あやなんがヒロイン出演の舞台です。初日公演はコロナ関係の影響で中止になって幕開けが一日遅れてしまいましたが、7月24日までのやや長めの上演期間が無事に終わりました。
今年4-5月に出演された「レイザーマーガレット」とはまた別の戦隊ものですが、戦隊…もの…なんですが………(?)
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平田マコト/松本幸大(ジャニーズJr.)
清川ヒカリ/篠崎彩奈(AKB48)
星野ユウマ/柏木佑介
朋江ソウスケ/冨岡健翔(ジャニーズJr.)
天童ミヤビ/和合真一
薄井ケイタロウ/原嶋元久
愛染ランコ/武藤晃子
放嬢ミキ/あわつまい
防人ゲンジ/谷口賢志
脚本・演出:きだつよし
舞台監督:杣谷昌洋
美術:泉真
テーマ音楽:佐藤太(BQMAP)
照明:田中徹(テイク・ワン)
音響:吉田綾香
小道具:林屋陽二
演出助手:若林佑真 (PxxceMaker’)/山﨑絵里佳
衣裳:小泉美都
特殊衣裳製作:名村多美子
衣裳進行:庭山美保(LIVEDOG)
ヘアメイク:美ヶ原美々
スチール撮影&デザイン:圓岡淳(Atelier caprice orchestra)
スタンドイン:加島三起也
制作:MIMOZA協力(敬省略・50音順):Atelier caprice orchestra/ウイントアーツ/SOS Entertainments/OMG/シザーブリッツ/G-STAR.PRO/ジャニーズ事務所/スタジオオーデュボン/テイク・ワン/bamboo/PxxceMaker’/MIMOZA
主催・企画・製作:「正義ノ噓人」製作委員会
livedog.net
拗らせてる
何と言いましょうか、いい意味ですべての登場人物のキャラが拗れてるといいますが、誤解を恐れずに申し上げると癖が強すぎてひどいです(ものすごく褒めてます)。
おそらくまず、監督さんや製作陣の皆さんが拗らせているんでしょうね。オープニングの演者紹介の演出、映し出される映像と文字のフォントがそれを物語っていたように思います。昭和レトロ、戦隊モノ、特撮作品への並々たる熱い想いをお持ちの方なのでしょう(自分もサンダーバードは今でも好きだしジェットマンとジュウレンジャーで育った民なので戦隊シリーズは大変好きです)。
演者もそうなのですが、なんと言いますか、褒め言葉であえて申し上げますと、「大の大人が拗らせてる」状況です。
ストーリーと主人公
地球防衛組織SMAT(スマート)というカオスの中で(?)なんの取り柄もないことをコンプレックスにしている主人公・マコト君が、まるで鑑賞者に寄り添ってくれているようで。
怪獣退治をして地球を守るSMATですが、肝心の撃退の段階になるとギンマンと呼ばれる「正義の巨人」が颯爽と現れて怪物をやっつけてしまう。そのギンマンが実はSMAT内の人間なのではないかと噂が広まった頃、マコト君はひょんな偶然と勘違いから、思いを寄せているヒカリちゃん(あやなん演)にかくかくしかじか「自分がギンマンだ」と大きな嘘をついてしまい、本当は違うんだということを言えなくなってしまいます。
そこを仲のいい仲間(後輩だったかな)で軽ーいノリのソウスケ君にああこうとアドバイスされながら物語が進んでいく。ソウスケ君は頭もキレるし戦闘もできて、場面転換の間で挟む短いシーン(通り過ぎて何かするだけとかセリフのないシーン)でも何か意味ありげなことをしていくのが、チャらい感じとのギャップがあってかっこよかったです。まさかあんな展開が待っているとは、この時の客席の私は思いもしなかったのですけど…。
他の仲間たちとも嘘と勘違いと騙し合いと性癖とが混ざりに混ざってまさにカオスになり、笑いとシリアスが巧妙に混ざり合い、キャラクターたちの本心が次々明るみになっていく中でも、マコト君は変わることなく大好きなヒカリちゃんを守ろうと「正義のための嘘」を掲げ続けている。それがタイトルになっている「正義ノ嘘人(きょじん)」。
マコト君を演じる松本さん、いいですね。美味しいコーヒーを淹れるしか得意技がないかもしれないけど、終始素直で真っ直ぐな姿や、ヒカリに向ける優しい表情。物語が進んで戦うべき相手が明確になるにつれてどんどん逞しく、かっこよくなっていく。弱気なところも持ちつつ、でもユウマのような"嘘人"にはなれなくて、大切な人の前では素直で頼もしくあろうとする。彼の演技の魅力なんでしょうね。素敵でした。
ヒカリたん
