優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

舞台「いわかける! -Sport Climbing Girls-」【20220217 14:00-&20220220 12:00-@サンシャイン劇場】

瑞葵ちゃん、コロナ療養復帰から1週間もしないで「いわかける!」初日の幕開けてから千穐楽まで完登しました。本当にすごい方です。

 

初日&村山さんゲストということで初演と、千穐楽日の昼公演を観てきました。感想は2公演ごちゃ混ぜで、ネタバレ・辛い感想等を含みますのでご注意願います。

 

出演:山内瑞葵/浅井七海/大盛真歩/久保怜音/千葉恵里/武藤小鱗/佐藤美波/福岡聖菜/長友彩海/鈴木くるみ/稲垣香織/山邊歩夢/吉橋柚花/茂木忍/小林蘭

日替わりゲスト:
 村山彩希(2/17昼)/加藤玲奈(2/20昼)

幕前ショー&前座&前説メンバー:
 山根涼羽&下口ひなな(2/17昼)/道枝咲&安田叶(2/20昼)

脚本:松多壱岱

演出:私オム

原作:石坂リューダイ

iwakakeru-stage.com

ライブパート
1.大騒ぎ天国(2/17昼)/1.チーム坂(2/20昼)
2.希望的リフレイン
3.ひこうき雲


(2/20昼)加藤玲奈卒業セレモニー
1.桜の花びら

 

出演者たちの感想

部活に駆ける青春作品は数多ありますが、流行ってるとは聞いてるもののボルダリング、クライミングは未知の世界。初めて見聞きするものばかりでとても新鮮でした。聞いたことのない用語、大会やルールを出演者たちが説明してくれる場面が多くありました。

 

そういう意味で言うと、部長である幸与(まほぴょん)はへなちょこには務まらない役だと思いましたし、大盛さんはそれを全うしていたと思います。キャラクター的にも先輩で年長の落ち着いた存在ということで、一言一言丁寧に説明してくれる場面があり、きちんと物語の世界を知ることができました。大盛さん自身がアニメ好きということもあると思うのですが演技自体がアニメの世界、キャラクターにしっかり寄っていて頑張っているなーと思いました。

 

私は平気で辛いことを書いてしまうのですが、期待を込めて申し上げると、そういう点では隼ちゃん演じる浅井さんはもう一歩という感じがしました。舌がまわりきらずというか早口というかで、説明がよく聞こえない場面があったからです。ただ彼女の生真面目な性格が隼とマッチしていたし、好ちゃんと対になる役としてはなーみんしかいなかったでしょう。浅井さんをよく知らないけれど外でも村でも舞台経験はあまりないのかな…? これから呼ばれる機会は増えるだろうから楽しみにしています。

 

野々華ちゃんはいかにも怜音って感じがしてしまって、ああこの人卒業しちゃうんだよなーっていう切なさが強かった。彼女は何かに秀でているということのは正直私は感じないのだけど、何かの技能が秀でているから素晴らしいというわけではないのがアイドルの世界で、そういう意味で言うと怜音はまだAKBにいてほしかった。「AKBは19歳から」だと思っているので、これから何かが始まるはずだったのに、と上演中そんな思いがずっとありました。あと応援団になって学ランきてるのかわいかったし、ゲストパートのアドリブも笑わせていただきました。ありがとうございました。

 

アニメ好きということで言うと、この舞台で今までで一番輝いて見えたのは佐藤美波さんでした。私が劇場公演で見てきたさとみなちゃんはいつもどこか小さくて(小さいんだけど)控えめで自信なさげに見えていたんですが、彼女が大好きなアニメ原作の舞台に出演ということで、「下っ端データクライマー」の異名をもつ丸乃はぴったりでした。あんなにイキイキとしてるさとみなは初めて観たといっても過言ではなかった。アニメ作品やアニメキャラクターへの敬意を感じた。Twitterや言葉選びにあふれ出てしまってるヲタクっぽさというか、もっとそのキャラ出していいと思うんだけどなー。彼女もこれから楽しみな子の一人だったりします。

 

あと茂木(笑) 十三さんなるおじさん役って聞いて笑ってた頃が信じられないくらい、ただのイケおじなのよ。開口一番「筋肉は裏切らない(ドヤッ」でも笑いどころか恍惚としてしまうかっこよさがあるのよ。筋肉って確かにいつも自分と共にあるよなー筋トレやるか―と思いました(思っただけ)。スーツ姿もまたかっこよくてね。ただのイケおじなのよ(二回目)。これは娘の菊ちゃんも「結婚する?」って聞いちゃうわ。

菊ちゃん役の小林蘭ちゃんは、はーたんの代打が急遽決まったのですがかなりハマり役。ほわっとしていながら芯のある菊ちゃんにぴったり。けど同時に、はーたんの演技で見てみたいキャラクターでもあったなと。今はゆっくり療養してほしいけどね。

 

ゲストの彩希ちゃんも、ゲストにしては結構しっかりセリフのある役だったけど、魔法使いキャラをいじるなどして好ちゃんの脚をなでなでしていました(※シューズショップの店員さんの役です)。初日公演だったのでまだ客も演者も2.5次元特有の雰囲気に慣れ切ってない感じがあったんだけど(どこでどうリアクションしたらいいかとか)、その雰囲気を変態キャラでぶちこわしてずっきーの小ネタを混ぜて笑いを起こした彩希ちゃんは、さすがすごいなぁ。若いメンバーや初舞台というメンバーも多い中だったのであれはナイスアシストだったんじゃないかと思います。

