優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

映画「ガールズドライブ」の感想(ネタバレ含む)

錦糸町でのプレミア上映で観てきた映画「ガールズドライブ」、11月10日に全国公開となって映画館に通った11月。テーマソングの全力反抗期を聴くたびにスタッフロールが脳内再生されるくらいには楽しませていただきました。

それから時が経ちユーチューブのライブ配信にて発表があり、各動画視聴コンテンツから2024年1月19日から2ヶ月限定で作品配信されることとなりました。

公式の配信サイト紹介→ https://www.tc-ent.co.jp/sp/girls-drive/vod/

 

ガールズドライブの感想は昨年秋のプレミア上映の時のブログにも簡単に箇条書きをしましたがネタバレ厳禁を意識して上げたものだったので、今回この記事ではネタバレありで書きたいままの感想を書きたいと思います。

なのでこれから楽しみにしているネタバレ気にするという方は閲覧注意でお願いします。あと推しにする感想に著しい偏りがあったり、もしかしたら一部辛い感想が含まれることはご承知おきいただきたい。目次は以下の通り。

 

 

映画「ガールズドライブ」

出演者(役名):小栗有以(小春)、山内瑞葵(由佳)、倉野尾成美(れなぱ)、山﨑空(歩美)、久保姫菜乃(好恵)

出演:水野勝、大川航、近藤雄介若林拓也鈴木Q太郎ハイキングウォーキング)/西丸優子、吉田ウーロン太/小手伸也

監督:宮岡太郎

脚本:井上テテ

www.girls-drive.com

 

由佳

この映画作品において主人公・小春よりも行動力があり、ある意味では影の主人公みたいな役。ある意味、主人公よりも演技力が求められるポジション。「後悔するのはいつもそのあと。死んだ後とか、殺した後とか…」と、まるで来るべき未来を予知でもしているかのよう。映画の展開を知った上で見ると尚更。

 

最後の陸上部の予選で大失敗をして凹んでいる小春の代わりに物語を進めていくのが由佳。重要な局面では絶対にまず由佳が発言する。

小春はあまり思いを言わないから「そいつさ、殺しに行く?」ああしようこうしようと言って行動を誘うのが由佳。とにかく重要な存在。なにより、茫然自失のまま校舎の屋上にやってきた小春に声をかけて飛び降りを引き止めたのだから。

小春を東京に行こうと誘うだけでなく、東京に旅行にいくと車を運転してる歩美には「ついででしょ?」と声をかけ、れなぱがCOZI(コーズィ)に迫られてる時には「歩美ちゃんエンジンかけて」と逃げるアクションを次々に指示する。内緒の旅行についてそれぞれの親に当たり障りない嘘の連絡を入れさせたり、カラオケ行こうとか警察呼ぼうと誰かが言い出せば「補導されるでしょ」と一蹴。ませてるのだが小慣れてるのがかっこいい。真反対の(だけど一番似てる)理想で頭がいっぱいのれなぱに悪態つくのもわかる。

 

エアガン

いつもイライラしてる由佳は、殺意の象徴とも言えるエアガンを持ち歩いてるくらいなので「殺す」「死ぬ」など過激なことを平気で口にする。映画「続・荒野の用心棒」が大好きで、本物の銃を手に入れた時も安全装置の解除と銃弾転送を手際よくやってのける。*1

横須賀ヒロミが「悪い大人」の象徴のように、なんかイライラしてるJKたちにとっての復讐対象になっている。小春がどんな目にあったのかを知った彼女のお母さんだって「私だったら銃で撃ち殺してたかも」なんて発言をする。

最初は由佳が言い出してエアガンで笑いながら「殺しに行くかー!」と東京行きを画策するけど、途中で偶然の巡り合わせで拳銃を手にしてしまったことで「殺す」が実現できる状態になってしまう。

 

「死ね」とか「殺す」って決して他人に向けていい言葉ではないですけど、未成年が抱く"めちゃくちゃ強いけど整理がつかなくてよくわからない感情"を表現するのに手っ取り早い単語なんですよね。でもそれが言霊のように実現してしまうと、事件を起こして人生が滅茶苦茶になってしまうという"怜が見てしまった絶望の未来"に進むわけです。

 

銃の引き金を引く、たったこれだけのことで今まであった均衡が失われる。目の前のものが大破し、その対象が人間であれば体内の血液、肉、内臓の循環が破壊され、血が吹き出すことになる。この世界には戦争をはじめとする殺し合いは古今絶えないけど刃物とは違う。銃は「標的を殺すため」に人間が作り出した道具。でも「銃の引き金を引く」の先にある事実を18歳の少女たちが実際に知る必要はない。というか知ってはいけない。

撮影のオフショットで迂闊に銃口をこめかみに当ててる写真を見て「そんな危険なことやめなさい!」と思ってしまう自分ですが、少女たちには、さらに言えばこの世界の多くの人々にはどうか引き金のその先にあるものを知らないまま、見ないままで生きていってほしいと願うばかりだったりします。

 

