すばらしすぎてチケットを買い増して、2公演観てきました。
公式からキャスト・スタッフの情報を引用させていただくんですが↓、かなり多いですね。来年春にアニメ化する方向に動いているらしく、とても力の入ったプロジェクトであることが伺えます。
本ブログの感想は、物語のネタバレ等を盛大に含みますので気にする方は要注意でお願いいたします。
キャスト:朝倉ふゆな(七瀬紅莉夢)/長友彩海(芥森李莉亜)/篠崎彩奈(汐魅レイラ)/高橋紗妃(乙河美波瑠)/小池唯(剣條羅寿香)/鵜川もえか(芦乃·ローレン·麻衣)/櫂堂すぐる(中野郁海)/蜜月りあ(漆原つばき)/末永みゆ(香里園萌菜)/絃ユリナ (宮永凛玲)/白田まめ(和泉雛美)/楠 世蓮(北斗みなみ)
レイザーアクターズ:花沢詩織/槙原唯/河村茜/真心/鎌田優花
原案:0-samu
脚本:入江おろぱ
演出:扇田賢(Bobjack Theater)
美術:照井旅詩
照明:郡大輔(K-Plan)
音響:金子翔一(DISCOLOR Company)
楽曲編集協力:hoto-D
衣装デザイン:ウルツ
衣裳:細井奈津美/衣裳師 RUMINE
ヘアメイク:松前詠美子
パレットデザイン:赤魂
造形(パレット):早瀬昭二(マッシュトラント)/吉村健一(マッシュトラント)
殺陣:阿佐美貴
振付:伊東征哉
演出助手:櫻井裕代
舞台監督:森貴裕(M.T.Lab)
照明オペレーター:山岡茉友子(K-Plan)
アクションサンプラー:角丸雄亮(DISCOLOR Company)
ヘアメイク進行:金輪美穂子/沼澤恵美/板垣果林
演出部:伊藤ほのか
アンダースタディ:坂本実紅
イメージソング「Confiance」 作曲 SHiN/作詞 恵蓮/歌 恵蓮
ヘアメイク協賛:Perfect Series
宣伝美術:リジュエ
宣伝写真:愛
配信・収録:彩高堂
WEBデザイン:リジュエ
現場制作:佐藤希(アンデム)/松島瑞江(アンデム)/渡辺沙和(アンデム)
アシスタントプロデューサー:佐野木雄太(Cuebicle)
プロデューサー:米田基(style office)/夏樹弘(De-LIGHT)
IP Management ExGroundswell Inc.
GameFi Developer InfinityForest Inc.
協力:イトーカンパニー/DH/OMG/ウィーズカンパニー/えりオフィス/オンリーユー/ジャストプロ/トキエンターアライヴ/SHA256ENTERTAINMENT
制作協力:ものづくり計
主催:舞台「レイザーマーガレット」製作委員会
※以下、漢字が大変なので登場人物たちの名前はカタカナで書きます←
※劇中の写真がたくさん掲載されてる記事 朝倉ふゆな&長友彩海(AKB48)W主演舞台『レイザーマーガレット~エピソード0~』開幕 | GirlsNews
物語
W主演の紅莉夢(グリム)、あやみん演じる李莉亜(リリア)とグリムの幼馴染・美波瑠(ミハル)の仲良し三人組が、マーガレット養成学校に進学してお芝居やダンスを極めていくというのが主軸で、「エピソード0」のこの舞台では養成学校の試験とその日々に突如襲来してくるヴァージュ(巨大化したヴァージュは”影”と呼ばれる)との闘いが描かれています。
本作の敵にあたるヴァージュは劇中では具体的な姿ではほとんど登場せず、冒頭のグリムとリリアの出会いのシーンではただ黒くて大きくて目がある化け物として描かれてます。
マーガレットというのは戦士の呼称。演技やダンスなどの技術を極めた者が脳内分泌物質を「パール」と呼ばれる物質に変えて、パールを練って(という言い方がされる)腕に装着したパレットという武器を用いて攻撃をくり出すことができるようになる。だから演劇やダンスなどパフォーマンスを極めれば極めるほど、優位に戦うことができるという仕組み。
