」にテーマが据えられているため、ラーヤとその仲間たちは正義で進んでいく。疑心暗鬼になりそうになれば誰かが支えるから病まないし、信じて裏切られそうになるとラーヤが助けに来てくれて物語がサクサク進んでいく。まさにワクワクの冒険活劇を魅せてくれるスーパーヒーロー。

 

ラーヤ

ラーヤも暗い影は持っているのだが、シズーが底抜けに明るく振る舞うことでやっとコントラストが出てくる感じ。そうして主人公ラーヤの疑心暗鬼ぐあいは描写が極力省かれていて、あくまで「過去」として描かれている。だから主人公はいわゆる闇を背負っている振る舞いを見せない。それがいい。

他の登場人物たちもそう。ドルーンに家族を奪われてもなお一人一人個性を持って一生懸命に生きていて、その中でラーヤの仲間になっていく。旅が進むにつれてヒーローが揃っていく感じ。オーシャンズ11ONEPIECEのようなアクションとワクワク。

ある意味わかりやすい勧善懲悪。だけどわかりやすい「悪」がいないから子どもっぽくはならない。強いて言うなら悪役はドルーンかな…。ラーヤ宿敵だったはずのナマーリとさえも和解し、彼女の過去も浄化する。対ドルーン戦のクライマックスは胸が熱くなったな。本当のスーパーヒーローは誰一人として見放さない。

 

ラーヤかっけえ!!! 私が子どもだったら戦隊もののヒーローたちと同一視していたと思う。クールでかっこいい。ネット上で対立する意見・歪み合いが目にみえるようになった2021年の今に向けたメッセージとしても深く響くものがあった。

 

ラーヤとお父さんとの親子愛も素敵だし、剣の刃に反射した家族の姿を見て正気を取り戻す描写とかすんげー繊細だった。スタッフロールには本編中で登場人物たちが「石化した家族とこんなことしたい」と夢を語っていたことが実現されたような後日談が描かれていたりして、制作スタッフが最後まで物語を愛していることがわかった。

物語もキャラクターもとても深く編まれていたと思った。先日観たばかりだけどもうまた観たい。

 

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丸美屋食品ミュージカル「アニー」【20210424 12:30-@新国立劇場 中劇場】

感想というか覚書を含む考察ぽくなってしまった^q^素人のブログなので読み苦しいところはすっ飛ばしてください。また、有名作なのでネタバレも何もないと思いますが気にする方は以下ご注意願います。

大掛かりな内容になってしまったので目次つけます。

 

アニー2021

2021年4月24日(土)東京

23日夜、河西さんのツイート見て「明日はやるんだな!?」と初演チケットをとった直後に4/25〜5/10の公演中止が発表された*1。4/24の2公演のみ開演決定、つまりダブルキャストの両チームが1公演ずつ、初日であり千穐楽ということになる。

今回の出演者がミュージカル「アニー」にキャスティングされたのは去年2020年。河西さんにとっては初めての"悪役"、とても楽しみにしていたけど予定されてた公演は全て中止になり、ようやく1年越しで幕が上がると思ったら今度はGWに被せた緊急事態宣言。今回の上演の判断は、国が出した言葉の合間を縫ってでも「やってやるからな!」という、カンパニーの気概を感じた。きっと私だけではないでしょう。

劇場施設は空調など完備され、さらにアルコール消毒やマスク着用などなど感染対策が徹底している。しかも舞台や映画はお客さんが座って静かに体験するから、コロナ禍文化の希望だと信じているんだけど…

…とは言っても、もちろん2回でも幕が開いたに越したことはない。本当によかった。

 

2年ぶりのアニー、初演のマチネということもあってか会場は本当に親子連ればかり。チケットを滑り込みで購入した私は、ファミリーとファミリーの間に着席(ソーシャルディスタンスを保つために空けてた席に入れてくれたでしょうね。感謝)。後方上手でしたが、後方は列ごとに段差がついているのでどの席からでもステージが観やすかった。素晴らしい。

観客もみんな舞台に立っている子達なのだろうか、とにかくお行儀がいい。物販の横では偉そうな人たちが名刺交換していた。ロビーのあちこちで交わされるご挨拶は発声も振る舞いもよくて、アニーが子役の登竜門と言われる舞台なだけある。

 

4/24 12:30公演 チーム・モップ
德山しずく(アニー)、藤本 隆宏(ウォーバックス)、マルシア(ハニガン )、笠松はる(グレース)、栗山 航(ルースター )、河西智美(リリー )、矢山 花(モリー)、難波 夏未(ケイト)、加藤 凪紗(テシー)、山岡 さくら(ペパー)、長曽我部 夢(ジュライ)、宿口 詩乃 (ダフィ)、メープル(サンディ)

アンサンブル:鹿志村 篤臣、後藤 光葵、谷本 充弘、丸山 田加賜、矢部 貴将、太田 有美、木村 つかさ、濵平 奈津美、横岡 沙季

ダンスキッズ:磯部 ちひろ、合田 晴音、齋藤 日南、高嶋 悠花、鳥塚 絢心、鳥塚 美羽、中野 晴太、平山 明香里、船岡 玲那、三輪 駿斗、山田 紗良、渡邊 杏奈
脚本:トーマス ミーハン
作曲:チャールズ ストラウス
作詞:マーティン チャーニン
翻訳:平田綾子
演出:山田和也
音楽監督:小澤時史
振付・ステージング:広崎うらん
美術:二村周作
照明:高見和義
音響:山本浩一
衣裳:朝月真次郎
ヘアメイク:川端富生
歌唱指導:青木さおり
演出助手:小川美也子、本藤起久子
舞台監督:村上洋康

www.ntv.co.jp

 

美術・衣裳

文化は肥やす努力をしなければ土壌は整わない。金に執着する文化人に優れた芸術作品を創れるとは思わないが、金銭的庇護がなければ作品の可能性そのものが潰されてしまう。

 

どうしてこんな硬い話からはじめるかというと美術と衣裳がすんごい豪華だったから。めちゃめちゃ寵愛を受けている、安直な言い方をしてしまえばお金がかかった舞台だなという印象を受けた。いきなり金の話してごめん。でもそうなんだ。

物語の舞台が1933年ということもあるけど、富裕層の豪華な住まいの様子がそれはもう豪華絢爛なの。それを再現せんばかりに力の入った美術。さすが丸美屋、さすが日テレ。

 

ネオンに輝くN.Y.Cの舞台セットはどこか懐かしさにも似た親しみを覚えます。街の風景について「日本はアメリカの街を真似ている(から華美で電気を食う)」と聞いたことがありますが、ディズニーリゾート・映画の存在も手伝っているんでしょう。

世界大戦、大不況など20世紀前半は未曾有の厳しい時代なのですが、それを優れた作品を通じて体験している身としては"美化された"状態で触れているから、やっぱり楽しいというイメージの方が強い。ワクワクしちゃうんですよね。 

ウォーバックス邸の大きな螺旋階段。クリスマスツリーなんてキャストと比較しても優に5メートル超えてたんじゃないでしょうか。同年代を描いた作品(後述)の多くにクリスマスを過ごす風景が登場するのも、当時の厳しい時代の中で唯一といって差し支えない"楽しみ"、国境を超えて共有できる宗教的慣習だったという事でしょう。

 

そして衣裳!!!

マルシアさん演じるハニガンは、外套を除いても何度か衣装が変わります。なんて豪華なの!!その模様は浮世絵のような平面的な描写と単色な色使い。七福神のような神様のような姿、あるいは西洋趣味な日本の派手な扇が超大柄であしらわれていて、まさにジャポニスム

我らが河西さんのまとっている衣裳もまたまたすんごい豪華。赤・緑・黒・金あたりで、グスタフ・クリムトウィーン分離派の装飾を思い出すドレスだった。よく見ると明るいグリーンのところには多分フランス語で何か文字が入っていた。そこに毛皮のショール、肘まである長い黒の手袋に、流行のフィンガーウェーブのショートヘア。

彼女たちがまとっていたのが当時の最先端ファッションだったことが想像できました。*2

うおおおおおワクワクする!!!!。ブログやってて面白いのは「あれ何ていうんだろう?」をGoogle検索ながらもきちんと調べて新しい知識が入ってくること。先の髪型の呼称とか、この記事書くにあたって知った。ほんと楽しい!

