優しかった気持ち

人がつくったものが好きです。AKB48劇場公演。

舞台「レイザーマーガレット 〜エピソード0〜」【20220429 14:00- & 20220501 16:00-@シアターグリーンBIG TREE THEATER】

すばらしすぎてチケットを買い増して、2公演観てきました。

公式からキャスト・スタッフの情報を引用させていただくんですが↓、かなり多いですね。来年春にアニメ化する方向に動いているらしく、とても力の入ったプロジェクトであることが伺えます。

 

本ブログの感想は、物語のネタバレ等を盛大に含みますので気にする方は要注意でお願いいたします。

 

キャスト:朝倉ふゆな(七瀬紅莉夢)/長友彩海(芥森李莉亜)/篠崎彩奈(汐魅レイラ)/高橋紗妃(乙河美波瑠)/小池唯(剣條羅寿香)/鵜川もえか(芦乃·ローレン·麻衣)/櫂堂すぐる(中野郁海)/蜜月りあ(漆原つばき)/末永みゆ(香里園萌菜)/絃ユリナ (宮永凛玲)/白田まめ(和泉雛美)/楠 世蓮(北斗みなみ) 

レイザーアクターズ:花沢詩織/槙原唯/河村茜/真心/鎌田優花

原案:0-samu
脚本:入江おろぱ
演出:扇田賢(Bobjack Theater)
美術:照井旅詩
照明:郡大輔(K-Plan)
音響:金子翔一(DISCOLOR Company)
楽曲編集協力:hoto-D
衣装デザイン:ウルツ
衣裳:細井奈津美/衣裳師 RUMINE
ヘアメイク:松前詠美子
パレットデザイン:赤魂
造形(パレット):早瀬昭二(マッシュトラント)/吉村健一(マッシュトラント)
殺陣:阿佐美貴
振付:伊東征哉
演出助手:櫻井裕代
舞台監督:森貴裕(M.T.Lab)
照明オペレーター:山岡茉友子(K-Plan)
アクションサンプラー:角丸雄亮(DISCOLOR Company)
ヘアメイク進行:金輪美穂子/沼澤恵美/板垣果林
演出部:伊藤ほのか
アンダースタディ:坂本実紅
イメージソング「Confiance」 作曲 SHiN/作詞 恵蓮/歌 恵蓮
ヘアメイク協賛:Perfect Series
宣伝美術:リジュエ
宣伝写真:愛
配信・収録:彩高堂
WEBデザイン:リジュエ
現場制作:佐藤希(アンデム)/松島瑞江(アンデム)/渡辺沙和(アンデム)
アシスタントプロデューサー:佐野木雄太(Cuebicle)
プロデューサー:米田基(style office)/夏樹弘(De-LIGHT)
IP Management  ExGroundswell Inc.
GameFi Developer  InfinityForest Inc.  
協力:イトーカンパニー/DH/OMG/ウィーズカンパニー/えりオフィス/オンリーユー/ジャストプロ/トキエンターアライヴ/SHA256ENTERTAINMENT
制作協力:ものづくり計
主催:舞台「レイザーマーガレット」製作委員会

raisermarguerite.com

※以下、漢字が大変なので登場人物たちの名前はカタカナで書きます←

※劇中の写真がたくさん掲載されてる記事  朝倉ふゆな&長友彩海(AKB48)W主演舞台『レイザーマーガレット~エピソード0~』開幕 | GirlsNews

 

物語

W主演の紅莉夢(グリム)、あやみん演じる李莉亜(リリア)とグリムの幼馴染・美波瑠(ミハル)の仲良し三人組が、マーガレット養成学校に進学してお芝居やダンスを極めていくというのが主軸で、「エピソード0」のこの舞台では養成学校の試験とその日々に突如襲来してくるヴァージュ(巨大化したヴァージュは”影”と呼ばれる)との闘いが描かれています。

本作の敵にあたるヴァージュは劇中では具体的な姿ではほとんど登場せず、冒頭のグリムとリリアの出会いのシーンではただ黒くて大きくて目がある化け物として描かれてます。

マーガレットというのは戦士の呼称。演技やダンスなどの技術を極めた者が脳内分泌物質を「パール」と呼ばれる物質に変えて、パールを練って(という言い方がされる)腕に装着したパレットという武器を用いて攻撃をくり出すことができるようになる。だから演劇やダンスなどパフォーマンスを極めれば極めるほど、優位に戦うことができるという仕組み。

 

レイラ

舞台になってる世界は関東のようで「神奈川」「東京」「埼玉」と地名が登場していましたが、各地にあるマーガレット養成学校(高等学校に近い位置づけと思われる)を終了して生活を脅かしているヴァージュに立ち向かう戦士のエースが、あやなん演じるレイラ。

レイラは養成学校時代の優等生という位置づけでもあり、優秀な戦士たちと「ごきげんよう」と挨拶をかわし、乗り込んだ現場を冷静に分析をしてヴァージュの実態や原因を調査している。かっこよすぎんだろ…似合うのよ…おれも守護神シヴァを召喚したい…(ブログ主はマーガレットなめんな

いろんな役のあやなんを見てきたけど、勇ましく戦う凛々しくて気品のあるあやなんも最高にかっこいいです。

 

リリア

オープニングの楽曲で踊ってるときに歌詞を口ずさんてるのが、ああAKBの子や…となりましたw リリアは10歳ころに記憶を失くして入院、孤児院に入るという壮絶な人生を歩んできているんだけど、ほんわかした性格だからあやみんにピッタリな役だし、へんに重くならなくていい感じだった。

このあとの考察に書きますが、リリア―あやみん―カムパネルラそしてグリムが一本の線でつながるんだと気づいた興奮で私の脳内でPAL2が大量分泌されて大変なことになりました。

 

すぐる

いくみんじゃないの久しぶり!!(誰。お元気そうで何より。アニメのキャラクター設定的に関西とか方言キャラが出てくるのって定番みたいですが、いい感じの三枚目キャラクターのテルツェットでとても心許す。しかもそんなおちゃらけた3人に限って劇中劇が「サロメ」なのでアホとシリアスのギャップがやばい。パワーを使う迫真の演技であのサロメは時間は短くてものめり込んでしまったな。

 

ラスカ

生意気な優等生なんだけど、いちいちかっこいい。劇中劇の夏の夜の夢の男役とか、気品があってすごくかっこいい。頼む俺を抱いてくれとなる。インターナショナルスクールでの経験から誇りが高くて、教官のことを「ミス北斗」と呼ぶのが大好き。姉妹の関係や過去が気になる。エピソード1以降で語られるのかな?

 

芝居の模擬試験、3作の古典演劇

模擬試験で3組のテルツェットそれぞれが異なる題目を演じるシーン。3作の古典演劇がシンクロしながら進行していく。オスカー・ワイルドサロメ」、ウィリアム・シェイクスピア「夏の夜の夢」、宮沢賢治銀河鉄道の夜」。

劇中劇って本当に難しいもので、演者の演技力とか、制作側の演出とかどれか一つでも技量が足りてないとわけわからないことになってしまう(という実例を過去に観劇したことがある)。のですが、この劇中劇のシーンは3作が同時進行で代わる代わるシーンが小出しにされて出てきて、シーンのシンクロがセリフのシンクロになり、最後はグリム演じるジョバンニのセリフで終わる。

この劇中劇ほんとにすごいで。これだけの色の違う3作をシンクロさえていて混乱なく、かつ作品の雰囲気や魅力的に伝えようとしている。断片的なセリフではあるが、鑑賞者がオリジナルの文学作品・演劇作品に興味をもつには十分な仕掛け。本当にいいものを観させていただきました。観劇でこういう考察方面に興奮したのは久しぶりでした。

 

考察 レイザーマーガレットとグリムとリリアと『銀河鉄道の夜

観劇後、銀河鉄道の夜を演じていたリリアのことを考えていてこの伏線に気づいたのが、布団の中だった。脳内でPAL2が大量分泌されて眠れなくなった(?)

 

最初から引っかかっていたのは、「サロメ真夏の夜の夢とならんで銀河鉄道の夜?」という点。ワイルド、シェイクスピアと並べるなら他にいくらでも古典演劇の演目があるはずなのに、なぜここで宮沢賢治? 原作小説からはまだ100年も経っていない。有名な舞台脚本があるのかな?と気になってWikipediaみたところでは、舞台化も盛んにされてることはわかったけど特に有名な脚本があるというふうではなさそうだった。

 

そこでとりあえず青空文庫で『銀河鉄道の夜』を開き*1、ワード検索してみた。象徴的なシーンの抜粋にはなるが、セリフは結構忠実な再現になっていた。ちなみにミハルが演じていたのは姉弟のお姉ちゃんのほうで、海難事故ではぐれた弟ただしを探しているという設定(これ、タイタニック号の沈没事故をパロディしているの、時代を感じますよね。日本までニュースが伝わってきた大事故だったってことですよね。こういうの大好き)。

ミハルが天に召されそうになるのを不思議そうに止めようとするグリム、ずっと違う方向を向いたまま会話を続けるカムパネルラ。

銀河鉄道の夜』の最後、カムパネルラは川に落ちたザネリを助けようとして命を落とす(と見られる終わり方に小説はなっている)。自らの命を犠牲にして友人を助けた…。瀕死のグリムを助けるためにヴァージュの剣に貫かれたリリアと同じではないかと。

 

グリム・リリア・ミハルのテルツェットは「銀河鉄道の夜」を演らなければいけなかった。「銀河鉄道の夜」じゃないといけなかったんだ。そして、カムパネルラの役はリリアじゃないといけなかったんだ…と。

この舞台レイザーマーガレット、マジだな。これエピソード0でしょ。これからこんな編まれた物語が続いていくなんて、おらワクワクすっぞ。大好きな「少女☆歌劇レヴュースタァライト」と相通じるものがあるけど、レイザーマーガレットは実在の作品で劇中劇をやってくれるのが面白い。

 

 

銀河鉄道の夜』についてそう考えていると、いろいろと勘ぐりすぎな気はするのだけど、腑に落ちる点がいくつかある。

なんで冒頭のグリムとリリアの出会いのシーンが傘を指したどしゃ降りの日だったのか?も合点がいった。あのシーン、レインコートこそ着ていたけどリリアだけは傘を持っていなかった。銀河鉄道の夜のカムパネルラも、ジョバンニが出会った最初のシーンでは青ざめているし彼が座っていたシートも濡れていた。レインコートだけでずぶぬれになっているリリアに姿が重なるなーと。