レイラ
舞台になってる世界は関東のようで「神奈川」「東京」「埼玉」と地名が登場していましたが、各地にあるマーガレット養成学校(高等学校に近い位置づけと思われる)を終了して生活を脅かしているヴァージュに立ち向かう戦士のエースが、あやなん演じるレイラ。
レイラは養成学校時代の優等生という位置づけでもあり、優秀な戦士たちと「ごきげんよう」と挨拶をかわし、乗り込んだ現場を冷静に分析をしてヴァージュの実態や原因を調査している。かっこよすぎんだろ…似合うのよ…おれも守護神シヴァを召喚したい…(ブログ主はマーガレットなめんな
いろんな役のあやなんを見てきたけど、勇ましく戦う凛々しくて気品のあるあやなんも最高にかっこいいです。
リリア
オープニングの楽曲で踊ってるときに歌詞を口ずさんてるのが、ああAKBの子や…となりましたw リリアは10歳ころに記憶を失くして入院、孤児院に入るという壮絶な人生を歩んできているんだけど、ほんわかした性格だからあやみんにピッタリな役だし、へんに重くならなくていい感じだった。
このあとの考察に書きますが、リリア―あやみん―カムパネルラそしてグリムが一本の線でつながるんだと気づいた興奮で私の脳内でPAL2が大量分泌されて大変なことになりました。
すぐる
いくみんじゃないの久しぶり!!(誰。お元気そうで何より。アニメのキャラクター設定的に関西とか方言キャラが出てくるのって定番みたいですが、いい感じの三枚目キャラクターのテルツェットでとても心許す。しかもそんなおちゃらけた3人に限って劇中劇が「サロメ」なのでアホとシリアスのギャップがやばい。パワーを使う迫真の演技であのサロメは時間は短くてものめり込んでしまったな。
ラスカ
生意気な優等生なんだけど、いちいちかっこいい。劇中劇の夏の夜の夢の男役とか、気品があってすごくかっこいい。頼む俺を抱いてくれとなる。インターナショナルスクールでの経験から誇りが高くて、教官のことを「ミス北斗」と呼ぶのが大好き。姉妹の関係や過去が気になる。エピソード1以降で語られるのかな?
芝居の模擬試験、3作の古典演劇
模擬試験で3組のテルツェットそれぞれが異なる題目を演じるシーン。3作の古典演劇がシンクロしながら進行していく。オスカー・ワイルド「サロメ」、ウィリアム・シェイクスピア「夏の夜の夢」、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」。
劇中劇って本当に難しいもので、演者の演技力とか、制作側の演出とかどれか一つでも技量が足りてないとわけわからないことになってしまう(という実例を過去に観劇したことがある)。のですが、この劇中劇のシーンは3作が同時進行で代わる代わるシーンが小出しにされて出てきて、シーンのシンクロがセリフのシンクロになり、最後はグリム演じるジョバンニのセリフで終わる。
この劇中劇ほんとにすごいで。これだけの色の違う3作をシンクロさえていて混乱なく、かつ作品の雰囲気や魅力的に伝えようとしている。断片的なセリフではあるが、鑑賞者がオリジナルの文学作品・演劇作品に興味をもつには十分な仕掛け。本当にいいものを観させていただきました。観劇でこういう考察方面に興奮したのは久しぶりでした。
考察 レイザーマーガレットとグリムとリリアと『銀河鉄道の夜』
観劇後、銀河鉄道の夜を演じていたリリアのことを考えていてこの伏線に気づいたのが、布団の中だった。脳内でPAL2が大量分泌されて眠れなくなった(?)