世紀末サイコー!\(^o^)/
*世紀末芸術 - Wikipedia

 

男性陣のタキシードは白、黒でシンプルかつ紳士的なもの。 そしてアニーには赤、孤児のうちペパーには青の差し色がありながらも、孤児院、ニューヨークの決して裕福ではない路地では人の服も街なみもすべてが燻んだ色でした。ウォーバックや従僕たちのタキシード、秘書グレースやメイドのフォーマルなファッションは決して派手ではないけど、白・黒など紳士の落ち着きがある色合い。

一方で、ハニガン、リリーのいわゆる悪役たちの衣裳はしつこいまでに華美。でも品位はあるから、キャラクターと相まってどこか憎めない。飛躍的な解釈をすれば、お金に翻弄されて悪事を働く彼らにもまるで「あなたの身の回りにも"人生の彩り"があるんだよ」と仄めかしてるようにも思えました。

 

そして舞台セットも。

ネオンが色とりどり輝くブロードウェイ、バカでかい扉と金であしらわれたウォーバックス邸。11歳のアニーにとってさぞ華やかな世界だったことでしょう。ただ、そんな豪華絢爛の大都会にやってきてもアニーの純真無垢であたたかい気持ちが、ビジネスマンのウォーバックスの心を動かしていく。

生きている世界が彩られていく描写は、モノクロからカラーフィルムに移り変わっていた時期でもあり時代を象徴するなあとも思いました。面白い。「ウィズ〜オズの魔法使い」のドロシーの家の描写を思い出しました。あと、意地悪な雇用主という悪役ももしかしたら象徴的なのかもしれない。ハニガンのポジションには、オズの魔法使いのミス・ガルチがかぶる。

 

リリー

物語の舞台は1933年。なんで刻んできたんだろうと調べたところ、1933年3月に大統領に就任したのがフランクリン・ルーズベルトで、最後の方にセリフで出てきたニューディール政策も同年から…ということで、アメリカにとって大きな年だった模様。

世界恐慌貧困層が増え、一方で一生かけても使いきれないほどの大金を得た富豪との差が大きくなっていく。逮捕されていたルースターも生きるためだったとも考えられるし、マルシアさんもパンフレットで、ハニガンはお金のために孤児院の番の仕事につけただけで当時はそれだけでもラッキーだったのかもしれない…と彼女が飲んだくれになった背景を想像しています。

ラインダンスしたりスウィングしたりBBBを思い出す音楽で歌って踊るのは、ディズニー大好きな河西さんも本当に楽しかっただろうな。リリーは悪役だし決して出番が多いわけではないけど、パフォの存在感は健在。目立ちすぎず悪ながらも愛嬌があり、素敵な演技でした。

 

APPLAUSE

私はアニー観劇が初めてだったので過去の本作がどんな舞台か知りませんが、パンフレットによると「3行のセリフが1行に」なったと言うくらいだから脚本は大幅に削られ、コロナ禍での上演のための特別仕様になっているようです。 

開演前にステージに赤いシャツの男性が登場。「APPLAUSE」とボードを掲げたら客席が拍手をするという練習をしました。Good!とか"音が小さい"みたいな彼の感情は、顔と体の表情のみで伝えられ、チャップリンのようにコミカルで面白かった。客席の子どもたちもころころと笑っていました。思えば1930年代のアニーの時代設定にもぴったりです。

この練習の成果は後のラジオ番組放送のシーンで効果音として役に立ってきます。お客さん参加型、いい。これも特別仕様だったのかな?楽しかったです。

この一瞬のためにラジオ番組のネオン、骸骨マイクが3本と蓄音機みたいな小道具が机の上にたくさん用意されていて、ここでも寵愛を感じた。他の場面でも室内のラジオ、電話など。今でいうアンティークな小道具の数々とその作り込み具合がさすがです。

 

アニーとサンディ

孤児院で日々ハニガンの言いつけ通りお裁縫の仕事をする孤児たち。ある日アニーが孤児院を抜けニューヨークの街に飛び出すところから物語が動いていきます。

物販で売ってたグッズに"サンディ"なるもふもふのワンちゃんのぬいぐるみがあったので、アニーの相棒で犬が出てくることを知りました。ディズニーのわんわん物語(スタジオの原案は1937年)にも野良犬を保健所に収容する描写があるくらいだから、それだけよくある風景だったってことなんでしょう。

ミュージカル「ピーターパン」のナナ*3みたいな感じかな?と思ったら、
本物のイッヌ出てきた。
しかも思ってたんと違う。もふもふではなくビーグルちゃん。かわいい………わんわん大サーカスのメープル*4というお名前だそう。わんちゃんの登場した会場からは感嘆の声が漏れていました。野良犬として保護されそうになっていた彼をアニーは自分の犬だと嘘をついて、咄嗟にサンディと名付けます。そしてアニーに何度か名前を呼ばれるとサンディが飛びついていって、名曲Tomorrowの歌唱へ。

德山さんの透き通った歌唱を、メープル氏の名演技が扇情してくる。両親に再開することを夢見る少女に寄り添うメープルはほんとに忠実で、この先何があっても大丈夫だと彼女の明るい未来を暗示するかのようで。

こりゃ、泣いちゃいますわ。

 

初日であり千穐楽

藤本さんからのご挨拶「この公演がチーム・モップの初日であり千穐楽」と言葉を詰まらせると、河西さんも周りのキャストも涙腺ゆるめてた。「子どもたちはこの日のために2年、3年頑張ってきました。それが今日で終わりなのは悔しいです。でももしあと1日ずれていればそれさえ叶わなかったんです。来年、再来年もアニーは続いていきます。今年僕たちがその糸を紡ぐことができたことを有り難く思いますし、これからも頑張ってまいります」」とスポンサーに謝辞。

子どもにとっての365日ってとても大きい。体感で長く感じるというだけじゃなく、1日1日の滋養が濃い。同じ3年間でも大人が過ごす3年間とはわけが違う。小学4年生からの3年、中学1年生からの3年…と自身の経験を振り返ると、見える景色も考えることも全然違う。大人になる前の子どもとして立つ意味がある役を演じる、そのために努力する時間って、もうかけがえがない。それが文化的に不遇な時勢、無力な環境によって妨げられているのはとても悲しく怒れること。会場で涙していた大人たち、子が同じ努力をしている親たちにはそんな思いもあったと思います。

 

そんな中でもアニーは幕が上がってから最後まで前向きに生き、落ち込む子を励まして笑顔でいます。クリスマスに招く孤児に男の子を望んでいたウォーバックスさんが、一瞬でオチた気持ちはわかる。まっすぐでかわいい子だもん。

それがアニーというキャラクターなのでしょうけど、德山さんの笑顔がまた素敵でね。 カーテンコールで涙ながらに挨拶をした藤本さん、マルシアさんに続いて言葉を求められても、明るい声満面の笑みで目を細くして「ありがとうございました!」 と一言。以上。

德山さんは幕がおりる最後までアニーでした。本当に素敵でした。希望が詰まってると思ったし、他の子役の方々、ダンスキッズの方々がこれからも舞台に立てることを願いますし、コロナ禍の厳しい時代とは言っても今は今しかない。大人も、そういう世界にする努力をしていかなければなと思いました。

 

昨年3月下旬上演の脳内ポイズンベリーではカーテンコールでうるうるに涙を浮かべていた河西さん。でも今年は子どもたちの元気につられて最後まで笑みを絶やしませんでした。いらない強さかもしれないけど、強くなったね。

アニー、観ることができて本当に幸せな舞台でした。出会わせてくれた河西智美さん、キャストの皆様本当にありがとうございました。またこのカンパニーでアニーの幕が上がることを信じています。

 

 

人の手がつくる時代の結晶

アニー観劇中にふと考えたこと

2021年の文化も、百年後にはこうして懐かしんで愛でてもらえるのだろうか

1930年代のアメリカ文化は、現在もこうして世界から親しまれている。これからもアニーの上演は続くし、同時代の動乱を描いた作品は今後も多く愛されていくでしょう。

では2021年の今、コロナ禍に文化が"花開いている"だろうか? 開きそうな蕾は育っているだろうか?