しかもりんごを拾ってくれたことを、最期のその時にまでリリアは思い出してグリムにありがとうを伝える。りんごは大事なアイテムだったんだな。『銀河鉄道の夜』にもりんごはものとして何度か出てくるけど、比喩表現としてカムパネルラの頬が赤いという描写でも使われてるから、生命の象徴(りんごを拾ってくれた=リリアの命を助けてくれた)のように思えた。

グリムが死にそうになって眠いんだと倒れてしまう時、お母さんの幻聴きいてたな。あれもミハル演じる女の子がお母さんのもと(天)へ召されようとしている劇中劇の場面と重なる。それを「グリム、グリム」と起こして命に代えてでも守ってくれたのがリリア。

 

あとは(まだあんのか)、なぜリリアは10歳ころ以前の記憶を持たない設定なのか? が引っかかっている。でもそれを銀河鉄道の夜に求めようとするのは無理があるのもわかってる。でも一つ言うならば、「マーガレットを目指して頑張っていればもしかしたらご褒美で私のことがわかるかも?って思うんだ」っていうリリアの素直な姿勢って、カムパネルラにも相通じるものがある。決して順風満帆とはいえない現状にも屈せず健気に生きている姿が、カムパネルラとリリアで重なったのでした。

 

カムパネルラの年齢は作中では明かされていないけど10歳くらいの青年でもあり得ると思うんですよ。そうしたら、リリアってもしかしてカムパネルラの生まれ変わりなんじゃないのかとさえ思えた。もはや長友彩海がカムパネルラに見えてきた。これから先「銀河鉄道の夜』を読み返す時には私はリリアとグリムの姿をほぼ絶対に重ねることでしょう。(※このパラグラフはすべてブログ主の妄想です。感想ですらありません)

 

 

そしてここからW主演スーパー朝倉ふゆなタイムが始まる。

リリアの死にブチギレたグリムが覚醒する。怒りをパワーに替え、パールを練って攻撃を出すことすらせず、ひたすら滅多切りにしていく。ヴァージュが人間を恐れるほど。レイラも教官もびっくり。これからきっとグリムの過去や、マーガレットとして戦っていたのであろう彼女の母のことも明らかになっていくのでしょう。

 

リリアを失った悲しみの叫び、憤りの叫び。その迫力たるや、それまでほんわかしたいかにも主人公という感じの元気な女の子が、こうも強靭になる。敵を斬りさばいた後、最後にもう一度大声で叫び散らして会場全体が真っ暗に暗転する。

 

そして思い出す、劇中劇の最後を飾ったグリム演じるジョバンニのセリフ。
「僕もうあんな大きな闇の中だって怖くない。きっとみんなの幸福を探しに行く。どこまでもどこまでも。僕たち、一緒に進んでいこう」

 

こんなに早くもグリムが大きな闇に飲まれてしまうなんて、なんと悲しい事か。

でもリリアのお墓の前でグリムは、もう泣くのは最後にしよう。もう誰にもこんな思いさせたくない。強いマーガレットになる。とミハルと誓って終わる。十字架にかけられた白いマーガレット(花言葉は信頼)に誓って、この三人はこれからも一緒に戦っていくことでしょう。「天よりもっといい世界をこさえなきゃいけないって先生が言っていたよ」だものね。作っておくれそんな世界を。

 

 

レイザーマーガレットは今後アニメ化されるということなので、きっとアニメにおいても『銀河鉄道の夜』は重要伏線になるんじゃないかしらと思います。

そしてさらに「メタバース対応のNFTゲーム化」がされるということで情報量がすごい。メタバース空間はエピソード0のこの作品でも戦闘シミュレーションの練習場所として出てきましたけど、エピソード1以降もメタバース空間でうまいことリリア出てこないかなー…なー…なんて思ってます^^←

 

こうして舞台やアニメを通じて文学作品、古典演劇作品に興味を持たせようとするレイザーマーガレットのプロジェクト、しかもあやなんとかあやみんとか重要キャラに付かせていただいて…。推せますわ。

 

あー楽しみ。続編求むです。観劇後もこれだけ楽しませてくれるなんて本当に楽しい舞台でした。あやなん、あやみん、キャスト制作陣の皆様本当にありがとうございました。続編求むです!今後の展開楽しみにしています。

 

備忘録(パレットで攻撃出す時等の気になったセリフと出典)

気になったものをググって書き留めておくだけのメモです。パールを練りあげて攻撃する時のセリフはどれもシェイクスピアだったようですね。それだけ優れた作品ということなんでしょう。こうして切り取ってみてもどれも真理を付いた名言です。

 

  • 「この世界は舞台だ。そして、男も女もみんなただの役者にすぎない。それぞれが登場してはつぎつぎと退場してゆく。そして、時代に適ったものはいくつもの役を演じるのだ」ウィリアム・シェイクスピア『お気に召すまま』)
    ↑幕開けにふさわしいレイラのセリフ

  • 「僕もうあんな大きな闇の中だって怖くない。きっとみんなの幸福を探しに行く。どこまでもどこまでも。僕たち、一緒に進んでいこう」(劇中劇のグリムのセリフ、流れ的に『銀河鉄道の夜』)

  • 「どうかこの貞淑なご婦人に健やかなる安眠を」(劇中劇のラスカのセリフ、流れ的に『夏の夜の夢』)
    ↑抱かれたい

  • 「でも人間は」「傲慢な人間は」「神の似姿であることも忘れ、狂った猿のように」「束の間の儚い権力を振りかざし」「「天に背を向けては天使たちを泣かせている」」ウィリアム・シェイクスピア『尺には尺を』)
    ↑今となっては貴重なグリムとリリアの共闘。

  • 「臆病者は何度も死を経験するが、勇者は一度しか死を経験しない」ウィリアム・シェイクスピアジュリアス・シーザー』)
    ↑ラスカ様によく似合うセリフかっこいい抱いてくれ

  • 「運命とは最もふさわしい場所へとあなたの魂を運ぶ」シェイクスピアの名言として有名なものと言われているが実際は出典不明らしいです)
    ↑リリアかっこいいねえ

  • 「今が最悪の状態と言える間は最悪の状態ではない」シェイクスピアリア王』)
  • 「運命は星が決めるのではない。我々の思いが決めるのだ」シェイクスピアジュリアス・シーザー』)
  • 「人は泣きながら生まれる。腐りきった世界に産み落とされたのが悲しいからだ」シェイクスピアリア王』)
  • ↑ローレン、北斗、レイラの共闘

  • 「新たな一日が始まった。この新しい世界が何をしてくれるか見てみよう」ヴィクトル・ユゴーレ・ミゼラブル』)
    ↑最初のセリフ順番に言っていくシーンでのレイラのセリフ。世界を擬人化するところがフランスっぽい

  • 「人は誰かの希望になり、時に絶望の原因にもなる」
    ↑最初と最後にリリアがいうセリフ。これは本作オリジナルかな?
    希望と絶望が表裏一体。表裏であらわれるといえばヴァージュが巨大化してしまった影。なんかつながりがありそうな気がしてならないという感想。

 

最後に

アーカイブ配信も終了してしまいましたが、5月末までDVD予約を受け付けているそうですので観たい!という方はぜひ。パンフレットとブロマイド(48現役二人分はない(´・ω・`))もあります。*2

pro.form-mailer.jp

www.de-style.info

 

 

*1:青空文庫は、著作権の切れた文学作品を有志の方々がボランティアで文字起こししているサイトです。今現在残念ながらシェイクスピアはないようですが、宮沢賢治はたくさんあってお世話になってます。

*2:レイザーマーガレット公式サイト https://raisermarguerite.com/ 、公式ツイッター @raizer_stage にて案内されていたURLです

村山チーム4「手をつなぎながら」公演 村山彩希生誕祭【20210615 18:00-】備忘録と村山チーム4のこと

書くぞ書くぞと言いながら、早いもので10ヶ月が経ち、4月4日に村山チーム4は最後の千秋楽公演を迎えました。

村山さんのこの生誕公演はもうオンデマでも観られないから記憶を頼りに書いていくしかできないし、部分部分にはなるのだけど、それでもこのブログに書き残したい、残させていただきたいくらい素晴らしい生誕祭でした。

 

 

2021年6月15日、彩希ちゃんの24歳の誕生日をお祝いする生誕公演に呼んでいただけました。

定員は125名。ビンゴは1〜4、5〜0番台の5人刻みになってました。それでこの時はなんの根拠もなく呼ばれるって思っていて、予感が的中して2巡で呼ばれたのでセンブロ立ち最に入れました。

入れた場所も運がとてもいいんだけど、出演メンバーのテンションや振る舞いを見ていても、今まで見た中でお世辞抜き一番に楽しいチーム4手つな公演でした。

石綿星南・稲垣香織岡田奈々・黒須遥香佐藤妃星村山彩希・山内瑞葵・吉橋柚花

前説ちゃん:多田京加

8人公演でユニット5曲セトリ通りやるのがさすが村山チーム4。素晴らしい。やっぱり完成されているセトリはそのままがいい。

前半戦はひたすら楽しかった。手つな自体が久しぶりということもあったし、位置的に全体を見渡せる場所に入れたこともある。この6月の時点では組閣は決まっていませんでしたが、今まで彩希ちゃんが抱えていたプレッシャーのようなものやネガティブな緊張感がなく、誕生日当日の生誕祭、彩希ちゃんが心から楽しそうに笑っているように見えて、それがとにかく嬉しかったです。

そして8人でまわした5ユニットの感想を。

彩希ちゃんがいるGlory days…!BDで出演してた頃からいつか観てみたいと星々に願い続けてきました。なんてこと…生きてるといろんなことがありますね(最近の口癖)。きぃちゃんのポジション。かっこよかったなあ。ダンスの見せ場がそれぞれあるユニットでもあるから、とにかくイキイキして見えるんですよ。センターの瑞葵ちゃんもリンゴポーズしたり、今までだったらファンが叫んでた「ゆいりーかわいい」を言っていたり。思いっきり踊って汗を流す姿が本当に似合う人です。