最初から引っかかっていたのは、「サロメ、真夏の夜の夢とならんで銀河鉄道の夜?」という点。ワイルド、シェイクスピアと並べるなら他にいくらでも古典演劇の演目があるはずなのに、なぜここで宮沢賢治? 原作小説からはまだ100年も経っていない。有名な舞台脚本があるのかな?と気になってWikipediaみたところでは、舞台化も盛んにされてることはわかったけど特に有名な脚本があるというふうではなさそうだった。
そこでとりあえず青空文庫で『銀河鉄道の夜』を開き*1、ワード検索してみた。象徴的なシーンの抜粋にはなるが、セリフは結構忠実な再現になっていた。ちなみにミハルが演じていたのは姉弟のお姉ちゃんのほうで、海難事故ではぐれた弟ただしを探しているという設定(これ、タイタニック号の沈没事故をパロディしているの、時代を感じますよね。日本までニュースが伝わってきた大事故だったってことですよね。こういうの大好き)。
ミハルが天に召されそうになるのを不思議そうに止めようとするグリム、ずっと違う方向を向いたまま会話を続けるカムパネルラ。
『銀河鉄道の夜』の最後、カムパネルラは川に落ちたザネリを助けようとして命を落とす(と見られる終わり方に小説はなっている)。自らの命を犠牲にして友人を助けた…。瀕死のグリムを助けるためにヴァージュの剣に貫かれたリリアと同じではないかと。
グリム・リリア・ミハルのテルツェットは「銀河鉄道の夜」を演らなければいけなかった。「銀河鉄道の夜」じゃないといけなかったんだ。そして、カムパネルラの役はリリアじゃないといけなかったんだ…と。
この舞台レイザーマーガレット、マジだな。これエピソード0でしょ。これからこんな編まれた物語が続いていくなんて、おらワクワクすっぞ。大好きな「少女☆歌劇レヴュースタァライト」と相通じるものがあるけど、レイザーマーガレットは実在の作品で劇中劇をやってくれるのが面白い。
『銀河鉄道の夜』についてそう考えていると、いろいろと勘ぐりすぎな気はするのだけど、腑に落ちる点がいくつかある。
なんで冒頭のグリムとリリアの出会いのシーンが傘を指したどしゃ降りの日だったのか?も合点がいった。あのシーン、レインコートこそ着ていたけどリリアだけは傘を持っていなかった。銀河鉄道の夜のカムパネルラも、ジョバンニが出会った最初のシーンでは青ざめているし彼が座っていたシートも濡れていた。レインコートだけでずぶぬれになっているリリアに姿が重なるなーと。
しかもりんごを拾ってくれたことを、最期のその時にまでリリアは思い出してグリムにありがとうを伝える。りんごは大事なアイテムだったんだな。『銀河鉄道の夜』にもりんごはものとして何度か出てくるけど、比喩表現としてカムパネルラの頬が赤いという描写でも使われてるから、生命の象徴(りんごを拾ってくれた=リリアの命を助けてくれた)のように思えた。
グリムが死にそうになって眠いんだと倒れてしまう時、お母さんの幻聴きいてたな。あれもミハル演じる女の子がお母さんのもと(天)へ召されようとしている劇中劇の場面と重なる。それを「グリム、グリム」と起こして命に代えてでも守ってくれたのがリリア。
あとは(まだあんのか)、なぜリリアは10歳ころ以前の記憶を持たない設定なのか? が引っかかっている。でもそれを銀河鉄道の夜に求めようとするのは無理があるのもわかってる。でも一つ言うならば、「マーガレットを目指して頑張っていればもしかしたらご褒美で私のことがわかるかも?って思うんだ」っていうリリアの素直な姿勢って、カムパネルラにも相通じるものがある。決して順風満帆とはいえない現状にも屈せず健気に生きている姿が、カムパネルラとリリアで重なったのでした。
カムパネルラの年齢は作中では明かされていないけど10歳くらいの青年でもあり得ると思うんですよ。そうしたら、リリアってもしかしてカムパネルラの生まれ変わりなんじゃないのかとさえ思えた。もはや長友彩海がカムパネルラに見えてきた。これから先「銀河鉄道の夜』を読み返す時には私はリリアとグリムの姿をほぼ絶対に重ねることでしょう。(※このパラグラフはすべてブログ主の妄想です。感想ですらありません)
そしてここからW主演スーパー朝倉ふゆなタイムが始まる。
リリアの死にブチギレたグリムが覚醒する。怒りをパワーに替え、パールを練って攻撃を出すことすらせず、ひたすら滅多切りにしていく。ヴァージュが人間を恐れるほど。レイラも教官もびっくり。これからきっとグリムの過去や、マーガレットとして戦っていたのであろう彼女の母のことも明らかになっていくのでしょう。
リリアを失った悲しみの叫び、憤りの叫び。その迫力たるや、それまでほんわかしたいかにも主人公という感じの元気な女の子が、こうも強靭になる。敵を斬りさばいた後、最後にもう一度大声で叫び散らして会場全体が真っ暗に暗転する。