 

観たことなかった映画を30本くらい観て思ったこと 

昨年夏のお盆休みに、「タイトルは知っているけど観たことない映画(昔観たけどよく覚えてない映画含む)」を観る自粛企画を立て、Prime Videoなどなどのネット配信で34本観た(休憩でみたお気に入りを含めれば計41)。

例えば、カサブランカシャレードニューシネマパラダイスシンドラーのリストグレン・ミラー物語………など洋画を中心に。ディズニープラスで初めてお目にかかれた中長編もたくさんあった。インターネットありがとう。

思い当たるものを次々観ていっただけなのだが、背景に第二次世界大戦の影が濃く差している映画がとても多かった。黄金のアデーレは特にしんどかった。それだけのめり込める優れた作品ってことなんだけど、観ていて気が滅入ったりもした。

文学が舞台になり、演劇が映画になり、舞台はミュージカル化され、映画音楽がジャズにアレンジされ……この戦争が、映像芸術の興りと時を同じくしたこともあっただろう。なんたってフィルムの原料はニトロセルロースだし。

 

「アニー」を、ブログ主が好きなディズニースタジオと比べると、例えばアニーの出生年1922年はウォルトがアリス・コメディを一生懸命制作している頃でしょう。1933年といえばドナルドダックのスクリーンデビューの前年で、初のカラーフィルム長編アニメーション「白雪姫」公開よりも昔です(1937年)。

百年以上昔の文化で生まれた作品が、今もなお継承され愛されているわけです。

 

一生かけても掘り起こせない「鉱脈」 

ちょうど #文化芸術は生きるために必要だ というハッシュタグTwitterのトレンドに入りました。そのこともあってちょっと小難しい話になりますが、美術史学科の端くれで勉強してきた私の感想です。

 

例えば、先に書いたAPPLAUSEのパフォーマンス。これを観て「チャップリンみたい」と面白いと思ったのも、私がチャップリンサイレント映画を観て面白かった経験があったから。じゃなければ、あんな無言で何してんだ?と楽しみ方がわからない。
でもチャップリンは知らないにしても、パントマイムやジェスチャーを知っていれば言葉ではなく身体で意思を表現してるってわかるじゃないですか。
じゃあそのパントマイムを知るには?……テレビで偶然目にしたエンタメ番組かもしれないしドラマや金曜ロードショーかもしれないし、街でみかけた大道芸人のショーかもしれない。

その経験があるから、作品でも何でも触れた時に「あ!」と気づくことができる。そしてその気づきが、次の気づきにつながる。知の探求を知ると人生がとても豊かになります。知らなかった頃が恐ろしいと思うほどに。

 

語彙が追いつかないので名著より引用します。まず、小説創作の読本のあとがきにあった言葉。座右の銘にしています。

幸いなことに小説書きは一生飽きないで済むほど難しいのですよ。

宮原昭夫『書く人はここで躓く! 増補新版』

また、以前の記事に続き申し訳ないですがまたしても『容疑者Xの献身』に、的確な文章があるので引用します。数学者である石神の思考です。東野先生には頭が上がりません。

紙とペンがあれば、数学の問題に取り組める。もし手足を縛られていても、頭の中で同じことをすればいい。何も見えなくても、何も聞こえなくても、誰も彼の頭脳にまでは手を出せない。そこは彼にとって無限の楽園だ。数学という鉱脈が眠っており、それをすべて掘り起こすには、一生という時間はあまりに短い。

東野圭吾容疑者Xの献身

これらは小説、数学に限った話ではないでしょう。人生を豊かにする「鉱脈」に出会うことができるとは、とても幸せなことだと思うんですね。それが石神にとっては数学、またある人たちにとっては芸術が当てはまるわけです。

 

芸術作品を楽しんだ人たちのうち、何人かは次の作品を生み出して人々を楽しませます。作り出されるものが芸術とは限りません。それぞれの人が見つけた自分の「鉱脈」を掘り下げて新しいモノを生むパワーになります。

そういう文化の有機的な土壌が続いていくためには、舞台、演劇、映画、音楽、文学………世の中に公開されている作品が、その時、どこでも、すべての人が触れられるようになっている必要があるんです。

もちろん映画や舞台が悪用され、戦争のプロパガンダに使われた過去もあります。戦下の日本やドイツを皮肉ったディズニーの短編もたくさんあります。それらの作品が"お国とまったく同じ意思"で作られたかはわからないけど、そんな中でも確実に言えることは、それらの作品が「前人が時代を描き残したもの」であること。それは歴史に文化を残してくれる、過去を鮮明に語ってくれる大切な大切な財産です。

 

硬い言葉ばかりを連ねて申し訳ない。だけど新型コロナウイルスの流行が収まるところを知らない今、人々の体だけでなく心の健康を願うのであれば、文化芸術は生きるために必要です。劇場も映画館も美術館もぜんぶぜんぶです。

どれだけ言葉を尽くしても足りないけど、本当に、ただただ伝えていくしかないです。

 

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*1:丸美屋食品ミュージカル「アニー」最新情報

*2:別作品に脱線しますが、1974年のミュージカル映画「メイム」 Mame (film) - Wikipediaの話。原作はAuntie Mame、1955年Patrick Dennisによる小説。その後の作品化は頻繁にされたがやや複雑で、Wikipediaによると1956年に舞台化→1958年に舞台化されたものをベースにした映画化。他方で、1966年にブロードウェイミュージカルとして上演されたものがヒット→1974年のミュージカル映画(上記リンク)となる。
「メイム」も1930年代の話。株で富を得たお金持ちのメイムも、世界恐慌に翻弄されることになる。ニューヨークの彼女の豪邸にはクリムトの作品を模した肖像画が飾られている(完全にエミーリエ・フレーゲのパロディで、他にも屏風状の作品が出てくる)。
ちなみに東京ディズニーランドのパレード ディズニー・クリスマス・ストーリーのメインテーマにも使われているWe Need a Little Christmasは、ミュージカルのヒット以降にクリスマスソングの定番になったそうです。

*3:f:id:yuuki0507com:20210424152343j:plain 
ミュージカル『ピーターパン』公式ツイッター @peterpanjapan より

*4:f:id:yuuki0507com:20210426004240j:plain
わんわん大サーカス公式ツイッター @wanwancircus より。右がメープル氏、左がダブルキャストの家康氏

僕の夏が始まる公演【20210417 13:30-】

昨年2020年12月、北山さきりんごソーシャルディスタンス公演。コロナで当初予定から一月延期されて半年ぶりに入った劇場。overtureで暗がりに立つ推しを見た時、「もうこれが最後かもしれない」と思った。

そして4月。村山生誕など囁かれる中で迷いもあったけど、「入りたい時に入りたい公演に入るのが一番良い」という思いで行ってきた。準優勝、下手立ち後方の備忘録。

 

鈴木くるみ・大盛真歩・北澤早紀・齋藤陽菜・田北香世子・多田京加・村山彩希・山内瑞葵
前説ちゃん:古川夏凪

 

M00. overture
M01. 3つの涙
M02. Seventeen
M03. ボーイフレンドの作り方
 自己紹介MC
M04. さっきまではアイスティー(村山、齋藤、鈴木)
M05. Oh! Baby!(大盛、北澤、山内、多田)
 MC(鈴木、古川、田北)
M06. 最後にアイスミルクを飲んだのはいつだろう?(村山、齋藤、大盛、多田)
M07. ウインクの銃弾(北澤、田北、山内)
 MC
M08. 胡桃とダイアローグ
M09. やさしさに甘えられない
M10. 恋人いない選手権
 MC
M11. キンモクセイ
M12. ポニーテールとシュシュ