この胸のバーコード、ゆず恋が仕上がってる。妃星が生き生きとGD踊ってたのは記憶にあったから彼女がこっちのユニットにスライドしてくるとは思わなかった。そして安定の岡田氏。思いのほかいい3人でした。ウインブルドンに連れていって、今日の瑞葵ちゃん相当仕上がってるからこれはすごいビジュアルが来るのではとウキウキしてたら、なんとですね、魔法発動したんですよ。何言ってるかわからないと思うんですが、客席に向かって魔法かけてたんですよ。Aメロで。確か2番の。ドヤった笑顔で。かわいいですね。

雨のピアニスト、黒須が衣装似合いすぎてるのよ…なんでだろう?四肢の細さと白さが引き立ってて、今までも着ていたけど余計に似合って見えて目を引くのよ。 雨ピはなんだかんだいろんな公演で見てきたけど、マイクスタンド前に出てきた落ちサビ前間奏がもっとも狂気じみてたといって過言ではない岡田氏でした(ただし松井は除こう)。

チョコの行方、懐かしや…。峯4手つなをロビ観した時もこのポジションだった…。もう立派なお姉さんになったことはもちろんなんですが、いつだか早紀ちゃんからのお手紙で「年を重ねるごとに若返ってるのでは?」と言われていた通り、いい意味で幼げな、ツッコミ待ちな愛されキャラは変わらないんですよね。

彩希さんについて話した後半MC、生誕祭の仕切りのことですが、山内瑞葵がとまらない。あんな瑞葵ちゃん初めて見た…兼ねてから思ってはいたけど、彩希ちゃんのこと本当に大好きで慕っているんだなと。安心して喋っているし面白いことして笑わせたりして、本当に楽しそう。

彩希ちゃんの生誕祭のはずなのになぜ瑞葵ちゃんのことばかり記憶に残ってますが、でも裏を返せば瑞葵ちゃんがそんなにもモチベーション爆上げして楽しそうな姿を見られたのも、彩希ちゃんのおかげなんだろうなと思ったり。

ロープの友情でロープ握りしめながら目を合わせるところ、この頃になると結構はっきりとにっこり微笑み合うようになりましたよね。曲の雰囲気と微笑みって一瞬会わないようにも思うけど、信頼を確かめ合うような笑みにも見えて、このチームで長く一緒にやってきた時間を感じます。

火曜日の夜、水曜日の朝大好きおじさんとしてもう一度言わせていただくと、ゆず恋が仕上がってる。あんな表情ができるようになったんですねえ。村山生誕でデビューした時から肝が据わってるというか堂々としたパフォでありましたが、こんな悲しみに疲れ切ったような切ない表情もできるようになったんだねと、村山チーム4で流れた時間の長さを感じざるを得ない。

そんな有望なゆず恋が向井地チームAに異動してしまうのはとても惜しい。もっと見たかった。そんなことを行ったらBでキャプテンになる浅井なみんや、Kのエースになる瑞葵ちゃんも本当に惜しい。

けど裏を返せば、それだけ立派に独り立ちしていけるだけの実力を、この村山チーム4で養うことができたんですよね。と思うと、キャプテンの背中と彼女の実力というのは嘘偽りない、大きな存在なんだなと改めて思います。

 

生誕祭

メモリストさんの書き起こしから引用(適宜読みやすいように編集)させていただいたものがこちら。わざわざ引用させていただきたくなるくらい、本当に素晴らしくて、嬉しい嬉しいスピーチでした。

行動に移す1年にしたいなと思っています。こういう状況なので活動が少なかった時期もありましたし、悩んだり考えたり頭の中で考えることは多くてもそれを行動に移すことが、したくてもできなかったんですね。

私の場合、性格上、頭で考えても明日には忘れちゃって。考えるより行動に移すタイプの人間なので、AKBっていうありがたい環境に居させていただいてるうちに色んな経験をしていた方が絶対にいいと思うし、私も劇場が好きだからこそ色んな景色を見て色んな知らないものを知って、知った上でこのステージに立てたらまた成長するんじゃないかなと思ってるので、24歳はちょっと冒険しにお出かけしようと思っています。劇場にはずっといるんですけど、知らないことを知ってたくさん吸収して、成長できる24歳でいきたいなと思います。

最近よく思うのが、私ってあんま気持ちを言葉で伝えることが本当に苦手で。 だから「皆さんが思ってるゆいりー」と「私が思うゆいりー」って違ってくると思う。 今はいろんなアイドルのあり方が存在すると思うけど、私はやっぱちょっと変わってるんですよ。 普通のアイドルじゃないから、皆さんが思ってるようなゆいりーじゃなくて「ん?」って思うこともあるかもしれない。けど、もし皆さんの中で理想のアイドル像のゆいりーじゃないとしても、人として好きになってもらえるゆいりーでいられたらなと思っているし、私もいい意味で、ファンの皆さんとは1人1人の人間として接してます。なので、ぜひ私のことを人として好きになってもらえたらなと思います。

あと一つ、この公演やってて感じたことなんですけど、本当に自分って愛されてるなって思ったんですよ。なんかそれがね、幸せで。幸せだし、あとほんとにチーム4が好きだなって改めて思いました。

3年間このチームでやってきましたけど、自分がキャプテンでいいのかな?って凄い思う時やっぱあるんです。 でも前説ちゃんできょんちゃんがあれだけ盛り上げてくれたり、今日は一緒に立てなかったけどチーム4のメンバーがいてくれたり兼任メンバーがいてくれたり、人の誕生日のためにこれだけお祝いしてくれたり、髪型をリンゴにしてくれたり、ほんとに自分って愛されてるんだなって感じちゃって、なんかもう幸せ過ぎて、もう大丈夫ですw

幸せ過ぎてお腹いっぱいで、皆がいるからやっぱ自分はキャプテンをやれてるし、皆も多分人見知りだったり色々表に出さない部分が多いからこそ、自分がもっと頑張らなきゃなって思わせてくれる。いつ組閣とかあるかは知らんけど、できる限り自分ができることはしっかりやっていきたいなって凄く今日の公演で改めて思いました。なのでこれからもチーム4のこともよろしくお願いします。

(メモリストさんの記事から抜粋、適宜編集*1

 

こんなに嬉しいことがあるんでしょうか。「本当に自分って愛されているんだな」って。

どれだけ褒めても謙遜して、スッと話題をそらしてしまうことが多かった彩希ちゃんが、自分の口から言ってくれるくらい「みんなから愛されてること」を実感してくれたと。ふっと目頭が熱くなった瞬間でした。

シアターの女神を目指すと宣言した頃からずっとずっと感じていたこと。きっとこの子は大いに時間をかけて大きくなる人だろうなと。本当に長かった。

キャプテンを一生懸命頑張ってくれて、素敵な24歳になってくれてありがとう彩希ちゃん。4メンバーも彩希ちゃんの愛情を一身に受けて優しさを返してくれてありがとう。…と、私はただ彩希ちゃんを応援してきただけの身ですが、そんな一ファンでもこんなに嬉しくなりました。本当に嬉しい、幸せな生誕祭でした。

 

 

そして村山チーム4千秋楽 ー20220404

オンデマで観てました。最後のスピーチ、本当に立派。大人になった。「キャプテンにさせてくれてありがとう」「はーちゃん手つな8人公演の立ち位置起こしてくれてありがとう」とチームメンバーに向かって頭を下げる姿。頼もしくて優しくて、器の大きいキャプテンです。

4年は本当に長かった。それも後半2年はコロナ禍で思うように活動もできず、今年2月の現チームラストを謳ったコンサートは中止になってしまい「正直悔しかった」と本音を漏らす場面も。それはもう、キャプテンのせいでも誰のせいでもないことだから、しょうがないの一言で片付けるには重たいものではあるけど、しょうがない。4年も一緒にいられたのだからそのことを今は感謝するのが精一杯なのかなと思います。

最初は本当に、一刻も早くキャプテンから解放させてあげてほしいって願うばかりで、見ているのも辛い時期がありました。そのキャプテンという重圧と一緒に、選抜仕事、外仕事に求められ続けている柵もあった。だから、村山チーム4千秋楽がこんなにも名残惜しいものになるとは想像もできなかった。それは全部、彩希ちゃんがたくさん悩みながら4年間で大きな大きな人になった証でもあります。私の推しメンは本当に頼もしくてかっこよいです。

最後にチーム4全員で披露した「涙は後回し」も、明るい村山4らしく終われて素敵だなと思いました。もしかして中止になっちゃった2月のコンサートでやる予定だったとかかな…?猫アレルギーがありながらあえてこの曲を選んだのも気になりつつ、2代目峯岸4大好きマンとしては嬉しい限りで。

あくまで彩希ちゃん目線で見れば、4を離れ別々のチームに旅立っていくメンバーたちを見送りながら、言葉をかけているようにも感じられました。「頑張れよ、頑張るな」って。チームカラーのマニキュアってプレゼントも、彩希ちゃんらしさがあって素敵だなと(可愛げがありつつちょっと重い←)。

倉野尾チーム4サムネイル公演も近づいていますが、村山4を支えてくれた心強いメンバーも何名か一緒だし、きっと大丈夫でしょう。キャプテンという肩書きははずれても、劇場公演大好きマンとして「シアターのなるみー」こと倉野尾さんを引っ張っていってくれることでしょう。メンバー一覧を見ていると劇場公演職人、ダンス上手な玄人が多い印象を受けていますが今度はどんなチーム4が見られるでしょうか。とても楽しみです。

キャプテン4年間本当にお疲れ様でした。


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Uzume第7回公演「誰かも知らない。」【20220416 18:00-@シアター・アルファ東京】 &超備忘録「Reading Pop『青い鳥』」

 

(この記事は2022/7/23に投稿したものです)

早いものでも観劇から3ヶ月以上経ってしまったのですが、備忘録として観劇の感想を残させてていただきます。簡潔に。あやなんSHOWROOMイベント頑張れー!