2日目の夜の考察

時間やらなんやら制約のある映画制作に対して重箱の隅をつつくようなことはいくらでも言えてしまうのですが、紆余曲折を経て2日目の夜に「どうしてここで由佳は急に心のうちを吐き出したんだろう?」というのが、初回見た時からずっと引っかかってた。

4人が本物の拳銃を手に入れたことに心が動いたというのもあると思うけど、手に入れた拳銃を由佳が小春に試し撃ちさせたことも引っかかった。

このシーンは大事だけど随分急な展開だなと思ったから、それを気にかけながら繰り返し観てた。

 

作中2日目は由佳にとって最悪なことが続いてて、湘南の海でナンパ(ナンパではない)され、元彼と今の彼女のカップルに遭遇し、一緒に行動してきた友達と喧嘩し、ナンパ(ナンパではない)男たちに一人で連れ込まれてしまい…。そして助けに来てくれた友達と仲直りしたそんな夜に本物の拳銃が手に入った。

もしこれが今までの由佳だったらとてもイライラした状態だったはず(エアガンのトリガーを何度弾いていたかわからないくらい)。そして「詳しいから」と本物の銃を譲らなかったのではないか?「荒野の用心棒」で観て幾度となく憧れた本物の銃器が手元にあるんだから。それなのに「横須賀ヒロミを殺すのは小春だから」と試し撃ちを促す。

それはなぜだろうか? 制作の都合でそうせざるを得なかったとしても、この作品だから何かしらの理由があるはずだと考えてみた。そういう性分なもので。

 

ここでふと「舞台マジムリ学園 LOUDNESS」のイーリスを思い出す。ドラマ版で描かれた彼女の大元はどこにでもいる女子高生あやめ。人を見下すヤンキーをして強がっていながら喧嘩が下手で、決定打以外手は出せなかった。

あー。そうか。「マシンガンでズバババババと人を撃ち殺す」のに憧れた由佳も、映画で見た銃器が手元にある事実が怖かったのかもしれない。それで「横須賀ヒロミを殺すのは小春だし」と口実をつけて、自分では試し撃ちをしたくなかったのかもしれない。そしてそれが本物の銃だとわかって本当に怖気付いてしまったんだろうなと。どれだけ場慣れしてたおませさんだとしても、まだ未成年の高校生だもの。

 

 

ガールズドライブにおける銃って「発露」の道具なのかもしれないと思った。

今まで由佳はエアガンを構えて強がってたわけだが、本物の銃弾が発射された瞬間に(多分恐怖からだけど)後輩に彼氏を取られて失恋したことが本当にショックだったこと、本当に好きだったこと、大人たちは呆れるけど「私にとっては人生のすべて」だと告白する。

あーなんて。なんていいの。監督、本当は由佳主人公にしたかったんじゃないかというくらい良いところを由佳に盛るのなんなんですか。もしかして私と同担ですか。

その試し撃ちの実弾で由佳が告白したように、れなぱも、歩美も、そしてついに小春もここで本心を語る。どこぞのDJへのお悩み相談ではなく、2日間を共に乗り越えてきた友達に対して。答えを求めるわけでもなく発露する。

そして銃だと信じて疑わずに夢中で握ったスターターピストルを、憎き横須賀ヒロミに向けて引き金を引く。大騒ぎになる。大人の言葉にどれだけ傷ついたかを見せつけるための少女たちの発露。

 

「少し不思議」と歩美の未来

歩美によれば藤子・F・不二雄先生曰く、SFは"少し不思議"の略なの」とのこと。(個人的に私も不思議な経験を重大な局面でしたことはあるし、こういうこともあるんだろうなと言う出来事はどちらかといえば信じるタイプです)

 

誰かが止めなければ本当に「横須賀ヒロミを殺」してしまう展開。そこで分岐の重要なポジションを担ったのが、ずっと寡黙だった"歩美が生きた未来"だった。

 

エンドクレジットの後に待っていた展開に、この監督さんは映画が大好きなんだなと思いました。重箱の隅を突っつくなら「青春もののアイドル映画に突然のSF(サイエンスフィクション)はチートだろ!」ってなるんだけど、未来から絶望的史実を変えに来ましたっていうバック・トゥ・ザ・フューチャーの逆視点版みたいな展開、なんだろうなぜか全然憎めないのよw

それがSF好きの歩美の延長線上にあるストーリーだったからなのか、エンドクレジットの後に追加された部分(本編ではない)だからなのか、はたまた「監督どんなけ映画好きやねん」って思わずニッコリしてしまうからなのか…。(だって想像だけど、完全教本でそららが持ってる『3001年終局への旅』のハヤカワ文庫、これ絶対監督か誰かの私物じゃないの?w )

 

未来からやってきた歩美の娘・怜が、銃をスターターピストルに変えるというのがいい。「これで小春さんは新たなスタートを切れるわ」という怜のセリフもいいし、何より小春が陸上を頑張ってきた少女だという設定が十二分に生きてて腑に落ちる。意味のないことが一つもない。