M13. タンポポの決心(#ファイト1曲AKB 2008-2009年) 

先日入ったのと同じ公演なんだけど、メンバーが違うだけでこうも変わるか。早紀ちゃんがいるからか彩希ちゃんのイキイキさが凄い。overtureから何かが違った。

チームB:4人、チーム4:3人、チームA:くるみの8人公演。バランスが最強。一人一人の粒が立っていて、みんなが味を出していて存在感が8人分ちゃんとあった。

 

センターに推しと推しが並んでるのすごい幸せだね。瑞葵ちゃん髪伸びたなあ。Seventeenは真ん中にいる村山さんを追うか下手の山内さんを追うかで目が足りなかった。彩希ちゃんのターンはいつ見ても綺麗ね。そして楽しそうに笑うのよ。ボーイフレンドの作り方、♪まだまだ先はなーがー「「ながーーーーーーい!」」のさきりんご、なんかそりゃもう満面の笑みでね。おじさんも楽しいよ。

ユニットなんですけどもアイスティー

今までだったら左右で若手を支えるようなポジションを選んでいただろう彩希ちゃんが、後輩メンバー2人を引っさげてひらひらの衣装でセンターで踊ってる。頼もしいというか「ゆいりが前に出ますよ!」感があってよかった。真ん中で堂々とユニットをひっぱってることが嬉しかった。良い。

そんでだな、
Oh! Baby! メンが強えのよ
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早紀ちゃん・瑞葵ちゃん・まほぴょん・多田先輩……。先にも書いた通り今日の出演メンバー自体個性がそもそも強いのですが…ネオンイエローのニットキャップ被ったかわいいキムチ炒飯に、日本酒添えてチョコレートとたこ焼きのっけちゃった感じだろ。どこ食べてもおいしいやつやないか(迫力により語彙死亡)。

瑞葵ちゃんの軽快なダンスがまた一つ見られておじさんは嬉しかった。スタイルがいい上に手足が長くて、見せ方が綺麗なんだよ。そんな瑞葵ちゃんをずっと眺めていたいところ、横でギラギラに輝くのは彩希ちゃんと対をなす劇場の二本柱・北澤早紀。こんな贅沢が許されるんか…僕はラッキーマンだねほんと。

 

そして、推しメンが冷たい飲み物担当してる本公演最大の気づきはアイスミルクは休憩曲じゃないということ。この仕上げ方はさすが村山さんだった。

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こういう静かな曲って歌がメインで振りつけってほんのおまけ程度って印象あったけど、歌はもちろんのこと一つ一つの身振り手振りが本当に綺麗で丁寧で。アイスティーもそうだったけど振りがきちんと歌の要素を表現してる(言葉固くてすまん)。それで白い衣装が似合うのよ、腕や足の美しさが引き立ったりしてね。最後の一瞬まで綺麗だった。いいもの観た。職人。

なお、ウインクの銃弾につきましては下記の通りですのでご確認くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
 山内「♪優しくされりゃ誰でも寝るよー♪」
 私(ミズキチャン.....)

 

MC含めて全体的にテンポよく進んでいって楽しかった。いいね、いいね。気持ちよく笑って、曲に戻っていけた。

サイリウムの振り方練習も、前説で夏凪ちゃんがさらっと教えてくれただけ。ユニット間MCもちゃんとMCしてた。くるみとなづなんが田北氏のいいところを言うだけのMC。かよよんは出過ぎず引っ込みすぎず、後輩にいじってもらってるのいいよ。肝が据わってるくるみも、そこに乗っかるいい子のなづなも良い。

企画してやってみてやっぱりこうしようって変えて、良い公演にしようとちょっとずつ改善してるのすごい嬉しかった。これこそ劇場。

 

で、 多田さんが偉い。

多田先輩のMCは偉い。毎回おもしろかった。ユニット明けMCで「恐竜」の話するなんて思いもしなくてすげー楽しかったよ。でも誰かマンモスは言ってほしかったよ。私はトリケラトプスプテラノドンとサーベルタイガーが好きだよ(小並)。多田さんがいると彩希ちゃんも安心してボケに振り切れられて、本当に楽しそうでね。本当に多田先輩が4の後輩に入ってきてよかったよ。これからも頼むよ。

はーたんやまほぴょんが平然とボケテーマに乗っていくスタイルもいいよ。ふつう恐竜の日に偶然恐竜のTシャツをレッスン着にする人いないよ。地層にロマン感じる人もそういないよ。それをさっきーや田北氏が拾っていけるんだからBは安泰だな。

 恐竜MCでキツネにつままれたようなまま終わってしまった村山氏、「後半戦はこの曲からです、どうぞ」でポーズ決めた瞬間に表情がスイッチするんですよね。みんなすごいよね。私まだ”おいしいうどん”若干引きずってたよ。 

 

胡桃とダイアローグ。二人のテンポ感というか間の取り方って微妙に違うのかもなっておもった。どっちも好きだけど。彩希ちゃんはすごい取るね。サビでぴょんぴょん左右に跳ねるのが大好き。ドゥッドゥの手つきがちょっとエッチなのも好き

やさしさに甘えられないのオチサビで一列になって拳を振り上げる感じに転石を思い出した。なんというかやっぱり、後半戦に持ってくる曲ではないな。前半かアンコールあたりじゃないかな。フルセトリでできるようになる日を待ち侘びる。

恋人いない選手権はねえ…………がんばれ。(詳細割愛)チャーミングだな。笑っちゃった。好きだよ。また今日僕夏出るみたいだけどここしばらくモバメとか全然だったから手つなと合わせてたくさん練習していたんだろう…久しぶりの公演楽しんでがんばれ。

村山さんは相変わらず終始楽しそうに待ってるよね。髪振り乱してポーズ決めててかっこいいですね。こういう終わり方の曲ちょっと珍しい気がするけどスカッとした音いいよね。

 ラストのキンモクセイは歌い出し瑞葵ちゃん。彩希ちゃんに早紀ちゃんもいるから余計にTDCが懐かしく思い出されたよ…今日のメンバーいいなぁと改めて。歌に良し悪しはあるにしてもみんなが自信をもってパフォーマンスしてるから良い。ポニシュサイリウムは半月やってみただけあってファンももう一緒にできるようになりましたね。そうそう、これ。メンバーが歌いながらやってくれたらそれを真似するから、それで大丈夫よ。こないだ入った時よりもずっと楽しめました。

 

#ファイト1曲AKB 企画は、草原の奇跡→僕の太陽ときてこの日は第三弾。なんとタンポポの決心。俺たちの…タンポポ…!!!今日の公演で一番楽しみにしていたと言っても過言ではない。だかしかし、推しが見えねえ(柱)瑞葵ちゃんは見えたけど村山さんは一番下手側、完全に柱に隠れててもう柱になってました。シアターの女神なだけに。

今日の公演で良いところにくるとパッと目を引いたのが多田さんだった。多田の笑顔はいいな。ユニットでも全体曲でも、気づくと良いところにいるんだよ。タンポポでも思いがけずじっと観てしまった。多田さんの笑顔がいると安心するよ。看護師を目指してただけあってしっかりしてるしハキハキしてて健康。陰りがなくていい。

 

始まる前は「タンポポの瑞葵ちゃんを見たらまりんちゃんを思い出すかな?」なんて楽しみにしてたんだけど、そんなことは全然なかった。デビューしたての最初の頃こそお耳が大きくて顔立ちが似ててまりんちゃんみたいだなと思って、それで好きになったけど、今はもうぜんぜん違う。瑞葵ちゃんは瑞葵ちゃんだった。f:id:yuuki0507com:20210422000341j:image

瑞葵ちゃんが歌う、振りをする一つ一つが、推しフィルターばりばりで観てる私の思い出をまるで手にとってくれているようで…。あの頃と同じイエローのライトをバックに歌ってるのは、込み上げてくるものがありました目がキラッキラしててね。