 

Uzume第7回公演「誰かも知らない。」【20220416 18:00-@シアター・アルファ東京】

いろんな劇場に足を運んでいるけど、外見がおもしろいビルに入ってる会場でした。会場内では比較的前方の席で観られましたが、席には列ごとに段が付いていたからどの場所でも見やすそうに思いました。

 

あやなんが主演の舞台です。久しぶりだなと振り返ってみると舞台出演は、2020年12月のホテル・アヴニールから実に約1年半ぶりでした。

出演:篠崎彩奈、東拓海、似鳥沙也加小林亜実林鼓子肥川彩愛、瀬川拓人、朝木ちひろ、水島麻理奈、加藤健、根本珠里、丹まる子、十河 茉由、青地洋、今井聡、ヒデ(ペナルティ)、雲母翔太、村松洸希

舞台監督: 渡辺勝樹
照明: 和田優也
音響: 田中慎也 ・ 吉岡有希子
演出助手: 山内未央
美術: 渡辺勝樹
運営・票券: 若林沙織
制作:山口敦子
撮影カメラマン: 和田大輝、岡田忠士
映像: 舞台映像カラーズ
主催: Uzume ・ Office Ameno

uzumess111.wixsite.com

 

募金箱

最後まで鑑賞してわかったことは、舞台のセットで宙吊りにされていた四角い半透明のキューブは、募金箱のイメージだったんですね。

あやなん演じる未来(役名)に未来が見えた時に光る照明でもあったし、帰りに買ったパンフレットや公式サイトを見てみたらイメージ写真でみんな箱持ってるから、この作品の重要なモチーフなのですね。

その募金箱を持って街頭に立ち、被災地支援のための募金活動をしているのが大学生・聖矢くんです。友人の海、哲平になんでそんなことしてるのかなんて言われたりしながらも、彼自身が募金の力によって生活を助けられて上京してきた過去があり、その時に助けてくれたボランティアの人にも憧れを持ち続けています(劇中では明言されていなかったけどおそらくイメージは3.11の東日本大震災の東北地方でしょう)。

 

群像劇

でも聖矢くんが憧れるお世話になった人は家庭に問題があって逃げてしまった過去があったり、風俗の店長やってたり、税理士を名乗る紳士がパパ活してると思いきや実は詐欺の情報商材でお金を学生たちから巻き上げていたり…。双子姉妹の葛藤とか、ホームレスのおじさんのこととか。風俗で体験入店してみて得た1万円を募金箱にぶち込んじゃう未来とか。

こういう演劇を「群像劇」って言うんですね。パンフレットや演者たちのツイッターを見て、そういう言い方があるんだなとメモ。

 

今こうして生きている世界では人々が選択して行動を起こした「結果」だけが見えていて、それまでの「過程」や「きっかけ」「動機」は見えてこない。それが募金箱や募金活動そのもので仄めかされているようでした。タイトルの通り、誰かも知らない人たちが、知りもしない誰かのために動いている。

募金箱の半透明のイメージから離れてしまうかもしれないけど「ブラックボックス」なんて表現があるくらいだし、箱の中身や人の頭の中は見えない。でもそれに影響されて変わっていく人々の人生とか、流れに身を貸せてたどりつく縁なんかについて考えさせられました。

 

未来が見える

未来が見えるという特殊能力のせいで未来ちゃんが苦しむ過去も描かれていました。

海と哲平は未来ちゃんと同じ高校(だったかな?)の同級生だったんだけど、自転車でふざける男子二人に、未来が見えた未来ちゃんが注意すると本当に事故が起きてしまって、逆に「未来のせいで事故が起きた」とさえ言われるようになってしまう。

未来ちゃんには「未来が見える」だけだから、その運命が変わるように忠告することしかできないって、ある意味残酷でもどかしいことですよね。不気味がる人もいるでしょうし。でもピカっと光ってインスピレーションを受けると、1万円を募金箱に突っ込んでみたり、知らないおじさんに宝くじをプレゼントしちゃったり、突拍子もない大胆な行動をとったり。自分の感覚や考えを信じて行動している迷いのなさが、未来ちゃんの魅力だったりします。

 

未来のお姉ちゃんやお友達、その妹の双子ちゃんなどにもそれぞれの複雑な気持ちを持った中で生きているのですが、「解決」されることではないんですよね。みんなそれぞれの"悩み"を持ったままで、美味しいもの食べてお酒飲んで騒いで楽しみながら生きていく。

主人公の未来が不思議な力を持ちながらもみんなと同じように生きていく姿もそう。彼女が持つ能力に関するしがらみが解決したわけではないし。何かしらを抱えながら生きていくと言う意味では、大小様々な勇気をみんなが持っていると言えるのかもしれないですね。

そんな中に不思議な力を持った未来ちゃんがいるから、終始「これは何か不思議なパワーなんじゃない?」なんて思ったりして、シリアスな展開を見せながらもちょっと神秘的というか不思議な雰囲気の舞台でした。

 

宝くじ

最後のシーンが印象的だったんですよね。ホームレスの人が、冒頭に未来ちゃんからもらった宝くじ*1の、当たり外れの結果を見ようとしてスクラッチしてるシーンで暗転するんですよ。ああいう終わり方は舞台のラストにしては物静かで、珍しいように思いました。

 

宝くじをプレゼントされてすぐにスクラッチしなかったのは、結果を知るのが怖かったからでしょうね。その気持ちってなんとなくですけど想像できてしまって。削らないままでいたら「当たった喜び」も「外れた悲しさ」もないですから。

未来(結果)を知ることって勇気がいることなのかもしれない。登場人物たちの人生がそれぞれ交差して少しずつ進む道が変わっていって、最後、ホームレスのおじさんもその一歩を進んだという象徴的なシーンでした。

 

あやなん主演の舞台、とても久しぶりでとても嬉しかったです。

コロナ禍の影響もあるのか映像作品や配信番組の出演が多くなっていて、もう舞台には戻らないのかな?なんて思っていた矢先の出演決定だったのでとても嬉しかったのを覚えています。

ちなみに私はドラマって一切見ないんですけどもAbema TVの「私が獣になった夜~好きになっちゃいけない」第3話はいいぞ!!!…すごくいいぞ!!!!(あやなん出演作の感想ブログ&映像作品リンクは、20220607あやなん生誕公演の記事にまとめたのでぜひご参照ください)

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会場の入ってるビル(シアター入口が写真左端)

 

 

超備忘録:Reading Pop『青い鳥』〜メーテルリンク『青い鳥』より〜 Femme ver.【20220204 18:30-@ヒューリックホール東京】

こちらは岡田奈々さん出演の舞台。行ってきました。ニューバランス327の白×ネイビーを履いて。というご報告だけ…。

 

岡田さんを真ん中に女性3名(+パーカッション2名)での朗読劇でした。

外仕事では初めての舞台出演だったそうで。彼女の演劇といえば、これまで記憶に残っているのはマジムリ学園の「ネロ様」のようなかっこいいキャラクターだったから、外仕事で"AKB"の看板を背負う彼女に求められているのが「女の子らしさ」のある役や演技だったりもして、村仕事と外仕事で大きな異なりがあって、葛藤などあった部分なんじゃないかななどと思ったりもしました。

 

もう半年近く前なので彼女の役が「チルチル」だったか「ミチル」だったかも怪しいというクソ脳みそで申し訳ないのですが、彼女がおともの猫(妹)とともに不思議な世界を旅して青い鳥を探すと言うファンタジー

如何せん3人の朗読劇なのですけど、水さんの複数役の演技が凄まじい技量でした。そして、「死者」にとって「思い出してもらえる」ということが「生きていること」なんだというのも、この舞台の感想として思った記憶がございます。岡田さんはとにかく無邪気なファンタジーの主人公でした。ねこねこーどこねこー

 

avexに移籍してから、アイドルとしてだけではなく一人のアーティスト、一人の演者としての仕事も多くなっている彼女。先日は大好評でチケット即完売のソロライブを見事に完走したと聞いています。これからどんな岡田さんを見ることができるのか、楽しみにしています。

岡田奈々AKB48)/菅田愛貴(超ときめき♡宣伝部)/水 夏希

原作:モーリス・メーテルリンク「青い鳥」
監修・脚本:鈴木勝秀
演出:内河啓介
主催:エイベックス・エンタテインメント/クオーレ

reading-bluebird.com

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*1:確か未来ちゃんがあげてたと思うのだけど数ヶ月前の記憶を頼りに書いてるので間違ってたらすみません

舞台「いわかける! -Sport Climbing Girls-」【20220217 14:00-&20220220 12:00-@サンシャイン劇場】

瑞葵ちゃん、コロナ療養復帰から1週間もしないで「いわかける!」初日の幕開けてから千穐楽まで完登しました。本当にすごい方です。

 

初日&村山さんゲストということで初演と、千穐楽日の昼公演を観てきました。感想は2公演ごちゃ混ぜで、ネタバレ・辛い感想等を含みますのでご注意願います。

 

出演:山内瑞葵/浅井七海/大盛真歩/久保怜音/千葉恵里/武藤小鱗/佐藤美波/福岡聖菜/長友彩海/鈴木くるみ/稲垣香織/山邊歩夢/吉橋柚花/茂木忍/小林蘭

日替わりゲスト:
 村山彩希(2/17昼)/加藤玲奈(2/20昼)

幕前ショー&前座&前説メンバー:
 山根涼羽&下口ひなな(2/17昼)/道枝咲&安田叶(2/20昼)

脚本:松多壱岱

演出:私オム

原作:石坂リューダイ

iwakakeru-stage.com

ライブパート
1.大騒ぎ天国(2/17昼)/1.チーム坂(2/20昼)
2.希望的リフレイン
3.ひこうき雲


(2/20昼)加藤玲奈卒業セレモニー
1.桜の花びら

 

出演者たちの感想

部活に駆ける青春作品は数多ありますが、流行ってるとは聞いてるもののボルダリング、クライミングは未知の世界。初めて見聞きするものばかりでとても新鮮でした。聞いたことのない用語、大会やルールを出演者たちが説明してくれる場面が多くありました。

 

そういう意味で言うと、部長である幸与(まほぴょん)はへなちょこには務まらない役だと思いましたし、大盛さんはそれを全うしていたと思います。キャラクター的にも先輩で年長の落ち着いた存在ということで、一言一言丁寧に説明してくれる場面があり、きちんと物語の世界を知ることができました。大盛さん自身がアニメ好きということもあると思うのですが演技自体がアニメの世界、キャラクターにしっかり寄っていて頑張っているなーと思いました。

 

私は平気で辛いことを書いてしまうのですが、期待を込めて申し上げると、そういう点では隼ちゃん演じる浅井さんはもう一歩という感じがしました。舌がまわりきらずというか早口というかで、説明がよく聞こえない場面があったからです。ただ彼女の生真面目な性格が隼とマッチしていたし、好ちゃんと対になる役としてはなーみんしかいなかったでしょう。浅井さんをよく知らないけれど外でも村でも舞台経験はあまりないのかな…? これから呼ばれる機会は増えるだろうから楽しみにしています。

 