NNKファンの小春が陸上部だったこと、大失恋したおませの由佳が屋上にいたこと、れなぱがCOZIに引っかかったこと、歩美がドッペルゲンガーを信じて東京に向けて車を出したことすべてがこの映画になくてはならない設定になっている。横須賀ヒロミの嫌らしさもCOZIさえもが伏線。役に立つ。最高。ありがとう監督(語彙力低下)。

 

いいなあ。いい作品に出させていただいたよ推しは……って何度思ったか。

 

急な謝辞

個人的な思い出になりますが私がアイドルヲタクになったのはモーニング娘。の全盛期の頃で、アイドル映画といえば「ピンチランナー」という偶然にも同じ陸上部員(長距離リレー)の青春ドラマだったわけですが、台本やら演技やら映像やらいろいろと当時の最善ではあったのでしょうが(やるべしだよね!?やるベーし!)、また観たいなという美しい作品だったか?というと私はそうは感じられなかったのですね。

本作でも先にも書いた第一印象のとおり、2日目の夜に急展開を迎えて翌3日目の東京タワー麓でのラジオの公開生放送に向けて彼女たちの気持ちと物語が一気に進むので、ちと無理やりっぽいなと感じたのも事実なんですが、それ折り込み済みでも「いいなあ」ってなるんですよね。映像がいいからかもしれないし、演者がいいからかもしれないし、推しがいるからかもしれないんですが。もし同じ条件下だったとしてもピンランではこうはならなかったと思います

だから、自分が好きな推しが映画という素晴らしい映像作品に収められて、後世に引き継がれて何度でも視聴できるようになったことを本当に嬉しく思うのです。予定だけ出て実現しなかった作品がいくつあったでしょうか。「この時この瞬間の彼女」がこのフィルムに収められているということが尊いのです。ありがとうございます。あとセーラー服本当にありがとうございます(お巡りさんこの人です

 

 

気になったオフショットその1

ガールズドライブ公式Xの投稿より


このお写真、パンフレットには見開きで載ってるので相当気に入られた一枚だなと。映画パンフレットは本編スクショよりもオフショットの掲載が多いので、メイク中だったりリハ中だったりなのかなというものが多数。この瑞葵ちゃんの一枚も本編中じゃなくてオフだね。傘をさすシーンは一瞬もなかったし。

おそらく湘南の海岸で元カレにあって取り乱して、3人と喧嘩するシーンでしょう(港で銃試し撃ちするシーンかな?とも思ったがこんな開けたところじゃなかった気がする)。本番撮影前のチェックみたいな時のオフショットなのかな、と思うのですが涙目になってて迫真の演技が伝わってくるのが怖い。本番まだやで。ここでいろんなことの確認した後本番を迎えたとすれば、ちょっとずつ演技が微修正されていくのがわかって面白いですね。そりゃ中綴じ冊子のパンフレットに見開きで載せたくもなりますよ。美しいですもの。

 

 

気になったオフショットその2

エンドクレジットでは我らが「全力反抗期」をBGMに、撮影中のオフショット写真が流れていくんですが、田んぼでの撮影シーンの合間か

「捕まえました」と小さいカエルを摘んで笑ってるそららいとしすぎんか

優勝。このエピソード優勝。パンフレットを上映前に読んでたので「これか!w w w」となって微笑ましさが空を通り抜けて成層圏に辿りつきました。というかパンフにも写真が載ってました。よーく見ると指先にきれいな緑の生き物いるなってくらいの小ささなので逆によく見つけたなと。

大自然の中で虫捕まえるAKB、たかみなぶりに見たかもしれん*2

 

この写真は公開されてるオフショットの中に見つけられなかったので、気になる方はぜひ本編見ていただいてエンドクレジットをお楽しみください。

 

 

視聴するための課金を渋ってる皆さんへ

というわけで2ヶ月限定?らしいですが、まだだという方、またかわいいセーラー服の推しに会いたいという方。ぜひ配信観ましょう。おすすめ。配信されているサイトによって追加課金で見ないといけないところだったりあるみたいなんですが、

冷静に考えてほしい。私たちガールズドライブを見に映画館に行った時、1回の上映でチケット1800円くらいで買いましたよね?ついでにポストカード付のポップコーン(1600円)とか買いませんでしたか?

それが2500円課金するだけで2ヶ月見放題ですよ??由佳の財布の所持金だけでも観れちゃうよ?止めたり戻したりして好きに観られるんだよめっちゃお得じゃない?スカイツリー見たら驚いて死ぬんじゃないの??(最後は言いたいだけ

 

「ガールズドライブ」配信紹介サイト(各リンク備考)

公式→ https://www.tc-ent.co.jp/sp/girls-drive/vod/

上記URLのリンクのメモ書きが以下。レンタルの場合は日数はサービスによって違うけど、金額は大体880円。

 

 

いろんなところへの舞台挨拶お疲れ様でした(´ω`)

 

*1:完全教本の情報ですが、実は最後まで取得できず悔しかったと語っているのが瑞葵ちゃんらしくていいな好き(´ω`)となりました。

*2:たしか夕陽のMVメイキングでバッタ捕まえてた