センブロに見惚れていると、オチサビにきてなんと柱の下手側の影にちょろっと村山さんが覗いているのが見えた…!!!見える…見えるぞおおお!!!!!そこからはもう釘付け。一番下手側に立っているから斜めを向いて立ってる。サビの振り、拳でトントンとやるアクセントが強くてね。歌詞を刻み込むようにやるんですよ。

ああ、おお…(語彙)


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彩希ちゃんが好きだ

 

懐かしくもあるけど、きちんと23歳今の彼女だった(それはそう)。生きてるといろんなことがありますね。私の推したち公演出まくってるから、このままじゃすべてのAKB楽曲に思い出ができそうだよ。

 

彩希ちゃんと瑞葵ちゃんが揃う公演に入れてよかったです。これぞ劇場公演!と思った2時間でした。

フラガール − dance for smile –【20210404 13:00- & 20210412 13:00- @Bunkamuraシアターコクーン】

世界を救うために下界に送り込まれた魔法使い、舞台の妖精こと山内瑞葵ちゃんが外仕事の舞台「フラガール」に出るということで、渋谷という地獄の戦地に赴き嬉々として観劇してまいりました。

実は映画のフラガールを観たことがなかったので、4/4にまず舞台を観て、週末のうちにアマプラで映画*1を観て、そして4/12千穐楽を観劇してきました。 

 

以下、いわゆるネタバレ、辛い感想なども含んでいますのでご注意・ご容赦願います。 

 

作:羽原大介、李相日
総合演出:河毛俊作
構成演出:岡村俊一
キャスト:樋口日奈乃木坂46)、矢島舞美、山内瑞葵(AKB48)、安田愛里ラストアイドル高橋龍輝吉田智則武田義晴、工藤潤矢、隅田杏花(劇団4ドル50セント)、朝倉ふゆな、吉田美佳子、近藤雄介、黒川恭佑、松本有樹純、濱田和馬、岩上隼也、草野剛、秋谷百音、大串有希、尾崎明日香、三橋観月、古田小夏、相吉澤栞音、Mirii、有森也実

 

評判のいい映画で話題になっていたこともありハワイアンズができるまでの実話というのは知っていたので、まさか舞台が真っ暗な炭鉱のシーンから始まるとは思わずとてもビックリしました。時代は20年違うけど、そのThe昭和の空気にミュージカル座で観たかの「ひめゆり」が軽くフラッシュバックしたほどだった。

 

舞台と映画

いわきの炭鉱が閉山に追い込まれる1965年。いわきに大資金を投入してハワイアンズ建設が進み、炭鉱で働く木村早苗がフラダンサー募集のチラシを手にするところから物語は始まります。

映画だとハワイアンミュージックと映像独特の間が心地よいコメディタッチになっていた。けど舞台は炭鉱のシーンから始まり、炭鉱存続vsハワイアンズ建設の対立が色濃くて、登場する人々が次々に感情をぶつけてくる。しかも誰かがセリフを言い切るより先に食い気味に次の人が話し出す場面もしばしば。ある意味では舞台らしい演出なのかもしれん。セットも炭鉱の入口みたいな鉄骨の枠組みが常設されてて、なおさらこの舞台が社会的背景にフォーカスしてると思った。

そんな感じなので、開演すると早々にハワイアンズ計画反対の炭鉱夫たちの怒号が飛び交うからすぐヘトヘトに気疲れしてしまった。時間を見てみるとものの5分くらいだったけど。千秋楽で2回目観たときは「こんなもんだったか」とすんなり鑑賞できたけど、なまりがすごくて何言ってるかよくわからないし、初見であのパワーは観る側は結構体力使うぞ。

 

ただ、当時は現代以上に"村意識"や家族の繋がりが強い。自分で将来の夢を持つ以前にまずは働いて今日の食事にありつくという時代だったと思う。早苗の家庭もそうだった。

そしてさらに、舞台が特に強調していたのが性別の差。親の仕事を次いで炭鉱の男を支えるのが女の仕事……性別による役割分担が圧倒的に強かった頃の話。プロのフラダンサーを目指す少女たちに風当たりがとかく強くて、「女は…」と差別的に見られるようなセリフも多かった。フラダンスをストリップと勘違いして軽蔑する人々を、まどか先生は「フラは伝統舞踊、芸術です」と一蹴。海外でのダンスの地位、そして女性の活躍まで語る。映画にはなく舞台特有のメッセージだったと思う(映画にもあったかもしれないけどこんなに印象なかった)。

ちょっと仰々しいけど、もしかしたらこれくらい負荷をかけた表現のほうが時代の絶対的な"無言の圧"を再現できたのかもしれない。そして、だからこそ「今の状況から脱する」という紀美子と早苗の夢見る気持ちが切実に輝いて見えたのだと思う。

 

瑞葵ちゃんの早苗

ずっきーが演じるのは、主人公・紀美子にフラダンスやろう!と誘う親友の早苗。ストーリーが動くきっかけの大事な存在。開演早々真っ暗なシーンでこわかったけど、「炭が爪に入って手が真っ黒。こんな18歳どう思う?」のセリフは切実だった。炭をかき集めて運ぶ早苗の姿を最初に見ていたからなおさら共感できたのかもしれない。

【東北/炭鉱/モンペ】→【ハワイ/ヤシの木/フラ衣装】って世界が本当に真逆なの。闇から光へ…と言うと大袈裟だけど、コントラストかなり強めで描かれていたと思う。

 

大きな舞台での子役経験もありいろんな種類のダンスを経験してきた瑞葵ちゃんにとって、「できない演技」は大変だっただろうな。まどか先生に「笑って!」と指導されてる時点でもうパーフェクトスマイルだったし(かわいい…)。できない演技が回を重ねるごとに徐々に自然に、上手になったんだなと感じました。

早苗ちゃん、本当に厳しく育てられた娘って感じだった。例えば座り方。説明会でハワイアンズ計画の話を聞くときは崩れた正座で前のめりになるような座り方をしてたけど、レッスンを重ねたあとは他の子たちと同じように体育座りをするようになる(紀美子はあぐら)。ダンスシューズをもらって履いて大喜びしたり、衣装着てそわそわしてたり。

先生がフラの振り付けの意味を教えてくれるシーン。早苗ちゃんは周りのみんなが先生の真似してるのを楽しそうに眺めてるの。そして先生が見せてくれる一挙一動(あなたのすべてが愛しい………ではない)を見つめる目、一緒に踊りながら一つ一つの手振りを確かめるように演じるその表情は本当にキラッキラしてた。新しい世界を知る興奮、喜び、好奇心を早苗が感じていたのがひしひしと伝わる。

 

そんな場面からの父ちゃんの解雇。早苗のフラ衣装がひっぱがされた後の演技の迫力たるや。天と地の差。何があっても笑顔を絶やさなかった早苗の絶望の顔といったら。あんな瑞葵ちゃん初めて見たよ(瑞葵ちゃんではなく早苗ちゃんである)。父ちゃんは悪くねえし早苗も悪くねえ…誰も悪くないというのがまた残酷。強いて言うなら、瞬く間にトレンドが変化していってしまう時代のせい。

 

早苗を駅で見送るシーンでこそこそ隠れてるまどか先生に吉本さんが言った「もう一生会えないかも知れないんだぞ」がとっても切実に響いた。偶然だけど最近ゆっくり解説の動画にはまってて、そこで1981年に起きた夕張炭鉱の事故を*2を知ったばかりだったから尚更響いた(なお早苗の父が夕張のどこの炭鉱に就職を決めたのかは劇中では明かされてないため、この考えはガチ恋限界ヲタクの凄惨な妄想に過ぎない)

そんな先生に向かって早苗が叫んだ「人生で一番楽しかった!」には濁りが一切なかった。自らやりたいと思ってフラダンスを始めてステージを目指す時間は、早苗にとって本当に本当に幸せな時だったのだろうなと…。純粋無垢。ああ、炭鉱の暗い穴から出てきた少女よ…。見つけた夢に向かって走るって、こんなに美しいことなんだってくらい。