野々華ちゃんはいかにも怜音って感じがしてしまって、ああこの人卒業しちゃうんだよなーっていう切なさが強かった。彼女は何かに秀でているということのは正直私は感じないのだけど、何かの技能が秀でているから素晴らしいというわけではないのがアイドルの世界で、そういう意味で言うと怜音はまだAKBにいてほしかった。「AKBは19歳から」だと思っているので、これから何かが始まるはずだったのに、と上演中そんな思いがずっとありました。あと応援団になって学ランきてるのかわいかったし、ゲストパートのアドリブも笑わせていただきました。ありがとうございました。

 

アニメ好きということで言うと、この舞台で今までで一番輝いて見えたのは佐藤美波さんでした。私が劇場公演で見てきたさとみなちゃんはいつもどこか小さくて(小さいんだけど)控えめで自信なさげに見えていたんですが、彼女が大好きなアニメ原作の舞台に出演ということで、「下っ端データクライマー」の異名をもつ丸乃はぴったりでした。あんなにイキイキとしてるさとみなは初めて観たといっても過言ではなかった。アニメ作品やアニメキャラクターへの敬意を感じた。Twitterや言葉選びにあふれ出てしまってるヲタクっぽさというか、もっとそのキャラ出していいと思うんだけどなー。彼女もこれから楽しみな子の一人だったりします。

 

あと茂木(笑) 十三さんなるおじさん役って聞いて笑ってた頃が信じられないくらい、ただのイケおじなのよ。開口一番「筋肉は裏切らない(ドヤッ」でも笑いどころか恍惚としてしまうかっこよさがあるのよ。筋肉って確かにいつも自分と共にあるよなー筋トレやるか―と思いました(思っただけ)。スーツ姿もまたかっこよくてね。ただのイケおじなのよ(二回目)。これは娘の菊ちゃんも「結婚する?」って聞いちゃうわ。

菊ちゃん役の小林蘭ちゃんは、はーたんの代打が急遽決まったのですがかなりハマり役。ほわっとしていながら芯のある菊ちゃんにぴったり。けど同時に、はーたんの演技で見てみたいキャラクターでもあったなと。今はゆっくり療養してほしいけどね。

 

ゲストの彩希ちゃんも、ゲストにしては結構しっかりセリフのある役だったけど、魔法使いキャラをいじるなどして好ちゃんの脚をなでなでしていました(※シューズショップの店員さんの役です)。初日公演だったのでまだ客も演者も2.5次元特有の雰囲気に慣れ切ってない感じがあったんだけど(どこでどうリアクションしたらいいかとか)、その雰囲気を変態キャラでぶちこわしてずっきーの小ネタを混ぜて笑いを起こした彩希ちゃんは、さすがすごいなぁ。若いメンバーや初舞台というメンバーも多い中だったのであれはナイスアシストだったんじゃないかと思います。

最終日のゲストはれなっちで、このご時世なので卒業セレモニーも兼ねてのゲスト出演。れなっちと演技ってイメージが繋がらなかったのですが立派なものでした。なんというか、大人になったなあ…。

 

アニメの舞台化って難しいよなと思った話

アニメ特有の空気というか、間というかが48のヲタクには微妙に慣れないところがあったなーとは終始。初日は特に初めて見るものだったからなおさらそうだったけど、メンバーたちはみんな自信をもって頑張っているから応援したくなるし、まだあまり馴染みのなかったボルダリング×2.5次元舞台というテーマ自体がかなりハードル高めだったとは思うんだけど、舞台演出なんかもできる限りアニメの世界を生かそうと尽力していたと思います。

ボルダリング自体は、本物の岩ではなく横に置かれたポールや足場を握って登っていく感じなんですが、映像のマッピングでキャラ達がどう足場をみているのか、それこそ「パズル」みたいにわかりやすく表現されていました。初日は2列目だったので見えづらかったんですが、最終日に後方の席でみたときにその表現の有難さをより感じました。大会会場のパネル画面よろしく、クライマーの名前や学校名が表示されていたんです。登場人物が多い舞台なので助かりました。それにクライムする表現自体、演者が足をかけるごとにミシミシとリアルな音がぴたりと鳴っていて、本当にボルダリングのカラフルな岩場を専用シューズで上っているように感じました。あれは演技ごとにタイミングとかあると思うんですが、演出と演者とみんなの努力によるものと思いました。

 

最終日を迎えるころにはなんだかんだで主題歌の「もっと高く」by鈴木愛奈さんをヘビロテするくらいにははまったし、歌詞をくちずさみながら踊ってる好ちゃんとかね。ああ、幕開けられてよかったね本当に座長…頭が上がらない。美音もツイートしていたけど、ずっきーあなたは偉い! あと書くタイミング見失ったのでここに書いておくと、ライブパートに「チーム坂」もってきたのは偉い…!部活がんばってる若者の曲だしいわかけるにもマッチしてるし、センターはなみずきだし素晴らしい。

 

好ちゃんこと山内瑞葵さん

本当に大変だったと思うんですよ。「六番目の小夜子」に出ていた1月の時点でお稽古が同時進行してると言っていて、さらにそこにコンサートがいくつも…。そこに新型コロナウイルス陽性という、治るものも治らなくなっちゃいそうな忙しさの中で、本当に無理だけはしないでほしかったから2月頭のコンサート中止と併せていわかけるの舞台も延期や最悪中止でもいいんだよ…と思っていました。

でも座長が不在の間にもメンバーたちは稽古を進めていて、この人たちマジなんだなって熱意を覚えました。みんなが瑞葵ちゃんの復帰を待ってる、だから瑞葵ちゃんも奮い立ったと思うんですよね。本当に本当に不安でなにもできずに辛かったはずなんですけど、初日の幕が上がった瑞葵ちゃんはそんなこと微塵も感じさせないくらい完璧なパフォーマー、笠原好になっていました。

 

おとなしくて自信がないんだけど実力はすごいものを持っていて、パズルゲームの強者になった能力でボルダリングを始めるという。才能あって本気を出すとすごいんだけどほわっとしているThe主人公な好ちゃんと、対照的に秀才で頑固者な一匹狼の隼ちゃん。いいツインだったなー。そことなく百合っぽさを感じてしまうのもアニメ特有の何かなのかな。平素よりなみずきを見ていて思っていた「重さ」を役の中の関係にも見た気がしました*1

好ちゃんの好きなシーンは、「私の弟子になったのだぞ!?弟子が師匠の大会を見に来るのは当然なのだぞ!?」みたいに恥ずかしそうに半ば混乱しながら(笑)菊ちゃんを説得しようとしてるシーン。あれ一歩間違えたら演者の瑞葵ちゃんも混乱しちゃって収集付かなくなりそうだなと思ったのですが、そこはさすがの実力。しっかり笑える場面になってました。瑞葵ちゃんはすごいなぁ。

ボルダリングの壁を前にしてルートを読み解くのに集中してブツブツいってる好ちゃんもかっこよくて。頭脳と体力と両方が特に必要なスポーツなのだと思います。普段ほわっとしているんだけど、ステージ上がると飛んでもないパフォーマンスを発揮してしまう山内瑞葵さんとかぶる部分ありますね。握手やお話会でも、結構ブツブツ何か言ってることあったなーって()。そんなところと実力のギャップが可愛かったりするんですけどね。

初めての主演舞台、それもコロナ療養明けの限られまくった時間の中で幕を開けた舞台。それは瑞葵ちゃんのこれまでの経験や考え、実力があってこそ成し得たもので、普通だったら延期とかなんらかの対応が必要だったと思います。過密スケジュールを組んだ運営が彼女の実力に頼り切っているような気がしないでもなくて、若干もどかしいというのも正直なところですが…。そんな本人は忙しいほうが性分に合っているみたいだから、俺は何も言えん。そういうところが瑞葵ちゃんのプロ意識の、かっこいいところなんだがな。だがしかし無理はするな―!(´Д`)

全公演の完登、本当に本当にお疲れ様でした。次にまた瑞葵ちゃんやみんなの演技を観る機会を楽しみにしています。楽しい作品をありがとうございました!

 

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*1:個人的な見解ですが、なみずきはゆうなぁの次に"心配"している関係のペアなんですわ。依存という意味でね

TOMOMI KASAI 30th ANNIVERSARY LIVE 【20220321 17:30-@目黒Blues Alley Japan】

当日に第1部&第2部それぞれのセトリを掲載した記事に、そのまま感想を連ねてまいります(´ω`)セトリは記事の一番最後に載せています。

 

マタニティライブ

本当は2月に行う予定だったライブがコロナ禍の状況を鑑みて延期に。3月21日にリスケされて開催。本当は2月に実施して「妊娠報告」をする予定だったようなんですが、それがひと月ずれたということでおなかは予定より大きくなり。妊婦さんの1ヵ月の差は大きいものだと思うんですが、つわりなどもあまりなく体調は万全、準備や確認も万全で当日の2公演が無事行われました。

第1部は映像での鑑賞で、第2部は会場で楽しませていただいたのでこの記事では第2部のほうの感想を書きますが、

オープニングからまさかMineキエタイクラ今さらさらとシングル4曲をぶちかますマタニティ河西さん。4曲目の今さらさらなんてCメロ?がめちゃめちゃハイトーンだから歌うにもパワーがいる。相変わらずの圧倒的な歌で聞く者たちを包み込んでくれたわけなんだが

大丈夫??産まれない??

私だけじゃない、きっと会場の誰もが固唾をのんで見守っていたはず。私は今回も運が良いことにDテーブル(上手側の最前方)でステージ真ん前の席だったので、万が一、本当に万が一推しが産気づいてふらつきでもしたらその体を支えにいくか!?などとひっそり覚悟していましたが、無事に歌い終えてのMC。

シングル曲を4曲続けて聞いていただきました。本当は続けてSTAR-T!も…と思ったんですが、そうしたらさすがに生まれちゃうので

本人も思ってたわ

まさかはボサノバ?じゃないけどゆったりなテンポにアレンジされていたんですが、まさかをこんなにしっぽりとした気分で聞くの久しぶりだなーなどと。

 

大好きなMineも記憶によると確かフルサイズで、あの大好きな世界を堪能できました。それで私ステージの真横の席だったんで、バンドの皆さんがよく見えるんですけど

Mineサビのドラムかっこよすぎん?