ヒカリは戦士として戦うというよりは、センターから無線を飛ばして指令を出したりデータ分析をしたりとサポート周りの優秀なエンジニアという感じ。広報担当のミキちゃんもいるのですが、登場する男性たちを次々魅了してしまう「紅一点」的なヒロイン役があやなん演じるヒカリです。
出演シーンが結構多くて、割と出突っ張りな作品だったんじゃないかしら。セリフも多いし難しい説明もある。SHOWROOMイベント期間中の長めの上演期間、本当によくやったと思う。
ギンマンの大ファンということで、普段のあやなんでは見ないような「ヲタク的興奮」を見せるシーンも多々あり、おそらく頭が良すぎて想像力(妄想力)がぶっ飛んでいる故、さらに周りの男子たちを振りまわしてしまったり、彼らが「嘘」を嘘だと明かせなくなったりとあるんですが。でもやっぱり最後までの展開を見ると、マコト君と同じように誠実な子なんだろうなと感じました。
マコトが「ギンマン」とわかった時(嘘ついた時)のあの大興奮は、我々アイドルヲタクの平時の反応・発言を演技の参考にした可能性が極めて高いだろうな(笑)と思えば、きちんと仲間を思う優しい一面もあり、物忘れがひどい一面もあり…。表情もコロコロ変わって、愛嬌のある良きヒロイン役でした。
SMATの癖が強すぎる仲間たち
そして女性の役としてあえて上で触れませんでしたが、ランコさんがね(笑)凄まじいです。セクシーな上官なんですけどやっぱり色々拗らせていて、マコトに女として見てほしいと望んでるはずなのにもはや女を捨てて暴れ狂うところに、彼女の俳優魂を感じました。
そりゃ通りすがりのソウスケ君も、セットの隅でひっくり返って目くりあがった彼女のスカート、直してあげちゃいますわ。全てが全力なんです。あやなんもランコさんの演技から刺激を受けただろうなあ。(いつかあやなんがベテラン俳優になったらあんなぶっ飛びまくりの役をもらうこともある…んだろうな…(?))
和合さんの拗らせすぎな紳士のキャラクターは、今現在ブログ主がハマりにハマっているシミュレーションRPG「ファイアーエムブレム風花雪月」のローレンツ・ヘルマン・グロスタールにそっっっっくりなので、実写版ローレンツと思いながら見ていましたが、カーテンコールの一言コメントの振る舞いとかキャッチフレーズの感じとか見ても、ああこの人は多分ローレンツだと思いました(?)
そしておそらくなんですが、この舞台のカンパニーは癖の強い人じゃないと生きていけないと思いました(?)
ヒカリたんファンの観客として、ケイタロウ君に触れないわけにはいかないでしょう…。終始おとなしいブレインと言う印象だった彼が疑惑をかけられ、その流れからヒカリにある「収集癖」を告白するあの衝撃的シーンですね。
この舞台全編を通じて、なんといいますか、あんなに己を爆発させた演技は他になかったです。それまでのシーンでステージに出てくることが少なかったから、ここだ!!!と言わんばかりの暴れっぷりでした。
袖にはけていった後にソウスケ君が「あいつ体力おばけだな」みたいなことを呟いてた(アドリブかな?)くらい、凄まじかったです。事情はよくわかったから落ち着けって肩を叩きたくなるほどひどい(褒めてる)性癖でした。好きです。
令和のウルトラマン的コメディのような何か
「大の大人が拗らせてる」と先に申し上げましたが、それが終盤クライマックス。実は部隊のキャップが悪者に幽閉されすり替えられていたことが明かされ、マコトの前でキャップ役の谷口さんがババっと早着替え(マントだけ早くなかった)して悪者の姿を表すシーン。
コーヒーの件は伏線が急にねじ込まれていたのですぐピンときましたけど、その決戦の場面に行き着くまでの展開がいろいろとあれ(日本語喪失)でして、決戦の場面に行き着いてからもいろいろとあれで、とにかくあれで、ソウスケが全身銀色のギンマンになって登場して「お前だったんかーい!」となってもなんというか、ストーリー展開よりもビジュアルの変化に対する驚きの方が凄まじくてただただ笑うしかない。本気のコメディなので茶番という言葉はふさわしくないのでしょうけどあえて茶番と呼ばせてほしい。本気の度合いがひどいです(褒め言葉)。おなかの底から笑えます。
無事に悪者を水鉄砲(コーヒー鉄砲か)で倒した後のSMAT本部。舞台の終わり方も、アニメみたいに情けなくて笑えるオチ。ギンマンは今日もどこかで、誰かの体を借りて潜んでいる…のかもしれない。
昭和のヒーローに憧れて育った令和の大人たちが盛大に拗らせた結果、爆誕してしまった舞台だと思いました。
あやなんきっかけで観劇する舞台はいつも楽しいな。大変おもしろい作品をありがとうございました!