 

この早苗の騒動と別れのシーンを経て、キャストのスイッチが切り替わった。その後一つ一つのシーンに「これが最後だ」という千穐楽の影が急にちらつき出したように見えた。山内さんが苦戦したと言うだけあって*3重要な位置にあるシーン、ありったけの力を爆発させたってことだろう。

そんな早苗の告白に揺さぶれられてまどか先生はサングラスを外して、涙する目を晒して早苗にそれを手渡す。先生もまた、いわきの山でひとつもふたつも人として豊かになったってことだろう。寂しいシーンではあるけど、観劇しててこのあたりでやっと「山は希望だったのかもしれん」と実感がわいた。

 

演者が急激に涙ぐみながらステージに立つ中でも、夕張に引っ越した早苗は潤むことない笑顔で雪かきしててね。この辺りでテーマソングの歌唱が入って紀美子、まどか先生、そして早苗にもソロパートがあるんですけど「負けないぞ 負けないぞ 私には夢がある」フラがある フラガール フラガール……あれ、4日に観劇した時と千穐楽とじゃ、歌詞の重みが違うぜ。斜め上をまっすぐに向いて歌う早苗ちゃんの眩しいことよ…。

立ち姿からして他の演者と違う風に見えた。まっすぐだけど前のめりで、ステージに根を下ろしているように逞しい。稽古のシーンやフラダンスでも思ったけれど、静止の動きが本当に美しい。ただ止まってるだけじゃない。静止という動作。羽根みたいにやわらかい静止。そして立派な歌唱よ。アイドルとして聞く山内瑞葵ではなかったの。力強くて芯がある。

 

自分の希望を叶えながら生きることが出来ず炭鉱で親と一緒に働き、兄弟の面倒を見、父親が仕事を失くして知らない北海道に引っ越す…という未知の経験を前にしても、早苗は別れを惜しむ仲間たちには笑顔を見せる。

東野圭吾の小説の一文「人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。*4を思い出した。まさに木村早苗のことではないか。さらにはステージに立つことに対して時に切なくなるくらいまで愚直でまっすぐな山内瑞葵のことではないかと思った。

 

備忘録 

まどか先生を演じるの舞美の演技は初めて観た。馴れ馴れしく呼び捨てして申し訳ない。最後に観たのいつだろう、八王子の℃-ute紺に行ったのは覚えてるんだけど。本当に本当に大きくなった…立派になりましたね。いや、相変わらずの美人だけど輝きに磨きがかかったというか。プライドの高いプロダンサーの役、風格すごかった。今まで見たことのある彼女とはかけ離れた舞台の人になってて、声の出し方とか声色とかは松雪泰子氏の映像をすごい勉強したんだろうなと思った。終始厳しい顔をしている役だけど、 弱音を吐いたり感極まると泣き出しそうに目を潤ませるからグッときた。

 

あと、まどかが東京に帰るというシーンで紀美子にかける「リーダーが真ん中でしっかり踊ること。真ん中にリーダーがいることで周りのみんなは自分の位置がわかるの」は、個人的に刺さったし、演者・鑑賞者ともに48メンバーにも刺さるものがあったんじゃないかと思った。

 

これはどなたが演じてたのかもわからないんだけど、まどか先生と紀美子のお兄ちゃんが飲んでるシーンの居酒屋の親父。二人が会話を進める中、下手奥の暗がりでずっとお料理してる姿にとても味があった(対角線だったのでよく見えた)。じっくり手を動かして切ったり混ぜたり、火にかけたらシンクの縁に両手を突いてじっと待ってたりして。焼き物か揚げ物かな?落語の身振り手振りにも通ずるものがあって心地よくて、こういうの大好き。もっと見ていたかった。

 

主演の樋口日奈さんは完全に初めましてだった。フラガールのリーダーということで真ん中に立ってみんなを引っ張ったり、一人でソロのダンスを見せたりとクールな印象が強かった。周りより落ち着いて見えたけど、早苗やお兄ちゃん、先生に心を開いた後にはそれまでこわばってた表情がだんだん溶けていくのを感じた。早苗との別れの後では特に豊かになってて、お兄ちゃんに優しいセリフをかけられるとそのたびに目を潤ませて。

主人公をするに相応しい立ち振る舞いだと思ったし、演技もダンスも思っていた以上だった(上からな書き方になって申し訳ない)。フラダンスも力強くも腰使いがしなやかで、真っ白な衣装の舞いはとても綺麗でした。

そして樋口さん、千穐楽のカーテンコールの挨拶もとてもよかった。うーんと言葉を選びながらも「時代の変化に流されそうになったり、変化する時それぞれの立場の人に葛藤があったりするけど、手と手を取りあって決めた道をいけば、いつかみんなで笑い合える日がくることをこの舞台に教えられました」と。繊細な方なんだろうと思いました。

 

 

コロナ流行が落ち着かない中、無事に幕が開いて予定通り上演されてよかったです。千穐楽のカーテンコール、目を潤ませている瑞葵ちゃんの姿に「おかえりなさい」と思いました。2階席のほうへも視線を投げる彼女が好きです。ええ、本当に。舞台の人なんだなと。

ヲタク気質な私なので今後はハワイ、いわき、夕張に親近感をもってこれからの人生を生きていくことになるでしょう。知りたいことや興味も沸いたし、今回瑞葵ちゃんを通じて「フラガール」という作品に触れることができてよかったです。ありがとうございました。

 

 

王様になってほしい

早苗ちゃん、とてもいい役でした。でも物語上、最後のハワイアンズでのフラ披露の場面にきちんとした形で早苗が立てなかったことが、やはり山内さん推しの視点としては惜しかったという気持ちは拭い去れないですね。なので正直に書くのですが。

 

モバメでフラダンスの稽古を日々頑張っているのは知っていたし、お話会でお稽古の話を訊ねてみてもフラダンスのことをまず教えてくれたから、よほど力を入れて練習したのだと思う。ただ早苗はプロを目指す道半ばで去っていって最後のお披露目ステージに立たないから、乱暴に言ってしまえば”プロレベルに達さなくてもいい”役だったと思う。

でも山内さんはもちろんそんなことはしない。ところどころでフラを練習するシーンでは、カーディガンにもんぺ姿でも誰よりもしなやかで温かくて、しっかりした体の動きを魅せる美しいフラを披露していた。そんな彼女だからこそ任された役なんだと思った。それはとても誇らしいこと。

 

最後のハワイアンズステージでも、実はひそかに最前列の下手端で踊っていて「??!?」となりましたが(「LOVEセンチュリー~夢は見なけりゃ始まらない!~」の加護亜依を思い出した)、やっぱ出さないわけには行かないっすよね。ありがとうございました!と言いつつ4日は完全に見逃してしまったので、千穐楽に必死に目に焼き付けたんですが。

ずっとスマイルを保って踊ってるんだけど、ハンドタッセルを腰の近くでくるくる回してるのがなんか……かわいくて……(語彙すまん)。山内瑞葵という演者としては、ハンドタッセルとか手にもつダンスよりもメッセージ性が強いフラのほうが得意なんじゃないかと感じた。というかフラの方が演ってて楽しそう・幸せそうに見えた。

もっと突っ込んで言ってしまうと、このハンドタッセルを持って踊っていたのは早苗というより瑞葵だなーというのが正直な感想だった。だってこの時、早苗は夕張にいるからね。役になりきることを強く意識していた彼女なので、複雑なシーンでもあったんじゃなかろうか…なんてことも考えた。

 今回の舞台フラガールは瑞葵ちゃんにとってAKBとして初めての外仕事の舞台だったし、まだこれからたくさん活躍してほしい。そして、いつか主演で舞台に立つのを観てみたいといっそう思いました。

 