ゆたぽん氏がひときわ輝いて見えた。細かい音符叩くところとかな。私リリースからずっとMineがシングルで一番好きなのですが、この日わかりました。ドラムのサウンドが癖になってるのだと。MVのイメージも相まって螺旋階段をかけおりるような印象を持っていたサビなんですが、それを先導しているのは軽快で小気味の良いパーカッションだったのだと。ありがとうMineドラムス、フォーエバーMineドラムス。

しかし本当に、体を大事にする繊細な時期だというのにパワフルな歌は健在。「歌っているときのほうがむしろ呼吸が安定して楽になる」のだとか。かっこいいなあ。子にも届いていることだろう。胎教にいいぞ。

 

ミュージカル劇中歌パート

MCを挟んで、今度はミュージカル劇中歌パート。出演したミュージカルから3曲を披露したのですが、アイランドの「自由に飛びたい」は私の大好きなやつや(´;ω;`)ティモーンが車を見かけて楽しそうに歌うんですよ。あの無邪気な感じが、顛末を知っているとまたジンときてしまうね…。音楽もカリビアンな明るいもので、このミュージカルの音楽を担当された方がディズニーに近いところにある方で聞いてるだけで楽しくなる音楽です(2017年アイランド観劇時のブログに書いたのでそちらに)。

アニーのトゥモローも名曲。私もクリスマスコンサートの会場でついうっかりCDを買ってしまいました(´ω`)德山さんのファンです← 元気が欲しい時に聞いたり、口ずさんだりしますね。河西さんも話していましたが、コロナ禍で上演できるかできないか、中止になってしまうこともある中で支えになってくれた光のような曲です。そんな歌を河西さんの独唱で聴けたのはとても耳が幸せでした。

 

クイズ大会

そしてMCパートでは、かつてないくらいの大々的なクイズ大会!商品はサイン入りのグッズパーカーと、なんとサイン入り防災グッズ入りのリュック…。先日大きな地震があったばかりなので何かあった時用にこれにしたとのことなんですが、景品のチョイスが河西さんすぎる。すばらしいのよその発想が… まあクイズが難しすぎて小物のヲタクは爆ぜ散りましたが(´ω`)

「問題:秋葉原ドン・キホーテエスカレーターの壁で「ギンガムチェック」のジャケ写が飾ってあるのは上りエスカレーターで何階から何階の間でしょうか?」じゃあないのよ。上っていくときの偶数回目の壁というのは感覚的に分かったんだけど、2-3階か4-5階かで迷った挙句に爆ぜ散り、自信をもてるはずの劇場関係の問題でこれなので俺は…もう、勝てねえ…となりました。精進します。防災グッズは自分で用意します(しろ)

 

ライブに戻り

そしてLovely daysをステージ真横で見ていて思った。この曲はギターがかっこいい…最後のキーボードもかっこいい…と。この会場も何度目かわからないくらい来ているけど、そのたびバンドの皆さんにもまた楽しませていただいているのだと。

クイズ大会の時にあまりにも席から近いところでフリップ書いているので、「ナットウエンジェルって知ってます?」なんて雑談をふっかけてしまいました(´ω`)山ちゃん氏とよっしー氏あわせて「わからない」とのことでした(それはそう)。

 

アンコールの夕陽を見ているか?は本当に嬉しかった!ハーモニカもいいのよ、かっこいいのよ…。本編ラストの未来へと相まって、自分やその周りの人たちを優しく照らすような歌詞の楽曲たち。いいねえ。二回目だけど、胎教にいいよ絶対。

最後はまた大好きなEnjoy your life!で締め。このライブ後は出産に向けて活動が控えめになるけれど、子どもを産んでからも母ではなくアーティストの河西智美として、また必ずステージに戻ってきます!と言ってくれました。彼女が舞台でのお仕事に注いでいる情熱を感じる言葉でした。これはファンにとって本当に嬉しく有難いことなんです。

 

出産や産後の子育てだってとてもとても大変な毎日になるけど、AKBのあの時代を乗り越えているから大丈夫だと思うし(第1部の板野先輩のアドバイスより)、そんな新しい経験をたくさんたくさん踏まえて成長していく河西さんが楽しみ。きっとこれまでにはなかった味が、演技や歌の表現ににじみ出てくることだろうからね。

大変な時期のライブになってしまったけど、無事に開催出来て、みんなで楽しめる現場でよい1日でした。ありがとうございました(´ω`)また会える日まで!応援してます

 

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舞台「六番目の小夜子」【20220109 13:00-&20220115 18:00-@新国立劇場 小劇場】

1月9日と15日の2公演を観劇してきました。原作と呼ばれる小説がありはするのですが、もしも本当に原作どおりの脚本だったとしたら容子ちゃんはTop of モブキャラ(途中100ページは出てこない)なんですよね。だからほぼオリジナルの舞台を観る気持ちで改めて2回目行ってきたら、違う観え方で楽しめました。

ネタバレ等々気にせず感想を書いていますので、気にする方は閲覧注意でお願いいたします。

 

出演 :鈴木絢音乃木坂46)/尾碕真花高橋健介/熊谷魁人/山内瑞葵(AKB48)/飛葉大樹/仲美海(劇団4ドル50セント)/大原由暉/志田こはく/花崎那奈(ボクラ団義)/緑谷紅遥(ボクラ団義)/山本涼介森下能幸

総監督:鶴田法男
脚本 :小林雄次
演出 :井上テテ
音楽 :小畑貴裕
舞台監督 :白石定
舞台美術 :福田暢秀
照明 :阿部将之(LICHT-ER)
音響 :筧良太
衣装 :前野里佳
ヘアメイク:青山亜耶
演出助手:高島紀彦
宣伝美術:西村恭平(Balloon)
制作 :倉重千登世、有賀美幸、竹田梨乃
企画協力:新潮社
主催 :舞台「六番目の小夜子」製作委員会

sayoko-is-back.jp

 

青春ミステリー

まずは恩田陸さんによる原作小説の感想。自分は舞台化が決まってから恩田さんの小説『六番目の小夜子』を拝読しました。ドラマは見たことがありません。
読後の感想は、「どこがホラーなんだ? さらには沢木容子ちゃんが彼氏のいるイケイケ陽キャの女の子だけど、途中100ページは出てこないモブキャラだし舞台どうなるんだ?」というものでした。

さらには小説自体はホラーではない。小夜子伝説に翻弄されて不思議なことが起こるたび伝説のせいにするような、でもそれらにもきちんと因果があって噂はただの噂でしかなく、「青春のせい」で片付けて最後は笑えてしまうような青春ミステリーだったんですよ。恩田さんの筆力も相まって自らの高校時代、校舎の風景や匂いを思い出すような、素晴らしい小説でした。

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原作殺し

舞台の感想にあたり、先に監督・制作陣にたいする辛い感想を書かせていただきますね。
これを書き出さないことには、推しの演技の賛辞へ移れないので。

 

今回の上演のコンセプトは「ホラーとして六番目の小夜子を舞台化する」というものだったらしく。率直な感想を一言で申し上げれば、この舞台の脚本自体は原作殺しの二次創作でした。あくまでも小説のファンになった身としての感想、ということですが。

まず文化祭で「小夜子」を上演するのに体育館のシーンがないなんて。

これは原作の感想ですが「小夜子」の舞台自体が非常にワクワクするんですよ。小さな音にも敏感になって、その場の恐怖で生徒たちがだんだんおかしくなっていって、怪奇現象が起きるっていうあのスリルがよかった。「小夜子」の演技方法や、その台本自体も面白いものなんです。演劇界では邪道なのかもしれませんが、高校生の文化祭の演劇ということではそういう特殊なものもありじゃないですか。

今回の舞台作品ではそれが見れるのかなと期待していたんですけど、そもそも演劇部が演じるという設定にガラリと変えられてしまっていた。要の劇中劇が軽視されてるというか、ホラーに特化させたい監督にとってはどうでもいい要素だったんだなと受け取れてしまったことが残念でした。

会場が小劇場だったのも、シーン再現の枷になってしまったのかなと思いました。メインステージの理科室(演劇部の部室らしい?)は場面転換が不可能。細かな作り込みで、小道具も所狭しと並んでいる。そのメインセットの上(2階)にはいわゆるホワイトキューブ的な空間。石碑やベンチなどセットを置き換えることによって場面を変えられる仕様。理科室の机はどうしてキャストが客席に背を向けて座らないといけない配置なんだろう?と不思議でしたが、文化祭の日の「小夜子」を演じるシーンではっきりと理由がわかりました。コンテンポラリーなパフォーマンスを魅せるためのステージとして使うからです。

もしもの話ですが、例えば中劇場の方でできるんだったら、あそこにはステージに回転盤があるはずだから場面転換ができて、そうしたら体育館のシーンを用意することもできた。とはいえ小劇場でも、せめて真っ白な2階空間にパイプ椅子を並べてキャストの生徒たちに順番に朗読させていくとかそういうのでもよかったじゃないですか。

なんで?なんで監督。

恩田さんの脚本・演出が素晴らしかっただけになあ…。この舞台に際して原作を読んだ程度の人間ですが、これは原作の良さを殺してしまってますわ。ホラーという要素自体がこの作品に合ってないと言っておかないと浮かばれないといいますか。

 

劇前半のThe 青春な学園ドラマな雰囲気は恩田さん原作をしっかりひいていてとてもよかったんだけど、後半、霊としての小夜子が登場してきたあたりから、いろんなことが変な方向に捻じ曲がってしまって、原作の良さが殺されてしまったというか、原作があるんだよというのも申し訳ないくらいの展開になってしまった。結果的に容子ちゃんが狂気に満ちて半イーリス化して、それはそれでホラー的にはいいのかもしれないけど出オチ?みたいな感じで勿体なかったです。

 

というのが原作ファンになってしまった私の、脚本・演出等に対する感想でした。

 

頑張る演者たち

そんな展開を承知して受け止めたうえでの2回目は、落ち着いて楽しめました。全く別物としてみればということですが。

「ホラー化」するのにマッチしてないというのは承知しているけど、それでも演者たちは頑張っていました。

主演の鈴木絢音さんは沙世子と"二番目の小夜子"の人格をあっちこっちする大変な役だったけど、彼女なりに演り分けているのは十分伝わりました。オリジナルにはない設定だからその切り替えにはだいぶ苦労されたのではと思いますが、後半に容子と二人で話しているシーンで軽くこめかみを抑えることで人格をスイッチしていて頑張っておられました。文化祭で「小夜子」を演じるシーンはダンスじゃないけど、不思議な身振り手振りがその華奢でミステリアスな表情と相まって雰囲気がありました。