最終日のゲストはれなっちで、このご時世なので卒業セレモニーも兼ねてのゲスト出演。れなっちと演技ってイメージが繋がらなかったのですが立派なものでした。なんというか、大人になったなあ…。

 

アニメの舞台化って難しいよなと思った話

アニメ特有の空気というか、間というかが48のヲタクには微妙に慣れないところがあったなーとは終始。初日は特に初めて見るものだったからなおさらそうだったけど、メンバーたちはみんな自信をもって頑張っているから応援したくなるし、まだあまり馴染みのなかったボルダリング×2.5次元舞台というテーマ自体がかなりハードル高めだったとは思うんだけど、舞台演出なんかもできる限りアニメの世界を生かそうと尽力していたと思います。

ボルダリング自体は、本物の岩ではなく横に置かれたポールや足場を握って登っていく感じなんですが、映像のマッピングでキャラ達がどう足場をみているのか、それこそ「パズル」みたいにわかりやすく表現されていました。初日は2列目だったので見えづらかったんですが、最終日に後方の席でみたときにその表現の有難さをより感じました。大会会場のパネル画面よろしく、クライマーの名前や学校名が表示されていたんです。登場人物が多い舞台なので助かりました。それにクライムする表現自体、演者が足をかけるごとにミシミシとリアルな音がぴたりと鳴っていて、本当にボルダリングのカラフルな岩場を専用シューズで上っているように感じました。あれは演技ごとにタイミングとかあると思うんですが、演出と演者とみんなの努力によるものと思いました。

 

最終日を迎えるころにはなんだかんだで主題歌の「もっと高く」by鈴木愛奈さんをヘビロテするくらいにははまったし、歌詞をくちずさみながら踊ってる好ちゃんとかね。ああ、幕開けられてよかったね本当に座長…頭が上がらない。美音もツイートしていたけど、ずっきーあなたは偉い! あと書くタイミング見失ったのでここに書いておくと、ライブパートに「チーム坂」もってきたのは偉い…!部活がんばってる若者の曲だしいわかけるにもマッチしてるし、センターはなみずきだし素晴らしい。

 

好ちゃんこと山内瑞葵さん

本当に大変だったと思うんですよ。「六番目の小夜子」に出ていた1月の時点でお稽古が同時進行してると言っていて、さらにそこにコンサートがいくつも…。そこに新型コロナウイルス陽性という、治るものも治らなくなっちゃいそうな忙しさの中で、本当に無理だけはしないでほしかったから2月頭のコンサート中止と併せていわかけるの舞台も延期や最悪中止でもいいんだよ…と思っていました。

でも座長が不在の間にもメンバーたちは稽古を進めていて、この人たちマジなんだなって熱意を覚えました。みんなが瑞葵ちゃんの復帰を待ってる、だから瑞葵ちゃんも奮い立ったと思うんですよね。本当に本当に不安でなにもできずに辛かったはずなんですけど、初日の幕が上がった瑞葵ちゃんはそんなこと微塵も感じさせないくらい完璧なパフォーマー、笠原好になっていました。

 

おとなしくて自信がないんだけど実力はすごいものを持っていて、パズルゲームの強者になった能力でボルダリングを始めるという。才能あって本気を出すとすごいんだけどほわっとしているThe主人公な好ちゃんと、対照的に秀才で頑固者な一匹狼の隼ちゃん。いいツインだったなー。そことなく百合っぽさを感じてしまうのもアニメ特有の何かなのかな。平素よりなみずきを見ていて思っていた「重さ」を役の中の関係にも見た気がしました*1

好ちゃんの好きなシーンは、「私の弟子になったのだぞ!?弟子が師匠の大会を見に来るのは当然なのだぞ!?」みたいに恥ずかしそうに半ば混乱しながら(笑)菊ちゃんを説得しようとしてるシーン。あれ一歩間違えたら演者の瑞葵ちゃんも混乱しちゃって収集付かなくなりそうだなと思ったのですが、そこはさすがの実力。しっかり笑える場面になってました。瑞葵ちゃんはすごいなぁ。

ボルダリングの壁を前にしてルートを読み解くのに集中してブツブツいってる好ちゃんもかっこよくて。頭脳と体力と両方が特に必要なスポーツなのだと思います。普段ほわっとしているんだけど、ステージ上がると飛んでもないパフォーマンスを発揮してしまう山内瑞葵さんとかぶる部分ありますね。握手やお話会でも、結構ブツブツ何か言ってることあったなーって()。そんなところと実力のギャップが可愛かったりするんですけどね。

初めての主演舞台、それもコロナ療養明けの限られまくった時間の中で幕を開けた舞台。それは瑞葵ちゃんのこれまでの経験や考え、実力があってこそ成し得たもので、普通だったら延期とかなんらかの対応が必要だったと思います。過密スケジュールを組んだ運営が彼女の実力に頼り切っているような気がしないでもなくて、若干もどかしいというのも正直なところですが…。そんな本人は忙しいほうが性分に合っているみたいだから、俺は何も言えん。そういうところが瑞葵ちゃんのプロ意識の、かっこいいところなんだがな。だがしかし無理はするな―!(´Д`)

全公演の完登、本当に本当にお疲れ様でした。次にまた瑞葵ちゃんやみんなの演技を観る機会を楽しみにしています。楽しい作品をありがとうございました!

 

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*1:個人的な見解ですが、なみずきはゆうなぁの次に"心配"している関係のペアなんですわ。依存という意味でね