これは山内瑞葵さんの経歴を見るたびに私が個人的に思っていたことなんだけど、もどかしさというか悔しさというか…そういう感情も彼女は持っているんじゃないかと想像することがある。子役時代の劇団四季ライオンキング出演は当然ものすごい経歴なのだけど、彼女がどんなに頑張っても王様に憧れるシンバ役にはなれなかったわけで。山の人たちの「女は…」じゃないけどさ。

「AKBのセンターになる」という夢を毎日一度は心に思っていたというくらい、誰よりも努力家(同期・前田彩佳いわく「天才と見せかけた努力家」)で負けず嫌いな瑞葵ちゃん。今回の舞台でも、実力のある彼女だから木村早苗のポジションを与えられたのは理解しているけれど、どうか器用貧乏にはならないで欲しいという思いもある。

前向きにどんどん自分を高めていこうとする瑞葵ちゃんだからこれからも頑張ってくれるだろうと信じていますけどね。でも、もっともっと。これからもステージの真ん中、スポットライトの下で輝いてほしいです。本当に。

 

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*1:Amazon PrimeVideo フラガール(2006年)

*2:YouTube 【ゆっくり解説】炭鉱でガス爆発が発生し苦渋の決断...『北炭夕張新炭鉱ガス突出』

*3:ステージナタリー 【稽古場レポート】「フラガール」稽古場公開、主演の樋口日奈は「正面から魂を込めてぶつかっていく」

*4:東野圭吾容疑者Xの献身』より。なお全然関係ないと申しましたが、映画版容疑者Xの献身では絶望する数学者・石神を救ったお隣さんの母娘、母親を演じたのが、映画版フラガールで平山まどか役の松雪泰子氏だったりする。ただの偶然だけど。ちなみに引用箇所は地の文のため映画には出てこない。

僕の夏が始まる公演【20210402 18:30-】

自分でもびっくりしているが、劇場公演のブログを書くのはなんと2019年10月の研究生パジャドラ公演以来、1年半ぶりらしい。2020年も公演自体は何回か入っていたんですけどね。
二度目の緊急事態宣言が解除されてまたチケセンにログインする日々が始まる。でも12月末にさきりんご公演に入ったばかりだったから、当たると思わなくてびっくりした。

今回はキャパは205人に回復。立ち最0ポジに味をしめていたオンデマカメラが立ち退き、俺たちの立ち最が復活。今日はそのセンブロ立ち最の下手寄りに入れました。足元に「ここに立ってねマーク」(動物さんじゃないが)があったからモミクシャにされずに済んだ。席の1列目は相変わらず潰してあって席のソシャディも依然保たれていたので視界も良好。いいですね。ゆずっちきれいになったね。

overtureはうっすらMIXのボイスみたいの入ってた。正直セトリはよくわからんまま入った(というか始まった当初ロビ観したことあったし初見ではなかったんだがもう一般人なので覚えてなかった)。けど前半戦観て、今回もセトリはカット版だろうなと確信はできた。案の定、脳パラもメロスもやらなかった。(劇場公演の記事にセトリを載せる日がくるとは…)

下口ひなな・武藤小麟・安田叶・大盛真歩・谷口めぐ・浅井七海・黒須遥香村山彩希
前説ちゃん:吉橋柚花

M00. overture
M01. 3つの涙
M02. Seventeen
M03. ボーイフレンドの作り方
 自己紹介MC
M04. さっきまではアイスティー(浅井、下口、黒須)
M05. Oh! Baby!(大盛、村山、安田、谷口)
 MC
M06. 最後にアイスミルクを飲んだのはいつだろう?(安田、下口、大盛、浅井)
M07. ウインクの銃弾(村山、谷口、武藤)
 MC
M08. 胡桃とダイアローグ
M09. やさしさに甘えられない
M10. 恋人いない選手権
 MC
M11. キンモクセイ
M12. ポニーテールとシュシュ

M13. 僕の太陽(#ファイト1曲AKB 2007-2008年)

3つの涙ひたすら懐かしい…MVのダンスシーンは謎だったが、そういやこんな手振りだったなぁと。推しを追っていて、わき目にバキバキ踊ってる人がちらついて見てみると、小麟、ひなな、安田さんで チ ー ム K の 人 た ち や ってなった。彼女たちのパフォはAKBというよりはチームKの遺伝子を引き継いでいる。マンモス。

3つの涙は増田さんがいたし、Seventeenは茉里奈が周年公演で10期でやったことがあって、なにかと縁があり…。ちょうど目の前が下手1ポジだったから、推しが結構よく見えた。というかSeventeenはずるい。1サビ推しがよく見えてずるかった。

「今でも君が1番だ 卒業アルバムの右の端 やっぱり君が1番だ 何度めくって確かめただろう」

泣いた。ブログで心情を書くのを放棄したらこの記事を書く意味がない気がするが、察してほしい。ずるい…。「右の端」で斜め下をさす視線がね。いいね。私は流し目フェチだったんだろうか。他の曲でもそうだけど、綺麗なのよ。しかしなんだってあんなにニコニコしてんだ。そして、変わらないのよ。なんかこう、ドヤッって感じにえくぼ作って楽しそうに笑うのよね。…………このままずっとガチ恋の人(私)。

と楽しんでおきながら突然の辛い感想だが、全体として「劇場公演を見ている感じ」が正直なかった。1曲1曲はテンション上がるし楽しめるんだけど繋がりを感じられず、まとまりがなかった。まあオリジナルのセトリではない*1から「僕夏公演を観てきた!」とそもそも言えないのかもしれん。とにかく、客のキャパよりも先にステージの上を完全復帰してほしいと思った。チケット代上げていい。2400円で推しの公演見えるために女に生まれてきたわけじゃない。一般女性も3400円払わせてくれ。あるいはチップ制導入してチケ購入時にお金受け取ってください。支払いますから。
あと、「ポニシュでサイリウムを振る練習」を前座(ゆずっち)と途中MCの2箇所でやった。言い方がかなり悪くなるが「会場に盛り上がりを強要」するのはよくない。そんなことに時間使うんだったら1曲でいいからセトリ復活させてくれ。そっちの方が会場のヲタクが勝手に盛り上がってくれると思うぞ。パフォよりも接触的要素に重きを置いている今のAKBらしいといえばらしい。私は1秒でも長く公演が見たかった。苦言は以上。

前置き長くなったけど「公演としてのまとまりがない」とは言ったがしかし、多くの曲にどことない切なさというか、夏の日差しの中の陰りのような寂寥を感じるところがあって、その都度ヲタク心を感傷的にちくちくしてくるように感じた。さっきまではアイスティーもそんな1曲であった。

「変わっていくよみんな 大事にしてたものも それを成長なんて僕は言いたくなくて」

察してください(2回目)
瑞葵ちゃんのところなみんだった🥺 なみんボブかわいい。声も綺麗だし衣装も似合ってる。でも、Oh babyのなーみん好きだったからそちらも観たかったな…と思うとやはりオリジナルセトリで頼むわって結論にたどり着いてしまう。8人編成でユニットもシャッフル状態となっていてOh! Baby!には村山さんも参加してるわけだが、ドルフィンというほどでもないけど肩から腰にかけて波うたせるようにする振り(語彙終了)が相変わらずきめ細やかで綺麗でしてね…そういえばイルカでしたよね…。ストリートっぽい感じも似合っているというか好きそうなやつだし、横を見れば安田さんもいい。安田さんといえばアイスミルクをなんちゃら。最初下手柱に隠れて誰が入ってるのかわからなくて、でも歌が安定してるから彩希ちゃんかな?って思ったんだけど、安田さんでびっくりしました。安田さんはそれこそ2年ぶりくらいに公演で観たけど、歌うまくなりましたよね?いやはや、頼もしい。

MTはDMMで散々観ていたけど入れたことなかったので、ウインクの銃弾は初めまして。ゆうなぁコンでえっちぃ路線に振り切れた村山さん、MTの頃からまた進化した妖艶な表情を魅せるようになりましたな。大人になったな…説得力。