 

ようちゃんこと沢木容子

瑞葵ちゃん演じる容子は、このシリアスな舞台におてんば女子の要素を添えています。生徒が集まって小夜子伝説を説明している時に、レンタルで借りてきたホラービデオを取り出して隣に座ってる雅子にニヤニヤしながら話しかけていたり、とにかく明るくてやんちゃで元気な女の子。

舞台のセットの理科室の大きな机。天板が黒くて不燃のやつですね。あれはクライマックスの文化祭で「小夜子」の台本を演じるシーンでミニステージとして使う都合上、どうしても横向きに常時配置する必要があるようでした。だからその机に座る時、どうしても客席に対して後ろ向きになってしまうことがあったのですが、演劇部の練習のためにジャージに着替えた容子ちゃんが先生を追っ払って(瑞葵ちゃんがこのキャラクターやってて特に新鮮だったポイント)、客席に背を向けて座ったんですよ。

その後ろ姿の耳のかわいさったら、まあどうしましょう(語彙力)

瑞葵ちゃんのことは研究生公演の頃から気になってずっとウオッチしてきましたけど、思えばこんなにまじまじと推しの後ろ姿を眺める機会などなかったし、ましてやポニーテールで首元後頭部がスッキリしている状態でその大きくかわいいお耳を背後から拝むことなど後にも先にも巡ってくることのない機会でしょう……と双眼鏡を握りしめていました(表現がキモい)。細くてスタイルが良くて本当に綺麗な子です。

 

容子は演劇部部長の雅子と仲良しでこれは小説から変わらない設定なんですが、舞台では「まあ」「ようちゃん」ってお互いを呼んでいるのがすさまじく可愛くてハアアアン(限界)ってなったし、容子ちゃんの「まあ」の呼び方がシーンによって喜怒哀楽変わってくるのだけどいかなる時も親しみはしっかりあって、それが愛しかったので、私も生まれ変わったら「まあ」って呼んでもらえる名前で生まれてきたいです(?)

 

個人的に好きだったシーンは、沙世子がもつ鍵を狙って彼女の荷物が物色された事件の時に、部室にカバンを置きっぱなしにしていた容子ちゃんが大慌てで飛んできて自分の荷物をガサガサ確認するシーン。

そこに現れた男子生徒に呆れられて「津村さんみたいに自分のファンに物盗られたと思って?」「そうー!」と焦りつつノリツッコミしちゃう陽キャなところを覗かせるのが面白かったし、その男子に対してムカついたような表情するところとかも。あとは着替えの時に「覗かないでよー!」ってあっかんべーするようなところも。

あんなに感情を表に出して笑ったり慌てたりエゴイズム剥き出しだったりする瑞葵ちゃんって見たことがないから、容子のキャラクターで演っている一挙一動が大変新鮮でした。

 

先に書いたように後半の展開が完全オリジナルだったわけですが、文化祭の演劇部の芝居で「雅子が沙世子を主役にしようとしてる」というコソコソ話が小夜子(沙世子ではないと思う)によって噂になってしまい、「まあは私にいい役をくれると思う」と信じてた容子の(かわいい)耳にも届いてしまいます。この噂が流布してしまったのを雅子本人に訊きにいく容子が、「まあ?」って話しかける時のあの元気のない声がまあああ可愛くてドキッとさせられるんですね(まあまあ言い過ぎである)。

こんな感じで友達とコソコソ話してる人いたなあと、中高の頃の学校の風景を思い出してムズムズしました。感情を誘ってくるのがうまいなあなどと思いました。

 

容子ちゃんは結局この文化祭のお芝居で演出の役割を担当することになるんだけどうまく台本が書けず、いわゆる"小夜子の呪い"な感じで段々と苛立って様子がおかしくなっていきます。そして小夜子が悪戯に容子に渡した赤い台本(「小夜子」の物議を醸したオリジナル台本)に不穏な着想を得て、体育館を燃やしちゃえばええんや!ととんでもない演出をやることに血眼になってしまうんですね。あの狂った感じの笑い方は、それこそマジムリ学園LOUDNESSのイーリス様で培われた、邪悪で荒んだ感じになってしまっていて見ていて怖かったですね。

 

(これは監督に対する文句ですが、本当にこの展開で「六番目の小夜子をホラーにできる」と思っていたんだったらちょっと頭冷やしてこいや…。こういう青春ものの舞台って特に、監督や脚本演出によって本当にムチャな演技を要求されたりしがちだなというのをいくつかの舞台を見てきて思うことがあり、今回も正直に述べればそうでした。ムチャぶりレベルとしては低い方だったと思うけど)

しかしそれにしてもこの急展開すぎる要求をしっかり呑んで、火災を起こすことに血眼になっておかしくなっていきつつ、最後にはすんごいシュンと肩を落として「ごめんなさい」って雅子に謝りにくる容子ちゃんは、この舞台の中で喜怒哀楽を360度まわってくるとても表情豊かな役でありました。それをこなせちゃうことが彼女の凄さだなと感じています。

 

 

いわかけるへ

小夜子の舞台の中後に、成人式イベントやフレッシュメンバーコンサートなど複数のコンサートに出つつ、2月頭に予定されていたAKB単独コンサート等々のレッスンに、主演が決まった舞台「いわかける」のお稽古…。

そりゃどの瑞葵ちゃんも観たくて楽しみにしているけど、それじゃ体調崩した時に治るものも治らなくなっちゃうよ(´;ω;`)1月頭の段階で「舞台の稽古が同時進行してる」って話を聞いていたので、そんな無茶してたら倒れちゃうよ…と。

瑞葵ちゃんの体調が戻って今日のオンラインお話会から復帰で、そのタイミングで運よく券があったので話したけど、いわかけるのお稽古は「これから追い付かなきゃ」って意気込んでいたので、本当に来週幕が開くんだね…。無理はしてほしくないけど、ステージに立つ人間の多忙さとか"無理を無理と思わずに立ち向かう覚悟"みたいなものが垣間見えたので、心配しすぎるのも違うのかなと思ったりなど…。

ほんとにほんとに仕事に対して健気な人です。「六番目の小夜子」お疲れ様でした。「いわかける」も楽しみにしてるから、怪我しないでね(´ω`)素敵な舞台になりますように…

 

 

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第4回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦決勝大会【20220112@舞浜アンフィシアター】

ただの雑感なんですが、雑感とか感想とかレポとかって自分で言い分けるのもうめんどくさいので(ひどい)、とりあえず思ったことをつらつらしていきたいと思います。全員に触れられる知見はもたないので、覚えておきたいことだけ。そういうブログです。

 

目に見えないものに数字をつける

これまであまり興味なくて番組も見たことがないんですが、「お出かけ」中の推しが初参加するということと、そんな村山さんがチケット申し込み期間中に珍しく宣伝ツイートしてるのを見かけたので、そんな言うなら投げてみるかと思って投げたところ当たったので行ってきました。

聞けばこの大会も4回目を数え、これまで好成績を残している岡田さんが最後に大勝負に臨む回とのこと。そこに重ねた推しの初参加。そして、ディズニー生まれディズニー育ちにとって舞浜というホームの会場で観覧できたことも嬉しかったです(といいつつアンフィシアター初めて←)

 

個人的に最近、私は"目に見えないもの音痴"なんだなと感じることが多くて、音楽のこととか特によくわかってないです。なので稚拙な感想しか言えないし、おそらくこの文体のせいで「偉そう」とか「批評家」って指さされてる自覚はあるんですが、私の"これまで"からしてこういう書き方でしか感想を表現できないので、「偉そう」に聞こえてしまったらごめんなさいね。そんなつもりはないことを先に断っておきます。

 

歌唱の感想

今回はとかく歌がうまい人々によって構成されたステージということで、まあ良いコンサートを聴きに行くつもりで行きました。審査員の人が「歌はその場で数分で紡ぐストーリーだ」ということを仰っていましたが、アイドルであり人間である彼女たちの「歌以外のストーリー」も多分に見られたイベントだったと思います。

というのも、私は出場者20名のことをよく知らないし、推している箱のAKBでさえも知らないことが多い。けれど彼女たちが「歌が好きだ」ということだけで十分で、何も知らずに初めての劇場公演を楽しんだ時のような、初見の新鮮味がありました。

 

音楽界隈は本当に疎いので、最近はやりの歌手やヒットソングの名前を挙げられてもわからないことのほうが9割以上ですが、それでも「これはaikoの歌い方だな」と思えばおだえりさんは本当にaikoに憧れてたり、「この人はミュージカルが好きなんだな」とか「民謡っぽい力強さがあるな」とか、彼女たちの"これまで”や"好き"という想いが歌声に乗っているんですね。彼女たちひとりひとりがこれまで聞いてきた歌、憧れて目指した声、表現を垣間見ることができたのがとても楽しかったし、本当に好きなんだなと20人20色の歌に浸らせていただきました。

 

基本的にAKB以外のメンバーははじめましてだったんですが、坂本愛玲菜さん(HKT48はアイドルらしい甘い歌声で他の演者とは違う色をしているなと。歌い始めてすぐに「あっ」と惹きこまれるものがあり、私のような素人でも親しみを持って聞けました。最終決戦に進んでそこで歌った2曲目は自分が好きだという歌をセレクトしたということでとても楽しそうに歌っていたので、観ていて楽しいステージでした。

今村美月さん(STU48はまさか「ブギートレイン'03」をぶち込んでくるとは思わなくてびっくりでしたが、あの場で藤本美貴に与えられた癖の強い歌唱を歌いきるってのはとんでもない実力の持ち主です。藤本楽曲は音の高低のふり幅がすごいので弱者にとっては鼻歌でも大変だった思い出がありますが、それをパフォーマンスで目でも見せながら歌いきるというのは本当にすごい人です。最終決戦のジャズもまさかで、手持ちのカードがどれも強い。しかもブギにしろスイングにしろ自分のものにしているのが凄まじい。

あとMISIA「逢いたくていま」をぶち込んできた矢野帆夏さん(STU48も素晴らしかった。サビに向かって盛り上がるにつれて会場をどんどん支配していく圧倒的声量と「あいたい」っていうメッセージの圧と。ライトの神々しさはビジュアルでも脳裏に焼き付いています。ディズニーシーと言えばMISIA先生だからその選曲も嬉しかったですが、個人的には神田沙也加さんに思いを馳せた1曲でもありました。作品の中ではアナを通じて彼女に会えるから、そういう意味ではいま逢える場所なんですよね。舞浜って。

ディズニーと言えば決定戦でモアナの楽曲「どこまでも ~How Far I'll Go~」を歌った方がいましたね。清水紗良さん(STU48か。モアナは生まれ故郷の島からひとりボートを出して未知なる海に乗り出していく勇敢な少女ですが、果てしなく無垢な海と空が見えましたね。…いや、STU強くない?(笑)海だから舞浜開催でパワー増したか?