そして思い出す、劇中劇の最後を飾ったグリム演じるジョバンニのセリフ。
「僕もうあんな大きな闇の中だって怖くない。きっとみんなの幸福を探しに行く。どこまでもどこまでも。僕たち、一緒に進んでいこう」
こんなに早くもグリムが大きな闇に飲まれてしまうなんて、なんと悲しい事か。
でもリリアのお墓の前でグリムは、もう泣くのは最後にしよう。もう誰にもこんな思いさせたくない。強いマーガレットになる。とミハルと誓って終わる。十字架にかけられた白いマーガレット(花言葉は信頼)に誓って、この三人はこれからも一緒に戦っていくことでしょう。「天よりもっといい世界をこさえなきゃいけないって先生が言っていたよ」だものね。作っておくれそんな世界を。
レイザーマーガレットは今後アニメ化されるということなので、きっとアニメにおいても『銀河鉄道の夜』は重要伏線になるんじゃないかしらと思います。
そしてさらに「メタバース対応のNFTゲーム化」がされるということで情報量がすごい。メタバース空間はエピソード0のこの作品でも戦闘シミュレーションの練習場所として出てきましたけど、エピソード1以降もメタバース空間でうまいことリリア出てこないかなー…なー…なんて思ってます^^←
こうして舞台やアニメを通じて文学作品、古典演劇作品に興味を持たせようとするレイザーマーガレットのプロジェクト、しかもあやなんとかあやみんとか重要キャラに付かせていただいて…。推せますわ。
あー楽しみ。続編求むです。観劇後もこれだけ楽しませてくれるなんて本当に楽しい舞台でした。あやなん、あやみん、キャスト制作陣の皆様本当にありがとうございました。続編求むです!今後の展開楽しみにしています。
備忘録(パレットで攻撃出す時等の気になったセリフと出典)
気になったものをググって書き留めておくだけのメモです。パールを練りあげて攻撃する時のセリフはどれもシェイクスピアだったようですね。それだけ優れた作品ということなんでしょう。こうして切り取ってみてもどれも真理を付いた名言です。
- 「この世界は舞台だ。そして、男も女もみんなただの役者にすぎない。それぞれが登場してはつぎつぎと退場してゆく。そして、時代に適ったものはいくつもの役を演じるのだ」(ウィリアム・シェイクスピア『お気に召すまま』)
↑幕開けにふさわしいレイラのセリフ- 「僕もうあんな大きな闇の中だって怖くない。きっとみんなの幸福を探しに行く。どこまでもどこまでも。僕たち、一緒に進んでいこう」(劇中劇のグリムのセリフ、流れ的に『銀河鉄道の夜』)
- 「どうかこの貞淑なご婦人に健やかなる安眠を」(劇中劇のラスカのセリフ、流れ的に『夏の夜の夢』)
↑抱かれたい- 「でも人間は」「傲慢な人間は」「神の似姿であることも忘れ、狂った猿のように」「束の間の儚い権力を振りかざし」「「天に背を向けては天使たちを泣かせている」」(ウィリアム・シェイクスピア『尺には尺を』)
↑今となっては貴重なグリムとリリアの共闘。- 「臆病者は何度も死を経験するが、勇者は一度しか死を経験しない」(ウィリアム・シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』)
↑ラスカ様によく似合うセリフかっこいい抱いてくれ- 「運命とは最もふさわしい場所へとあなたの魂を運ぶ」(シェイクスピアの名言として有名なものと言われているが実際は出典不明らしいです)
↑リリアかっこいいねえ- 「今が最悪の状態と言える間は最悪の状態ではない」(シェイクスピア『リア王』)
- 「運命は星が決めるのではない。我々の思いが決めるのだ」(シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』)
- 「人は泣きながら生まれる。腐りきった世界に産み落とされたのが悲しいからだ」(シェイクスピア『リア王』)
- ↑ローレン、北斗、レイラの共闘
- 「新たな一日が始まった。この新しい世界が何をしてくれるか見てみよう」(ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』)
↑最初のセリフ順番に言っていくシーンでのレイラのセリフ。世界を擬人化するところがフランスっぽい- 「人は誰かの希望になり、時に絶望の原因にもなる」
↑最初と最後にリリアがいうセリフ。これは本作オリジナルかな?
希望と絶望が表裏一体。表裏であらわれるといえばヴァージュが巨大化してしまった影。なんかつながりがありそうな気がしてならないという感想。
最後に
アーカイブ配信も終了してしまいましたが、5月末までDVD予約を受け付けているそうですので観たい!という方はぜひ。パンフレットとブロマイド(48現役二人分はない(´・ω・`))もあります。*2