ちょくちょくMCをはさみつつの後半戦。MCでは昨日がエイプリルフールだったということで嘘にちなんだ話題。「ゆいりーさんはお弁当のトマトを食べた!嘘か本当か?」わかりましたよ。なんだかんだでちゃんと食べる人ですから…(お弁当は半分しか食べないとか修行僧みたいなこと、今はもうしてませんよね…?)あとこれは戻って自己紹介MCの時だけど、はーちゃんが「クロース!」を煽るキャッチフレーズの後、後列の村山さん、そのまま拳を胸にトントンと……クロスの振り付けを高速ドヤ顔でやってて、ああ私の好きな人だって思いました。

胡桃とダイアローグみたいなちょっとセクシャルが混ざったような振り、得意ですよね。腰つきとか。あとこれはヲタクどもに言いたいのだが、いつになったら胡桃の曲が終わった時の拍手ちゃんとできるようになるん?早いから。センターがシュッ!って締めて終わりやろ。覚えろまじで。今日間違えたやつは今日覚えろ。

やさしさに甘えられないはあれですね、センター試験の時に覚えました。タイトルだけだと?だったけどサビまできたら思い出せた。本来は僕夏の前半ラストを飾る曲だったのですが、時短カット版で後半に移動。しかしこれは前半に置いて欲しかった…。アンナ公演のホライズン的なポジションのように思えた。どうしてこうなった?村山プロデューサー、なんか言ってなかった?言ってそうだよな?聞いてみたいよ。恋人いない選手権これはコールなしはしんどいな………コールできないからこそ振りコピだろ!と私のような老害は思うんですけどね。脳内パラダイスカット確定なので機嫌が悪い。メンバーはこの3曲続けて披露がなかなかハードみたいで息上がってましたね。

胡桃でも選手権でも推しをみてて、良くも悪くも周りのメンバーと比べたら落ち着いたなぁって思う。年齢のせいなのか経験なのかはわからんけど。経験といえば、最前ドセンに置いてあるよくわからんカメラやオンデマカメラにも目線送ってたな。わざわざポーズ取り直してサービスしてたりして。レスも、着席・立ち関係なくいろんなヲタクにしていた。テレビやYouTubeの仕事でカメラに対する意識は相当変わったんじゃないか。いい意味で。(かつてのパフォに集中するあまり最前にいるヲタクでさえ気づかないふりする推しも、私は好きだったけどね)

そして、キンモクセイ。この公演もちろんポジション把握なんてしてなかったんですが、まさかの目の前に推しがいまして…。ずるいですね。ずるいです。なんか目がうるうるして見えたんですよ。照明や表情のせいですかね。一応人並みにはキンモクセイを好きになった13期公演を思い出しました。なーみん、かなぶんの声も似合っていてよかった。安田さんほんとうまくなったなあ。

声出しNGだからアンコール発動できないのもあれだけど、本当あっという間に最後のポニーテールとシュシュ。メンバーみんなサイリウム持って出てきました。苦言は先ほどていしたので割愛します。村山さんはどう思っていたんだろう?ステージから見たら純粋にサイリウムの光が綺麗なんだろうけど。大盛さんは背が高くて存在感ありますね。丈の短いスカート衣装なことが多くて、長い御御足が目を惹いたからかな。前に観たのはB公演だっただろうか…ドラ3もすっかり垢抜けましたね。ゆずっちも前説ちゃんには勿体ない。ポニシュの鼻歌を聞けたのは耳が幸せだったけど。彼女も歌がしっかりして安心して聞いていられました。

このまま公演ならざる雰囲気で終演と思いきや、Twitterで募っていたハッシュタグ企画#ファイト1曲AKBからもう1曲。2007-2008年の楽曲から選ばれた1曲ということで披露されたのが僕の太陽だったので無事に機嫌を取り戻しました。相変わらず名曲ですね。ああ、また僕太公演やらないかな。毎年夏は僕太がいいよ。

今日の公演中、ひななとのアイコンタクトが何度かあったけど、ひなながちょっかい出して彩希ちゃんがムッとするやりとりとか本当に楽しそうでね。それもこれもあの夏の特別僕太公演があったからだろうなと。あの頃のアツさが欲しいなぁ、また。やっぱり配信よりも番組よりも私は劇場公演が観たい。コロナで色々と大変なのだろうというのは重々承知しているが、私は運営でも経理でもないのでわがままを言うよ。劇場公演が観たいよ。50回連続公演やりましょうよ。

彼女の言動を見ていて年齢や経験なのか「大人になったなあ」と思うこの頃だけど、でも、劇場公演に立った時に見せる表情は変わらないですね。じっと見ていると、あの頃の彼女もちゃんとそこに立っている。変わったものと変わらないものとを確かめた公演でした。ありがとうございました。5月に大箱のコンサートも決まったし、今年は推しがたくさんのステージに立てることを願います。


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*1:コロナ禍の時間短縮の対策として8人体制が敷かれた上、本公演については全体曲3曲、ユニット1曲がカットされ、以降そのままカット版が続いている

*2:dntキャプありがとう

酔狂落語~二〇二一春の陣~【20210223 11:30-】

久しぶりに舞台のお知らせを見かけたのでチケットとって行ってきた。この回は完売だったらしいけど、一番後ろの一番端っこだったからギリギリ取れたのかもしれない。コロナ禍の配慮なのかわからないけど1時間ちょっとで観やすかった。

「かくかくしかじか」北澤早紀(AKB48)
「ぴいひゃら」佐藤海里 (NGT48)
「月が綺麗ですね」北澤✕佐藤

観た演目のメモをしたいためだけにここに書いているけど、どれも面白かった。落語の言葉の綾を楽しむのはもちろんだけど、時間軸が現在にあって48のアイドル文化などなど絡めた今のお話だったのでどれも取っつきやすかった。

AKBを追う中でいろんな舞台を観てきたけど、落語は新鮮。手ぬぐいをお財布に見立ててお金を出すのとか、文鎮みたいなものでドアをノックする硬い音を表現したりとか。現代にあるものもちゃんと表現できるんだな。芸術鑑賞会で昔みた時から"閉じた扇子でお蕎麦をすする演技"が大好きだった勢なので、落語のこういう特有の表現が面白かった。

瀬戸酒造店の日本酒のPRで3話どれもお酒が出てくるお話だった。早紀ちゃんの「かくかくしかじか」は凄かったな。12月のさきりんご公演生誕祭で委員が用意した幕にも使われていて、今回の舞台は以前やった演目の再演だったみたいだけれど観れてよかった。右向きと左向きで人物を演りわけるのはもちろんだけど、素面⇔泥水の二役を一瞬で切り替えるのが圧巻だった。声も表情も全然違うし。

「ぴいひゃら」は展開に込められたメッセージが現代的でよかったし、「月が綺麗ですね」でまさかかわいいお嬢さん二人が老夫婦をやるとは思わなかったけど、腰のひん曲がり具合とかしゃがれ声とか再現率がすごかったし、耳の遠さからくる聞き間違えのキャッチボールが逐一笑えた。浮世と言わんばかりに死ネタが盛り込まれた時のあの間。それまでと変わらない温度と速度で物語が続いていくのに、息を呑んだような間が会場全体を支配する。そしてその中で耐えうる演技。北澤早紀はすごいよ。



メンバーの舞台を追う中でILLUMINUSの舞台もいくつか観てきた。私個人としては、興奮気味に感想を語るヲタクほどにはのめり込めないことが多いというか、演出の意図がよくわからんかったことが多くて、言ってしまえば当たり外れの差を強く感じてきた。でも酔狂落語は面白かった。会場も駅のすぐ近くでこじんまりとしているけれどいい箱だった。

大きな会場での音楽のコンサートが難しい昨今だけど、映画館とか中小規模の劇場で観る演劇なら、客席の熱量が上がりすぎずに楽しめて今の時代にちょうどフィットするんじゃないかと思う。春先には瑞葵ちゃんが「フラガール」に出るし、河西さんも「アニー」に立つ。あと全然別だけど、好きなアニメの映画が今年だけですでに3作品決まっている。2021年はいろんな作品を観に行けますように。

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