でも思うんですよ、千葉県ってBUMPとかELLEとか名高いバンドの方々の出身地だったりしますけど、海があるぶん空が開けてきれいな光景(日の光の存在が大きい景色といいますか)がたくさんあるので、海がある環境って特別そういう感性が磨かれることってあるのかなーなんて思ってます。海が関係あるか、新潟のスーザンボイル三村妃乃さん(NGT48)も凄まじかったですね。選曲がどれも実力者じゃないと選べないものでしたし、そのパワーも圧巻でした。

そして古畑奈和さん(SKE48はさすがすぎて何も言えん(笑)。彼女が表現する歌のジャンルを私は全然知らないですが、世界にしっかりと引きずり込んでくれたので、嵐のような凄まじさの中でも置いてけぼりにはならなかった。歌って演技なんだなと。しかも歌唱前のトラブルでMCのマイクを繋げられる実力は、さすがSKEの劇場で鍛え上げられた彼女だなと思いました。一度ですが、古畑さんはいなかったもののKII公演に入った際に栄の彼女たちのMC力にはとても感激したので。

意外ということでいうと岩立沙穂さん(AKB48についても書いておきたい。推しを見る中で彼女を何度か観てきましたが、今回の決定戦には推薦枠?で勝ち上がってきたと聞いていたことと、オープニングのがちがちな表情を見てしまった(笑)から、だだだだ大丈夫?って思っていたんだけど。その心配は不要でした。本当に失礼しました。
出演者がみんな歌の世界に没入するために、歌う自分をつくって挑んでいる中、岩立さんは「ああ、AKBの子だ」と感じさせるいつもの笑顔(と立ってる小指)を見せてくれたのがちょっと嬉しかったです。でもいつもの沙穂さんではない。声を太くしっかりと安定させて、それを保って歌える音域?の曲を選んで、しっかりと自分にできる最高のパフォーマンスをしようという姿勢があった。普段見るAKBらしい彼女とはまた別の魅力を見ることができた。逞しい人ですね。

AKBメンバーの話に入ってきたので触れますが、

ねえ田口!!!!おお田口!!!(語彙放棄)

この人ずるいですねえ。一瞬「私今日ミニシアターに映画を観に来たんだっけ?」って思ったよ。セリフでいっきに情景を描いてそのドラマの中で歌うような。審査員がアーティストだと評していましたが、田口愛佳さん(AKB48は自分の見せ方をよくわかっていらっしゃるんですよね。そんな自信満々な彼女でも緊張して弱腰だったんだから、この歌唱力決定戦って凄まじいステージなんだなと思いました。

岡田奈々さん(AKB48の「未完成」は好きでした。初めて聴く曲だけど彼女らしい選択であることが歌詞の一つ一つ確かめながら歌うので伝わってきたし、エンディングに向けて感情と切なさをどんどん昂らせていく様はさすが岡田奈々の表現でした。

 

「嘘」をついてステージで魅せる姿が美しさだとしたら

さて、得意の大脱線フェーズです。

メンバーさんたちを見ていて思ったんですが、こういう1位を決める場では勝負に臨む姿勢が問われるんだなと。

歌唱後のコメントで「失敗した」とか「悔しい」っていう弱い本音を外に出さない姿勢というか。誤解を恐れずに言ってしまえば「嘘をついてでも自分を魅せる力」。ステージに立ちつつ裏の素顔をみせるような「アイドル」として活動する彼女たちにとっては、これは方向性がまったく真逆の努力かもしれない。

 

でも正直、初見の素人は言われなければわからないんですよ。それにたとえ失敗したにしても、それが「美しくない」に直結しないのが目に見えない芸術世界の難しくも奥ゆかしいところで。本人がその表現に自信を持っているかどうか、その失敗さえも抱擁できる愛を持っているか、みたいなものが重要なんじゃないかななんてことを思いました。

(かつてミュージカル「ウィズ」主演の最終オーディションで、"失敗"して音を当てられなかったにも関わらずその魂で宮本亜門を泣かせた増田有華というドロシーがいました)

 

弱いところを受け入れられるかどうか

というのも、今回の歌唱力No.1決定戦。20人の審査は4つのブロックに分かれて審査されて、1ブロック5人が歌い終わるたびに皆がステージに一列に並んで審査員のコメントに入ります。5人目に歌唱を終えたメンバーは、ステージに再登場した4人と一緒に一列に並ぶんですが、その5人目のメンバーが自分の立ち位置をまちがえたり、歌い終わってすぐに動き出せずわたわたしているのが印象的でした。

 

それっていくらリハーサルを積んでもスムーズにできることじゃない。あの瞬間って、全身全霊の表現が終わった直後のものすごく無防備な状態だから仕方がないじゃないですか。人によっては、きっともうこのあと家まで帰る体力すら使いきってしまうような場所。そういう勝負の場で、失敗や悔いてしまうような突発的な出来事はつきもの。

例えば、最終決戦で入場した時にシューズのストラップを直すために立ち止まっていたメンバーがいたし、古畑さんのMCつなぎも立派なものでした。急遽歌い方を変えて、チャレンジしてみたり逆に安全を選んでみたり。それらを「縁起が悪いネガティブ」ととるか「きちんとした自分で勝負に臨むためのハプニング」と取るかって、演者のマインドにとっては大きな違いではないでしょうか。

歌の実力があるない以前の話で、人として自分の表現を愛しているか?そんな自分を認めて大切にできているか?に直結しているんじゃないかなと。いうのを思いました。

 

この歌唱力No.1決定戦というイベントは技術的な歌唱力を競う以上に、アイドル(虚像)として自分の歌を歌う力が問われている舞台なのかもしれないと思いました。そういうところは歌唱力を量る大会といっても、アイドルらしくていいじゃないですか。

そしてそういう意味で今回のステージを振り返ってみると、今回の上位3名と審査員特別賞の結果は納得できるものでありました。

 

村山彩希さん(AKB48)の歌

歌うことに振り切れているから、歌い方のくせのせいで上手の席では全然顔が見えなくて(笑)。観客もカメラも忖度なしで歌に集中しているのをみて、本気だわこの人って思った。まあ、本気じゃなかったことなんて一度もないんですが。この方は。

歌に集中といっても、歌詞に合わせて手振り身振りをする彼女の表現は力強さを感じた。曲の疾走感にしっかり乗れていて、歌声とビジュアルとトータルで魅せてくるパフォーマンス。私にとってはまったく知らない曲だったけど、サビになった瞬間に何故だか全身がカーっと熱く高揚する感覚があった。推しの歌って熱量があると思いました。推しの歌だからそう感じたというのもあるかもしれないけど、やっぱり村山彩希さんの歌が好きです。他の誰かでは替えられないものを持っていらっしゃる。

 

アツいとは言っても、村山さんの声は水とか風とかみたいに透明なんですよね。湖面が揺らぐような声の形をしている。高い声は風がふわっと舞い上がるようなイメージで。無垢を象徴するような白さ、透明さは誰もが持てるものではない。それこそ審査員が言っていた通り「ギフト」です。

 

ギフト(gift)は英語では「贈り物」を意味しますが、ドイツ語では「毒」の意味になります。これってすごい示唆を含んでいると思いませんか。贈り物と言われたって、それを与えられた本人(受け取らされた本人)にとってしてみればプレッシャーにもなるもので。誰もが羨むようなパワーを生かして幸とするも、持て余して不幸とするも自分次第。

ですが村山さんが自分のギフトに飲まれることなく、期待に応えるパフォーマンスを見せることができる人であることはもう知ってます。

期待に応えようとしているわけじゃなく、しっかり村山彩希のパフォーマンスに昇華させて魅せてくるのが彼女の凄みです。ダンスでも歌でも演技でもSASUKEだって、とにかく彼女が取り組むすべてのことについてです。

 

でも彼女がダンスの方に振り切れていた理由について、ゆうなぁコンの時に痛感しましたが、隣にいるなぁちゃんが歌を核にしていることが一因じゃないかと思っています。二人一つで見られてきた彼女だからこそ、なぁが歌ならゆうはダンスで…みたいな。そういう"大人の目"で求められてる自分を理解してそうなれてしまうのが、良くも悪くも彼女という人で。

でも以前のブログでも書いた通り、二人とも岡田奈々村山彩希それぞれが一人でしっかりと立つことのできる表現者。推しの村山さんは美しい肉体でみせるダンスパフォーマンスだけじゃない。その歌声だって唯一無二で、ずっと聴いていたい心地よさ、美しさ、まだいける!って希望があったんですよ。ずっと前から。

わかってたんですよ。わかっていたじゃないですか。

 

そんな村山さんの「ギフト」が見込まれたというのなら、審査員特別賞の枠で彼女が評価されたことには大きな意味がある。自身のスコアでは届かなかったとしても、まったく恥じることない結果だったと私は思います。大好きな彩希ちゃんの歌声が褒められているのはとても嬉しいことです。

 

「お出かけ」に対する迷いを見聞きしたこともあって、この結果を彩希ちゃん本人がどう思っているのかを想像すると複雑な思いがないわけではないです。

ただ、今回の審査員である音楽界隈の人々から歌を評価されたことは、彩希ちゃんにとって大きな自信につながったと信じています。人一倍の努力家なのに自己評価が低い彼女だから、プロの方々からのコメントは本当に大きな刺激だったんじゃないかと。高評価ばかりではない指摘もありましたからなおさら。頑張りを認められたことは純粋に嬉しかっただろうな。

 

 

劇場公演から走り出して今や選抜という枠すら超えてさらなる高みを目指せる。AKB48に在籍して10年以上活動していても、まだ新しい景色を見せてくれるかもしれない。彩希ちゃんのポテンシャルって底なしで、それってファンとして彼女を応援していてとても幸せなことじゃないですか。

それだけの魅力、希望を持っている村山さんだからこそ、ファイナリストライブも、これからの「歌うこと」も、堂々とたくさん楽しんでほしいです。

本当におめでとう!

 


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